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『異能現象』  作者: 黒猫優
一章[異状な世界の現象]
21/28

─会話の終着点─

そのまま菜谷と握手を終えた。

話のネタは、正直、もうなかった。

そして、菜谷に一つ嘘をついてしまった。

それは、さきほどの菜谷に『現象を解除する計画は立てている』といった言葉だ。

あれは、ただ、菜谷を安心されるための嘘だ。本当はそんなものはない。だが、俺もこんな嘘をついて悪いとは思っている。

だけど、嘘をつかなければいけなかった。

なぜなら、明確な解除方法を考えてないと言ってしまえば、菜谷が心配するかもしれないからだ。

それでは、異能現象を構成している〈発生条件〉──────正確には、〈発生条件〉の役目になっている菜谷の『恐怖』の感情──────をぬぐいとれないだろうからだ。

『計画がない』と言えば、少量でも『恐怖』は持つだろう。そしたら、本末転倒。

そのことで〈発生条件〉である菜谷『恐怖』も増えたら、『異能現象』の効力はまた上がる。

そうなったら、次は俺でさえ、菜谷の"人に気付かれなくなる現象"に呑まれて、菜谷を見つけることができなくなるかもしれない。

つまり、菜谷の恐怖を増やすようなことは出来ないということだ。

「さてと、今からどうしようか?菜谷」

俺は菜谷に問いかけた。問いかけた理由はというと、静寂に耐えかねたというのも理由の一つだが、何もしないままでは、何も始まらないという理由が一番だった。

「えーと、私、これから少し用事がありますから。『何か』と言われても、そんなに大がかりなことは出来ませんけど…」

少し困りぎみに菜谷は言った。

「いや、用事があるならいいさ。というより、ありがとな。用事があるのに、来てくれて」

俺はそういった。安心させるためというのもあるが、同時に感謝もあったのだ。

ありがとう、と。

「い、いえ!私の悩みの話ですから!来るのは当たり前ですよ!」

あたふたと菜谷は言った。ありがとう、というさっきの俺の言葉に恥ずかしい気持ちでも出てるのだろうか。菜谷の顔は赤い。両手を左右にブンブンと振っていた。

「お、おう。そ、そうか。」

俺はその反応に驚いた反面、同時にやはり、「ありがとう」と俺は思っていた。

「なら、今日はここまでにするか。」

ここまでにする、といってもただ『異能現象』の説明をしただけなんだけどな。

「は、はい。分かりました。えっと、すいませんでした、今日は。忙しいのに」

「いや、大丈夫さ。全く忙しくなかったよ。俺のことは気にしないで」

俺は軽い感じでそう言った。

「いえ、それでも手間をとられてしまったんですから」

菜谷が右手を軽く左右に振った。そして、「えっと」と言葉を句切った。

少し顔を左右にキョロキョロさせておどけている。

「?」

俺は少しその意味が分からなかった。

でも、その数秒後にその意味が分かった。

「あ、ありがとうございます!良和さん!」

そう大きな声で菜谷は言った。

ベンチに座ったまま、ペコリと上半身だけ倒してお辞儀もした。

つまり、お礼をしたのだ。

「お、おう!まぁまだなにも出来てないけどな…」

ははは、と俺は苦笑した。

「さて、」と俺は区切りを入れ、

「今日はここまでだな。明日、またこの公園で待ち合わせにするけど、いいか?」

俺は菜谷に予定を入れることを許可できるか聞いた。

「はい。分かりました。時間は何時ですか?」

とりあえずはOKなようだ。

「時間は、メールで教えるよ。まだ、何時が大丈夫かまでは分からないからな」

「はい、メールですね、分かりました。じゃあ、もう用事の方に急いでもいいですか?時間はまだあるんですけど、…早い方がいいので」

「あぁ、大丈夫だぞ。早目にいった方がいいよな」

俺は優しげに答えた。

「はい、ありがとうございます。では、また、明日」

笑顔の明るそうな顔で菜谷は答えた。

そう答えたあと、菜谷は立ち上がった。

「おう。じゃあ、明日」

立ち上がった菜谷の横顔に俺はいった。

「はい、また明日」

ぺこりと、小さいお辞儀をしたあと、菜谷は小走りをしながら公園を出た。

「ふぅ…」

一人になった。公園にとっては、久しぶりといったご様子で静寂が生まれていた。

俺はベンチから立ち上がった。

そのまま、『さて家に帰るか』と思ったが、家にはあの世界最高の呪術師(というほど重い雰囲気を作れる人)。

MAMIさんがいる。

帰れるわけはないのだ。

「仕方ねぇ。どっかに散歩して時間を潰そうか…」

時間がくれば、雅美の怒りもおさまるだろう。そうして、俺は目的をきめ、静かに公園を出た。



ここら辺りからシリアスはいってきますっ!


グロテスクな動作や言い回しが多分増えると思います。


つまりは、……バトル……ですねっ!



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