変人がゆく
視点はアキですよ~。
ツッコミ二人にボケ一人はダメだな……(;・・
私は町の人に手慣れた手つきで徐々に情報を手に入れていた。
「あいかわらず……ですわ」
「これが、狂人?」
失礼な。好きに情報を手に入れてこいなんて言われたら私はもちろん右手にメモ帳、左手にペンを持って記者の如く情報を手に入れていくに決まっている。
狂人な訳が無いじゃないか。狂人というのは……。
「説明、要ら、ない」
「あれ? 私声に出してた?」
それはともかく、私は朝っぱらから情報収集という名の取材を片っ端の人から聞いた。
内容は城の事もあるが、ここら辺の噂、どこのご飯が一番おいしいかのグルメ、ヘレスティアのよい所、他の国からヘレスティアに来た人はその理由……etcetc。
ちなみにこの内容は偶然会った兵士にも訊いていたりもする。
「いや~。たくさん知らない情報が入るっていいね~」
「わたくしはアキさんをただの人とは思えなくなってきましたわ……元から変な人だとは思っていましたけど」
「変、人?」
狂人から変人にクラスアップされました。
にしても……まさかこれだけ城に関する情報が手に入るとは思わなかった。
今私が持っているメモ帳に書かれていることは、大体が城に関する不満についてだ。
王様は優しいからそこに不満は無いようだが、城の軍事政治による不満がたくさんあった。
城に献上する税がとても多いだとか、城に集まっている兵士の数多くはその税を払えなくなった家の長男長女だったりとか、おかげで最近比較的高い物品の売買が減少してきたりだとか……etc。
とにかく、城についての不満が多かった。これだけ多かったらレジスタンスがいても不思議ではないなと私は予測する。
どこかで私達のメンバーの誰かが会っていたりするかもしれないが。
「ですが、アキさんがいるためにわたくし達は何もしなくてもいいかもですわ」
「とっても、ありが、たい」
この二人、先程からホントに何もしていないな……。初めのころは少しは手伝ってくれていたのに、他の人に訊いていると、私の速度に追いついて来れなくなって、こうして人に訊かずに私についてきているだけだ。
まったく、どうして私のように訊けないんだか……。
「あ、すみません。ここら辺で面白い話ってありますか?」
「面白い話? そういえば、昨日ビーチで美少女が集まってるグループが合ったそうよ? あたしも若い頃は……」
ほぅほぅ。美少女が集まってるグループがあったと。
……きっとそれは私と雑賀を抜かしたその他の私達のメンバーだね!
「ちなみにその美少女ってここに居る藍色の髪の子が入ってました?」
「何言ってるんですの!?」
なぜかいきなり使命されたレナが驚いていた。おばさんはレナをじっくりと見ると……。
「あらぁ。じゃあ貴方達のメンバーが? にしては……三人?」
「ええ、今日はみんな自由行動でして、他のメンバーはいろんな所に行ってるんですよ~」
嘘は言っていない。真実を述べていないだけだ。
「あらまぁ。いいわねぇ。あたしも美少女で生まれたかったわぁ」
「それじゃあ、ありがとうございましたぁ」
そう言うと、私は今訊いていた人から遠ざかった。
にしても……城の不満と同時に昨日私達のメンバーを見たと言う人の噂もとっても多いなと思い始めていた。
仕方ないか、美少女メンバーはホントにレベル高いし、リクなんて誰もが可愛いと言ってお持ち帰りしたいくらいのレベルだし。
そう考えると、私って地味だなってよくよく思う。眼鏡をかけていて、カメラ(自分の武器)を常時していて、私の見た目は普通の一般人となんら変わらないだろうし。
ちなみに、写真の売れている順番でいうと……。
一位はリク。二位はキリの女の姿。三位は意外にもソウナが入っている。
買っている人曰く、踏まれたいらしい。
「さてさて……こんなもんでいいでしょ」
私のメモ帳にはズラリと文字が並んでしまった。
まだ数枚白紙のメモ用紙があるがあと数枚しかない。途中で新しく買ってみたものの、すぐに数枚になってしまった。
まだ日は高い。今戻ってもまだ誰もいないだろう。とするとどこかで道草を食えばいいわけだが……。
「レナちゃん! 途中で訊いたスイーツのおいしい店に行ってみない?」
「スイーツの? そんなのまで訊いていたんですの?」
当然。一を聞けと言われたら十を聞くのが私の主流だ。何をレナは言っているのだろうか。
そういう目で見ていたら……。
「わたくしはアキさんのような考えはできませんわ!?」
「お、通じたか」
「通じるように目で訴えていたましたわ!! さすがにそこまで鈍感じゃないですわ!」
「さすが年中片思い」
「失礼ですわよ!? わ、わたくしだって片思いをしたくてしてるわけじゃないですわ!! 気がついて……くれないだけですわ……」
さすがに言い過ぎたか。
仕方ない、雑賀のお金でスイーツでも食べようか。
私はそう思いながらレナとヘルを連れてさっそくその店へと向かった。
店の中は風系統の魔法で涼しいが、かき氷に適うほどではない。
熱風ではないが、とっても涼しい風という訳でもない。うん。かなり微妙な風だ。
「リクちゃんがいたらきっと涼しいのになぁ」
「氷魔法を使える人はそうはいないと思いますわ。変異属性の魔法ですもの」
それだけでなく、氷魔法を使う人はつねに命の危険と隣り合わせだ。
いつ凍傷で死ぬか分からないような属性の魔法なのだ。
雪属性なんて言ったらもっと大変だ。ほんの少しでも凍傷に対する防具をつけていないと凍傷になるのだから。
そう考えると、リクの体はシラと契約する事によって凍傷に悩まされる事が無いのか……。雪魔法をいくらでも使い放題。すごいね……。
レナとそうこう話していると、スイーツが運ばれてきた。
とは言っても、さすがに暑いのでいちごのシャーベットを三人とも選んだのだ。
「いっただっきま~す!」
そう言ってさっそくシャーベットを口の中へといれていく。
すると、冷たくて気持ちいアイスがシャリシャリと音を立てて溶けてく。先程まで暑かったのなんて忘れてその冷たい感触に体中が満足していた。
味はいちご特有の甘酸っぱさがあって、暑い夏には最適なシャーベットとなっていた。
「~~~~ッ」
時には頭がキーンと音を鳴らして響かせる。
それはレナ達も同じだったようで、頭を少し押さえていたりしていた。
「おいしいですが、少し頭にきますわ……」
「シャーベット、冷たい。頭が、痛い」
それぞれ感想を述べて、その上でまたシャーベットを食べていた。
そんなこんなで、私とレナとヘルは情報収集も終わった事だし、アイスを食べたりして町のグルメ巡りをしながら宿へと戻った。
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