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異世界人の経世済民 転移者は経済を立て直す  作者: キャズ
民主派VS復権派

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第46話 選挙に向け民主派の方針

 民主派と復権派の対立が続くそんな中、ペンブローク領で民主派の領主を集めた会議が行われる事となった。そこには富楽も参加しており、今まさにディバルに説明をする様に促されていた。


「では、富楽さん。現在の状況についての説明をお願いします」


 近々実施されるルプス連邦の有力者投票。民主派と復権派、どちらがルプス連邦の覇権を取るのかがそこで決まる。その投票に向け、どの様な戦略で挑むのかを話し合うためにここに集まったのだ。

 本来であれば、民主派の筆頭であるディバルのスパニエル領で行うべきものだが、今回は富楽に話を聞く事をメインとするため、富楽の拠点であるペンブローク領で行われる事に決まった。

 富楽は一礼して領主達に状況の説明を始める。


「まず今の民主派は、なんとなくで支持している人達に支えられている状況です。なんとなく、国民に政治参加の権利が有る事がいい事だと思い、政府の権力強化を是とする復権派を問題視している人達や、ディバルさんが国民に寄り添う姿勢を見て、この人が国のトップなら安心だと思ってなんとなく応援している人達。そんな政治と言われても何をどうすれば良いのかよく分からない人達の支持が主になっている。支持を得るための活動も、復権派がトップになると大変な事になるぞーだとか、民主派こそが国民を第一に考えるんだーとか、ふんわりとした抽象的な文言を国民に伝えるばかりで、残念ながら民主派は政治活動そのものに具体性が欠けています」


 民主派の領主達は黙って聞いてはいるものの、批判的な内容故にあまりいい気分ではない模様。視線ではしっかりと抗議を投げかけている。

 富楽もそれに気づいてはいるが、気にせず話しを進めていく。


「一方復権派は、産業の現場で働く人やそれを管理する人達から支持を得ている状況です。今のルプス連邦は、国民が政治に参加すると言っても多くの人が何をすれば良いのか分かっていません。そのせいで国民が労働よりも政治が大事だと考え、労働を辞めてしまったり。国民の権利が強くなり、商人が政府にあれこれ言う様になって、営利目的で政府を利用するなんて事態が起きていたのですが、それらの問題を政府主導の活動によって解決に導いた事が評価されている感じですね。政府が率先して動き、国民が生産活動を選んでくれる様に支援制度を作ったり、悪どい方法で稼げない様に税制度を整えたりと、それらの実績によって支持を得ている様です」


 富楽が民主派と復権派の現状を説明すると、ディバルがそれをまとめる。


「つまり、民主派は新聞や講演会等で国民にアピールするイメージ戦略が主で、復権派は政府主導による産業支援による現場との関係強化が主になっているという事ですな?」


「はい。そして、民主派はパフォーマンスばかりで成果を十分に見せれていないため、最近は支持を失いつつあります。一方で復権派は、産業の現場との連携を強め、経済を再生させているという事もあり、どんどん支持を獲得しています。このままでは、民主派は支持を失い、復権派に敗れる事となるでしょう」


 このままでは負ける。その事実を突きつけられた領主達は、渋い顔で各々考えを喋っていく。


「ふむ。政府主導により国民の経済活動の方向性を示し、成果を出す事で生産者からの支持を獲得していったのか」


「大衆からの支持も、労働者層からの言葉づてで広まっていった、という所でしょうね」


「ではどうする?富楽さんの言う通り、このままではこれまで支持していた有力者の支持を奪われ、復権派に負ける事になるぞ」


「それに選挙まで時間もない。これから方針を変えるにしても、あまり大きな変更はできませんよ」


 不安そうな様子の領主達。

 無理もない。もうすぐ民主派と復権派どちらが国の舵取りをするかを決める連邦選挙が始まるというのに、有力者達にアピールする選挙期間前になっても有力者達へどの様な主張を伝えていくのか、いまだ民主派内で決まっていないのだ。

 一方復権派は既に方針を決めており、着実に民主派の支持を奪いつつある状況。そりゃあ危機感も持つというものだ。

 そんな重い空気の中、ディバルが己の意見を出す。

 

「私としては、スパニエル領とペンブローク領で実施している現場の意見を政治に反映させる策を民主派全体の方針として進めたいと考えています。富楽さんが進めてくれたこの策は、正に民主化による経済成長を示したもの。現状民主派の経済政策として示すものでこれ以上のものはないでしょう」


 民主派の筆頭であるディバルから案が出たが、反応は芳しくない。


「富楽さんの策が国民の声を政治に取り入れるものとして一定の成果を出しているのは知っています。今のままでは今まで通りの策しか打ち出せず、復権派に負ける可能性が高い事も分かります。ですが、富楽さんはこの国の人間ではありません。特定の領だけならともかく、国全体の経済政策を他国の人の策に頼るというのは、いかがなものでしょうか」


 経済政策とは国の行く末を決める重要なもの。それを経済顧問とはいえ、自国民以外が決めるのは受け入れがたい事の様だ。

 実にごもっともな意見だ。富楽は助けを求められたから助けはしたが、本来政治はその国の人達が自分達の力でやるもの。富楽の様なイレギュラーが関わる様なものではないのだ。正直、民主派が他に案があるならそれを優先させる方が良いとすら考えている。

 そんな空気の中、メディナは席を立ち皆に告げる。


「皆さん。私達民主派は、国民の声を政治に反映させ、それによって国を発展させる道を目指す。そのために活動しているんじゃないんですか?」


「それは、そうですが」


「だったら。その理想を実現する策が見つかったのにそれを無視するのは、それこそいかがなものかと思います。良い対案があるのならともかく、ただ否定するだけというのなら、私は富楽さんの案で行くべきだと思います」


 メディナが富楽を庇ってくれた形だ。民主派の理念を語られ場の空気が揺らぐ。

 ここで富楽は、あえて富楽を否定した側の擁護をする。


「自国の事は自国民だけでなんとかしようという考えは重々理解しています。なので口を出すなというのであれば、民主派全体の方針を決める際には口を出すのを止めますし、何か別の案があって協力してほしいのであれば、俺も協力は惜しみません。ただ、俺は国民の声を政治に生かすための政策を全力で考え実行しましたし、それなりの成果を出せていると自負しています。それだけは信じて頂きたい」


 堂々と語る富楽。その様子に否定してた領主は少し考え、言葉を返す。


「まぁ、現状他に策がある訳ではないですしね。分かりました。富楽さん、ペンブローク領で実施した政策についての説明をお願いします。もし無理でない様なら、民主派全体の方針をして発表するという事で」


 その言葉に他の領主達も静かに頷き同意を示す。

 その後、富楽はペンブローク領で行った国民の意見を政治に反映させる方法とその進め方やコツ等を説明し、大した対案も出なかった事もあって、民主派全体の方針として発表される事となった。

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