表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異能現象』  作者: 黒猫優
一章[異状な世界の現象]
22/28

─お約束のコンビニ展開─

散歩にいく。

といっても、やることは別に至って単純。

ただ、歩くだけ。少し都会の方面に行き、そこを目的地もなく、歩くだけの作業。

サラリーマン・子連れの主婦・友達と歩いてる子ども・学生、なんかが俺の横を通りすぎっていく。

そうやってただ、歩くだけ。

そうやって歩いていて、右から左から音が聞こえてくる。車の音・人の声・足音。

様々な音が俺の耳まで届き、俺の耳には音楽として伝わってくる。俺はこういう雑音は好きだった。

ただ、のんびりと何も考えずに雑音や道のりに沿って歩くのが好きだった。

だけれども、そういうのんびりが好きでも多少は何か考えたりしてしまう。

「暑い……」

声にまで出てしまった。

そう、今日の外は少し暑かった。

暑いといってもそれほどまでの汗は出ない。

元々、汗はかかない体質というのもあるのだろう。

それでも、外の気温は『暑い』に分類され、確実に俺の体温を上昇させる要因を担っていた。

少し飲み物でも買おうかと思った。

「ここら辺で……自販機あったっけ…?」

あまり面識のない場所だったために、自販機や建物の位置、名称を覚えていなかった。

キョロキョロと首を左右に動かし、周囲に自販機がないか見る。

「うーん。……ねぇな」

周囲を見回しても自販機の姿はなかった。

ここら辺にすんでる人は自販機が近くになくて、不満には思わないのだろうか?などの疑問も抱いた。

しかしながら、そんなことはどうでも良い。

いま、重要なことは自販機が無いこと。

つまりは、飲み物が無いことではある。

辺りには自販機はないので、仕方なく俺は、前方を見たところにあるコンビニにへと向かった。

コンビニは俺の歩いている右道路ではなく、反対側の左道路にあった。そのため、左道路にわたるための横断歩道をわたる必要があった。

だから、俺はそのまま、前方の信号まで歩いた。信号まできて左道路側の信号を見ると赤だったために、その場で立ち止まり信号が青に変わるまで待つことにした。

「ふぅ…疲れた」

自分で散歩することを選んだとは言え、歩き疲れはおきるものだ。喉が乾いていたのが疲れている証拠と言うべきか。

まぁ、疲れているといっても、まだ歩くことはできるのだが。

「信号長いな……」

信号が変わるまでの時間が長いことに悪態をつけつつ俺はじっと待った。

今ごろになって自分の右頬に汗がでていることに気がついた。やはり外は暑かった、と汗を見たあとに思ってしまう。

日差しも強いので、それも汗が出てしまう要因になっているのかもしれない。

俺のいる右道路は太陽の角度的に直射で当たるため日陰がなかった。

そうやって直射日光に攻撃されながらも信号を待っていると、やっと信号は青に変わりわたれるようになった。

「やっとか」

そういいながらも俺は信号をわたった。

信号というのは、待つのは長いくせにわたるのは数秒で終わる。そう考えると信号がツンデレに見えてきた。

「信号がいつデレを見せるか見物だな」

何て言う冗談めかしたことをいいながらも信号をわたりきる。

そのまま、俺はコンビニへの向かった。

信号をわたりきったら、もうコンビニはすぐ目の前にあるのでコンビニにはすぐについた。

目の前で自動ドアが機械音を起こしながら、左右に開閉する。

ドアが左右に全部が開くまで待つのが鬱陶しく、半分ほど開いたところでコンビニの中に入った。

コンビニ内の温度は暑くも寒くもなく、ぬるい感覚があった。ある意味、一番困る温度でもあった。

そんなことは気にせずに俺は、飲み物コーナーへの向かった。あまり何を飲むかは考えもせずに、ポカリスエットを買おうと適当に決めた。

