ばかな彼
彼女が死んだと報告を受けた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ある人物の動きが最近怪しいと、その娘たちに探りを入れて欲しいと陛下からの頼みで私が姉を弟が妹に探りを入れた。
彼女は私が話しかけた時、何故か安堵していた。その表情に思わず作っていた表情が崩れそうになった。彼女と日常的に話すようになってから彼女の傍は何故か安心した。そんな彼女はいつも申し訳なさそうにしていた。
彼女は両親と妹と関わりが薄いのだと言っていた。ある日いきなり妹が来たと、会ったのはこの前が久しぶりだと。同じ家にいたはずなのにおかしいでしょ、と困ったような顔をしていた。
陛下の頼みからではなく、彼女と話したいといつからか思うようになった。だが、関係は縮まることは無かった。彼女は決して自分の中に人を入れようとはしなかったのだ。
弟が有力な情報を手に入れた。そこからどんどん情報が集まり次の舞踏会で断罪が行われると知った。
私は彼女を死なせたくなかった。だから彼女に何も言わずに私と一緒に共に来て欲しいと頼んだ。だが、彼女は首を縦に振ろうとはしなかった。
断罪の時彼女は家族の中で一人立っていた。陛下からの言葉に安心したように微笑んで挨拶をした。連れていかれる時もなんの抵抗もしなかった。
その後自室に戻ってすぐ彼女が死んだと報告を受けた。彼女は毒を少しずつ摂取し続けていたらしい。
その報告をどこか上の空で聞いていた。そして、報告してきたものが手紙を渡してきた。中身は確認して安全だと、陛下も読み私に渡すように命令を受けたと。
手紙は彼女からだった。
手紙には自分はもうこの世にいないのだろうと言う事。自分の父が何かを企んでいたことを知っていた事。私の助けになれなくて申し訳なかった事。今までのことがたくさん書かれていた。一緒に来て欲しいと言われた時嬉しかった事。
そして最後に、私なんかを助けようとしたばかな人。愛してしまってごめんなさい、と最後に書かれていた。
「ばかな人なのはあなただ。」
手紙の文字が滲む。
愛してる、その一言は空気へと溶けていった。




