スローライフ始めます!①
それから私達は、誰にも見つかることのないようにずっと遠い街外れに逃げた。
「お兄ちゃん、これ、使えそうじゃない?」
「あ、いいね、使える使える」
古い家を見つけて、持ち主さんに確認したところ、使っていないし使う人もいないから自由に使っていいって言ってもらった。
古くて言っちゃあ悪いけど少しボロくてなかなか好き。私の魔法でいくらでも治すことが出来るからお兄ちゃんと楽しくやってる。
「お兄ちゃん!今日街行くよね?宝石、出来たよっ!」
「あぁ、行くか。」
私とお兄ちゃんはあれから色々な物を売る仕事をしながら生活している。私の能力で色々作れるから。バレる危険があるから作るのは少しずつ。
「宝石いりませんかぁー!他国より仕入れた宝石です!おひとついかがですかー?」
「いかがっすかー...」
「ちょっとお兄ちゃん!ちゃんとしてよね」
「だって、男の俺が宝石商なんか...似合わねぇし」
「大丈夫、お兄ちゃんカッコイイから似合うよ」
「お取り込み中ごめんなさい、1つ見せてもらってもいい?」
「あっ、はい!どんなのをお探しで?」
「虎の目みたいなのがあるって聞いたことがあるの。どんなのか知りたくて」
「そちらはタイガーアイですね。こちらになります!」
「...綺麗。こちら売ってくださる?」
「ありがとうございますっ!加工、しますか?」
「ならネックレスにしてくれる?」
「分かりました。お兄ちゃん宜しく、」
「あぁ。でき次第また街に来ます。その時声をかけてください。」
宝石を買ってくれた婦人はニコニコしながら手を振ってその場を立ち去った。
「まぁ、俺に任せたように見せて本当はミアがやるのにな」
お兄ちゃんはツボに入ったのか横でくすくす笑ってる。その日はあの婦人のネックレスを作るために家に帰った。