飲み物が入ってあるケースを開けると涼しい冷気が流れてきた。冷気が俺の頬の汗に当たると次第に温度を低くさせ、俺の体温を下げていった。そのせいで、少し寒くもあった。

すぐにケースを閉め、レジの方へと向かった。レジにいくと、少しの人数が並んでいた。

右にひとつ、左にひとつレジはあり、右のレジは人が並んでいた。

空いている左のレジに俺は向かった。

「これください」

俺はレジにポカリスエットを出しながら、右ポケットをあさくり財布を手に取った。

ピッと、ポカリスエットの側面にあるバーコードにバーコードリーダーを当てて、金額を出した。

「はい、147円です」

店員さんは業務用スマイルを作りながら言葉を投げかけてくる。

俺は財布からお金を出す。ちょうど147円あったのでお釣り無しで代金を出せた。

店員さんはそのお金を受け取り、機械を使いレシートを出し、ポカリスエットをビニール袋にいれてレシートと一緒に手渡してきた。

俺は無言でそれを受けとる。

「ありがとうございました」

店員さんの言葉を背中に聞きながらコンビニを出ようとする。

「ねぇ?加那ちゃ~ん。あんたの部員の誰かさん、消えたんだって~?もうあんたの部活とかある意味なくなぁ~い?」

だが、コンビニを出る前に後ろから何か女子の声が聞こえてくる。

「?」

俺は振り替えってその音源の方向を見てみた。すると、その音源の場所はレジにあった。

「だ、誰かさん…なんかでは…ないです!」

人が並んでいて俺がいかなかった右レジのところで、三人の女子が店員さんに向かって馴れ馴れしく声をかけていた。

「加那ちゃ~ん。何いってんの、事実誰かさんは来てないんでしょ~?w部活にさ~w」

三人うちの真ん中の女子が店員さんに言う。

見た目は長く赤い髪、アクセサリーなどは大量につけており、メイクも濃い。

一口に言うと不良女子というやつだった。

店員さんはその不良女子と話している。

黒髪短髪の子で不良女子と同じ年に見えた。

「た、たしかに……来てませんけど…そんなの関係ないです!ちゃ、ちゃんと戻ってきます!」

黒髪の子は不良女子に言い返した。

「関係ないわけないですぅ~wげんに誰かさんは来てませんし、部員ははいってませんですぅ~。w廃部決定~!☆」

せせら笑いながら不良女子とその仲間の二人たちはいう。

「で、でも、でも!」

それでも黒髪の子は言い返そうとする。

何かこの雰囲気にムカついた。

黒髪の子以外の店員さんはオドオドするばかりだ。助けてあげないのか?、と思った。

異常にムシャクシャした。だから俺はそのまま、不良女子の方へと歩いた。

「ん?」

せせら笑っていた不良女子が近付いてくる俺に気づいて、こちらを向く。

「なに?あんた?」

せせら笑いをやめて俺に言ってきた。

小馬鹿にした態度から少々剣呑な態度に変わった。後ろの二人の女子も剣呑な態度でこっちを向く。

「なにしてるんだよ?止めてやれよ。可哀想だろ」

俺はその不良女子の目を見てきちんと言った。だが、ここでの話、俺は自慢ではないがビビりだ。内心はビビりまくってるといっても過言ではない。感情任せに出てしまったが予想以上に相手の威圧感が鋭かった。

「はぁ?なにあんた?ちょ、カッコつけてるつもりなの?w」

また、少し不良女子たちは笑いだした。

「ごちゃごちゃいいからやめろってんだよ!」

俺はムシャクシャに任せて叫んでしまった。

むしろ、そのおかげでビビりも軽減された。

「はぁ?なにそれ?あんたムカツク────────んだよ!」

不良女子は次こそは完全に剣呑な態度に変わった。その証拠に言葉は威圧的になり、しかもいま、不良女子はその右手で俺の腹を思いきりぶん殴ってきた。

「ぐっ!」

女子の拳とはいえ、腹にジャストミートしたのでダメージを少なからず、というより多大に受けてしまった。

俺は人生で喧嘩なんてしたことはあまりになく、そのせいで攻撃を受けることにもダメージを受けることに耐性がなかった。そのため、俺は膝を折り曲げて無様にも地べたに倒れた。

