東南行(6)
美服頒王府 珍羞降禦廚 議高通白虎 諫切伏青蒲
柏殿行陪宴 花樓走看酺 神旗張鳥獸 天籟動笙芋
丸劍星芒耀 魚龍電策驅 定場排漢旅 促坐進吳覦
縹緲疑仙樂 嬋娟勝畫圖 歌鬟低翠羽 舞汗墮紅珠
宮廷からは美麗な官服を支給され、その御厨から美味珍味も賜った。
白虎館に通い高邁な議論を重ね、御寝殿の青い蒲に伏して天子に強く諫言を申し上げた。
柏梁台では豪華な宴会に出席、花萼楼にまで走って酒食をもてなされた。
鳥獣を描いた天子の旗が立ち、天上の音楽のような笙や笛が奏された。
丸剣の雑技では、剣が星のようにきらめいた。
魚龍の奇術は雷電を走らせた。
幕が開けば、漢王の愛した歌舞団が並び、座席一杯にあふれる歌姫は呉の歌を奉じた。
仙界の音色のように風に舞い、絵にも勝るような麗しさだった。
翡翠の飾りが歌姫の髪から、艶やかに下がり、舞うごとに赤真珠の汗がこぼれている。
※美服頒王府:朝廷の官僚は、天子から季節ごとに衣服を下賜された。
※白虎:後漢の宮廷にあった建物。
※諫切伏青蒲 :青蒲は、青い蒲で地面を被った区域。臣下は原則として入れないけれど、白楽天は左捨遺という諫言の職にあった。
※柏殿:柏梁台。漢の武帝が臣下を集めて宴を催した宮殿。
※花楼:唐の玄宗が建てた花萼楼。
※看酺:「看」は歓待すること。「酺」は天子が振る舞う酒食。
※神旗:天子の旗。
※天籟:自然界の発する妙なる音楽。
※丸剣:鈴と剣を操る雑技。
※魚龍電策驅:ヤマネコの模型が水の中に入り、魚に変化、その後、龍に変身する奇術。
※排漢旅:「排」は並べること。「漢旅」は漢の高祖が好んだ舞踏団。
※吳覦:呉の国の歌。




