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ヒスティマ Ⅳ  作者: 長谷川 レン
第三章 聞き込み捜査
27/72

閻魔の腕輪

うん。サブタイトル物騒だね(・・*←


視点はマナちゃんだよぉ。



「ねぇ。思ったのだけど、私達が動く理由ってある?」

「それ言ったら終わりだと思うな~」


 ウチとソウナは他のみんなと別れて太陽の昇る東側へと情報を集めに行っていた。

 リク達は北に、キリ達は南の大通りを探り、レナ達は西へと向かっている。

 妃鈴と雑賀は酒場を重点的に探すと言っていたのでどの方面に行ったのかは定かではない。


「これ、ロピアルズの仕事よね? 私が動かなくてもいいんじゃないかしら?」

「でも、ロピアルズの仕事のおかげで海で遊べたんだし、少しぐらいは献上してもいいと思うな~」

「ロピアルズのおかげで意味も無い道を一週間ぐらい歩かせられたわ。おかげで〈セイントウルフ〉を乗り物扱いにしてしまったわよ」


 桜花魔法学校で襲われた時も乗り物として乗っていたような気がするのは気のせいだろうか。

 それに、ソウナの召喚した神様直属という狼は人が二人は乗れるほどの大きさだ。そんな狼が背中に人を乗せた事が無いと言うはずが無いと思う。狼に乗ってとてつもなく早いスピードで走っても運動能力の無いソウナが何の心配もなく乗れていたのだから。


「それよりも、どこから聞こうか~?」

「世間知らずの箱入り娘は人見知りだからマナさん任せるわ」

「えぇ!? ウチに全責任が掛かるの!? ソウナさんも手伝ってくれないとウチ困るよ!?」


 そんなことを言いつつも、ソウナは九年間も閉じ込められていて人に会う機会など無かったのだからと、少しは納得している。

 九年前というと、ソウナはまだ幼少のころ。6、7歳の頃に閉じ込められたのだろう。


「そういえば、ソウナさんの誕生日って……」

「四月の三十よ。もうとっくに迎えてるわ。そう言うマナさんは?」

「ウチは八月二十七日かな~。そろそろ誕生日だけど、家に入れるかな~」


 毎年誕生日の日は家に居て、おばあちゃんである真陽や召使いの人達に祝って貰っている。今年はこのままいけばどうなるか分からない。

 ちなみに今日の日付は八月二十四日だ。

 ……あと三日で家に帰れるはずが無い。おそらく道中の間で誕生日は迎えるだろう。

 今年は祝ってもらわれる事が無いのだろうと少し肩を落とす。


「あら、だったら誕生日プレゼントぐらいは買ってあげないとね。友達として」


 そう言うと、ソウナは近くの店へと入って行く。


「え? ソウナさん、ちょっと待って~……」


 ウチは急いでその後を追うと、店の中は外よりもすこしひんやりとしていて気持ちよかった。


「…………いらっしゃい」


 店に入ると、何やら寡黙そうな体の大きい店主がこちらを見ていた。

その目元には少しクマがあったので、ここの店主は寝ていないのかと思う。

 店内を見ると、そこは指輪や腕輪。首飾りなどがあったので装飾品の店だと言う事がわかる。


「マナさんにはどういうのが似合うかしら?」


 ソウナがそう言うと片っ端から装飾品を見始めて言った。


「大丈夫だよ~ウチはそう言うの……。それに、お金は雑賀さんのでしょ~」

「そうよ? 雑賀さんのだから使うんじゃない」


 理屈がわからないと言ったらソウナは怒るだろうか。いや、怒らせはしないと思うが。


「そんなことより、私はマナさんのその貧乏性に驚きだわ」

「え?」

「お金持ちって普通、自分が欲しいと思った物はなんでも買うような人達だと思ってたもの。少しは考え改めないといけないわね。レナさんも、貧乏性ではないものの、しっかりと考えているもの。じゃなかったら神様に目を向けてもらえないわ」


 ソウナが装飾品を物色しながら答えてくれる。

 ウチの家は元々武術派で、貧乏性というか、装飾品にはあまりこだわらないのが本音だ。装飾品よりも、武器が防具の方にこだわっている。

 ただ、見た目にこだわるのではなく、その性能にこだわる。

 その武術派のお金持ちであるウチだが、正直何でお金持ちなのかがわからない。だっておばあちゃんはただの学校長なだけだ。他の仕事をしているとは思えない。

 両親はヒスティマに関わっていないからお金とは関係ないとして、どこからお金が入ってくるのだろうか?

 レナの家は商業派だからどこからお金が入ってくるかは一目瞭然だ。


「まぁそれはともかく、こういうのどうかしら?」


 ソウナが渡してきたのは腕輪だ。よく見てみると、魔力が通った魔法腕輪だった。


「これ……」

「どうしたの?」


 ソウナは気がついていないようだ。ウチはソウナが渡してきた腕輪を受け取ると、その腕輪をよく見てみた。

 腕輪は銀色の線が模様を作っていて、その模様は不思議と引きつけられるような、何かあると感じるような不思議な()を描いていた。


「……お譲ちゃん、気づいたのかい?」

「「!?」」


 とっさに振り向く。そこには大男が立っていた。身長は190は超えるだろうと思われる。そんな男が立っている。よく見てみるとその男の目元には隈がある。つまり先程挨拶をしてきたこの店の店主だと言うことだ。他の店の客はいなかったし、店主以外にはあり得ない。