ケホケホ、と少し息が途切れる。

「なぁーんだ。弱いじゃんwまぁいいや、もう加那いじりにも飽きたとこだしw」

じゃあいっこー、と不良女子は残りの二人を連れてコンビニを出ていった。

「だ、大丈夫ですか!?」

黒髪の子が俺に駆け寄ってくる。

心配そうな目付きだった。

というか、俺、ものすごくカッコ悪いな。

「あ、あぁ、大丈夫だよ」

俺はそう静かに告げながら、立ち上がる。

「で、でも、でも……」

黒髪の子は少し涙目になっていた。

アタフタとして、焦ってもいた。

これ、俺が泣かしたことにもなるな。

やべぇ、カッコ悪い。

「いや、マジで大丈夫だよ。少し腹に一発食らっただけ」

ははは、と笑いながら俺は黒髪の子に答える。

「あ、でも、…………あ!」

黒髪の子はまだ焦っていた。が、何か発見したように声をあげて俺の方に指を差した。

指の差されたところを見た。

「あ」

場所は俺の右腕だった。何故かかすり傷をおっていた。

攻撃も何もされてない右腕がかすり傷をおうとか、俺はなんの達人だ?自分のダメージを好きなところに移す異能現象にでもつきまとわれたか?そんな異能現象いらん。

「あ、いや、大丈夫だよ。こんなのかすり傷さ。まぁ見た目もかすり傷だけど」

「で、でも…ち、治療は必要です!」

黒髪の子はグッと両手を握りながら言う。

いや、マジでかすり傷だ。「ちょっと痛そう」くらいなもんだ。

「あ、でも救急箱はないから……」

アセアセとした態度で黒髪の子は独り言を呟く。

「いや、救急箱なんていらないし───」

「いや、でもなんか…治療するもの持ってなかったっけ…」

次はポケットを黒髪の子はあさくり始めた。

うん、こっちの声は聞こえてないようだ。

そうやってポケットをあさくり回していると、一瞬「あ!」という声とともにポケットの中に潜っていた手を出した。そして、両手でその出した物を差し出してきた。

「これ、使ってください。あまり、、いいものではないですが」

控えめな調子で黒髪の子は言ってくる。

俺はその両手にあるものを見てみた。

「絆創膏……」

それは絆創膏(バンソウコウ)だった。ウサギの可愛い絵ののった絆創膏。

「あ、うん。ありがと」

俺はそれを笑顔になりながら受け取り、右腕のかすり傷へと張り付けた。

「これくらいしかできませんが、あの、その……ありがとうございました!」

黒髪の子は、ペコリ、とお辞儀をしてきた。

いい子だな、と思った。

「あ、大丈夫だよお礼なんてさ。まぁ、俺なんて別にそんなすごいことはできなかったわけだし」

苦笑しながら俺は言う。実際に俺はカッコ悪いことしできなかったしな。

「いえ、でも庇ってくれて。だから、ありがとう……なんです」

言葉を少し少し繋ぎ止めながら言ってくれた。最後の台詞には微笑みも含めて言ってくれた。ぶっちゃけ可愛いやべぇ、と思った。

「本当は私が言わなきゃだったんですけどね。すいません。私、親友の菜谷のことになると、つい、カッとなってしまうんです」

いや、大丈夫だよ。正直あいつら怖かったし、と言うつもりだった。けどできなかった。

なぜなら、

「菜谷?」

「え?」

菜谷というワードが聞こえたからだ。

「君!菜谷を知ってるの!?」

「え?え?貴方も菜谷について知ってるんですか?」

「う、うん。わけあり───みたいなもので知ってるよ。それよりも君はなんで──────ってわ!」

この子に質問をする前に俺の言葉は遮られた。理由は簡単、この子が、黒髪の子が俺の両肩をその両手でガジっと掴んできたからだ。

「菜谷はいまどこにいるんですか!?」

「え?え?」

「お願いします!教えてください!」

黒髪の子。なんか、散歩の途中で偶然的に出会った。

まぁ、なんだ。さっきの不良女子風にいうとだ。

『やべぇwフラグたったwwwwwww 』

みたいなものなんだろうよ

あれ!?バトルな展開は!?

と思ってた人たち、すいません!


まだみたいです(笑)


でも、ちゃくちゃくとシリアス感は出ていきます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