ようこそ生徒会へ2
星斗君視点です。
「「失礼します。」」
入った瞬間、空気が変わった。雰囲気が…とかではなく、純粋に空気が。周囲を観察すると、副会長の目の色が赤みがかっている事に気が付いた。
異能保持者は、異能使用時に瞳の色が変わる。通常は両目共に変わるが例外もある。僕達双子のように。
僕達の異能は二人で一つ。それ故に、僕達は互いに片目ずつ。これが、僕が'二人で一人'といった理由。
「早速だが、自己紹介をしてもらおう。」
向こうはこちらの情報は、既に知っているはず。それに加え、向こうから呼んだのだから、僕達から自己紹介をするのはおかしい。ということは……
「1年S組の風峰星斗と――
ここで月花に譲る。
「同じく妹の風峰月花です。」
――僕達双子の異能は双子間での意志疎通と記憶共有です。」
副会長は一瞬、驚いた顔をした。
「誰が聞いているか分からないのに、何故その様な自己紹介を?」
「副会長が一番分かっているのでは?」
「ほぉ。」
副会長が感心したように相槌をうつ。
「副会長、結界張りましたね。」
質問というよりは確認。
「何故、その様に?」
「そうですね。大きく分けて3つ。1つ目、…
僕が判断した理由は
①入室時に感じた、外と中の空気の違い
②副会長の目の色の変化
③不自然な会話の流れ
これくらい。
まず、①,②で副会長が何らかの空間に干渉する異能を使用していることが解る。更に目の色から、副会長は隠密の異能であることも。
隠密の場合、訓練次第で結界を張れるようになると聞いたことがある。
よって、副会長は結界を張ったことが予測できる。
③で、先輩方が僕達を試していることが解るため、予測が確信へと変わる。
「因みに、昨日お会いしたとき、"誰が聞いているか分からないのに"異能について会話のなかで触れられたのは、会長が異能を使っていたからですね。」
静寂が生徒会室を包む。
「素晴らしいです。今年も有能な新人が入ってくれて嬉しいです。」
「わざわざヒントを用意してくださる辺り、先輩方は優しいですね。」
「では、改めて――会長、自己紹介を。」
ありがとうございました。
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