 体が大きいとは思っていたが、まさかここまで大男だとは思わなかった。


「気づいた……って何がかしら?」

「赤色のお譲さん、その腕輪から何か感じ取れるのかい?」


 ソウナが訊くと、店主が更にウチへと訊いてきた。

 なので、ウチは冷や汗を垂らして、緊張しながら首を縦へと何とか頷く事が出来た。


「そうか。お嬢さん、爓巫だね?」

「なんで知って――ッ!?」


 次の瞬間、ソウナがその店主の首元へと剣をつきつけていた。


「いろいろと訊かせてもらえないかしら? あなたは何者?」

「クムイ。俺は代々伝わるその閻魔の腕輪を扱える爓巫を探し求めていたんだ。その腕輪に力を感じたと言うことは、お嬢さんが爓巫で間違いない」

「え、閻魔の……腕輪?」


 なんだかものすごく不安になってきた。これ、詐欺とかじゃないだろうか?


 そんな物騒な名前のつけられた腕輪なんて持っていたくないけど、力を感じて、更に待っていたと言う以上、おそらく絶対に渡してくるだろう。


「閻魔の腕輪? それはどんな効果があるのかしら?」

「かつて、英雄姫を苦しめ、なお許した英雄姫の仲間となり戦った地獄の王を呼び出す腕輪だ」

「ち、ちょっと待って! 英雄姫って?」


 クムイが何だ、そんなことも知らないのかという風に肩をすくめた。


「英雄姫は英雄姫。このヒスティマを守った神同等の力以上をもつ忘れられた始祖の愛し子だ」


 忘れられた始祖の愛し子?


「クムイ……だったわね。どうしてそんなことを知っているの?」

「天使よ。詮索をするのは得策ではない」


 そう言った次の瞬間。ソウナの体が一瞬ぶれたかと思うとソウナが持っていたディスの矛先がソウナの首筋へとあてがわれていた。


「「!?」」

「お前たちは弱い。聖地は守れない。少しでも力を与えるのは当然の結果だ。天使。お前にも特別な腕輪がある。だが俺は持っていない。探せ、その腕輪はお前のその鈍間な速さを解決してくれるだろう」

「の、鈍間って……ディス、戻りなさい!」


 ソウナがディスを送還。させると、付きつけられていた剣が光となって消えていった。

 確かにソウナは他の人と比べれば遅いだろう。だがそれはウチにも言える事だ。身体能力をあげるような魔法は持っていない。

 それでも、ソウナが一般人に負けるようなほど鈍間では無い事を知っている。ディスを持つ事によって少なからず身体能力は上がるのだ。

 一般人の、しかも商業をしているような人に負けるはずが無い。このクムイと言う男の見る目が、ウチもソウナも完璧に変わってしまった。

 この男は一般人では無い。一般人に偽装した何者かだ。


「最終手段である武器は渡した。後はお前達次第だ。どの道、未来は見えているが、できれば英雄姫みたいな悲劇の物語を作らないでくれ」



 そう男が言った直後――。



「え?」




 ウチとソウナは初めの宿屋で目を開けた。




「マナちゃん! ソウナさん! 大丈夫ですか!?」


 リクが心配そうな目で見ている。一体どうしたと言うのだ。


「リク……ちゃん? あれ? ウチ達何でここに……」


 確かにクムイという男の店に居たはずだ。なのにどうしてここに居るのだろうか? まるで一瞬の夢だったように感じる。


「マナちゃん達、路地裏でボク達が見つけたんですよ!? いくら呼びかけても起きてくれないし……何があったんですか!?」

「……見た所、何も奪われていないから安心はしていた」

「寝てたのぉ?」


 路地裏で?

 いや、ウチ達は……。


 そう言おうとして、口が動かない事をいまさらながら気がつく。

 そして、この現象には見覚えがあった。



 ――悪魔が自分を乗っ取った時に、都合よく何事もなかった事を告げていた。


 そして、夢ではない事を確信する。


 あのクムイとか言う男は悪魔? いや、それにしてはフィエロが気がつかなかった。上級という訳でもなさそうだ。

 もしかして、操る当の魔法だろうか?



 あの男は、自分の存在をリク達には知らさないつもり?



 そう思って右手首を見てみると、そこには確かにクムイの店で見つけた腕輪がはめられてあった。異様な力を感じる。まるで闇の底に引きずり込まれるような力だ。そんな力を感じていても、不思議と狂乱しなかった。どことなく安心できるような感じがするのだ。


「マナちゃん……?」


 リクが心配そうな目でこちらを見ている。というか、顔が近い。

 ウチが横になって寝ているせいで真上から見ているのだ。少し顔が赤くなる。


「だ、大丈夫だよ~。それより、ごめんね~? ウチ達、何の情報も得られなかった……」

「そんなことはいいんです! それよりもマナちゃん達に何があったのか……」

「……リクちゃん。……話したくないようだし、そっとしておく」


 白夜に言われて、ようやくリクはウチの真上から覗いていた顔をどかしてくれた。

 隣で見ていたソウナも言いたそうな顔をしてウチを見てくるが、首を横に振った。



 これはいよいよ、白夜が持っていると言う古書を見せてもらう必要が出てきたのかもしれない。クムイが言っていた悲劇を起こさない為にも。


さてはて……この時点で一番力を持っているのはマナちゃんになっちゃったかなぁ(;・・


現在ヒスティマ人気投票を実施中でございます!

一人三票となっておりますので、是非投票をお願いいたします!!

期限は8/31までとなっております!!


誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

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