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魔導王の夢

_vision0.




 暁の草原。


 朝露の滴る葉が一面に煌めいていた。


「――どうだい、いい願いだったと思わないかい?」


「……何が?」


「いや、何がってこれさ。これだよ、これこれ、この景色!」


「……だから、何?」


 並ぶ男女の姿。


 男性は手を広げ、満足そうに草原を見渡す。


 少し下がって立つ女性は面倒くさそうに口元をひん曲げた。


「だって吾輩(ワガハイ)、王者(キング)だろう? だから、この眺めと未来はその願いに相応しい!! 実に、実に!!」


「……あのね、こんな朝っぱらから何かと思えばこんな草原なんて……まぁ、良い景色だけどさ?」


「ほら、これ見てよ! うむ、小屋さ!! ちっぽけな小屋!!!」


「ええ、そうね。みすぼらしい丸太の小屋。さっきあなたが造っていたわね……で?」


「だからこれが最初の1つ! ――ここから始まるんだ。吾輩ね、ここに街を造る! ほら、どうだい? 素晴らしい光景だろう!?」


「……素晴らしいかは解らないわ。だって今の私にはただの草原しか見えないもの」


 草原に小屋が1つ。


 ただ雨風をしのげるだけの小さな人が住める箱。


 その一見してくだらない箱の上に男はよじ登り、また両手を広げた。


「解るだろう、“学園”だよ! 街そのものが学校なのさ! 未来は見えている、そこにある人々の……学び、競い、輝く美しい情景!! ほらっ、御覧なさい!!」


「輝く、ねぇ……草っ葉がキラキラしているわね。まぁ、しかしなるほどね。あなたにはそういう未来があって、それこそが願いの先にある“望み”なのね」


「そうそう、だから――さッ!」


「おわッ!?」


 小屋から跳び上がり、着地”していた”男。


 不意と、目の前に着地されていた女は思わず仰け反った。


「必要だろう、“先生”がさぁ! 素晴らしい学園のために……学術、魔導の学び舎としてその道の達人を集めなければ!! いや、それはもう実のところ集まっている!!!」


「はぁ、先生ぃ? 達人を先生って……学術……ん??」


「7人、もういるのさ!! えっ、吾輩はですって?? そりゃだって吾輩、学園長先生だもの。だから数にカウントしないものだろう?」


「ちょっと待ちなさいよ。学術はともかく魔導……それも7人って。あなた、まさかでしょ?」


 男は満面の笑み、女は不服の険相。


 昇る太陽の光が2人を照らし上げる。


「君達に頼みたいんだ! だってみんな卓越(スペシャル)なんだもの。吾輩はよく知っているよ! だって王者だから!!」


「……あ、呆れた。何を言い出すかと思えばあなたねぇ……いや、きっと他もそうだと思うけど、まずもって私は拒否するわよ」


「拒否しないでよ! ねね、いいだろう?」


「馬鹿ね、王者の願いは1つだけ。それも叶えるのは協会で、それはもう成されている……。自分で言ったじゃないの、この草原、光景こそが――」


「解っているとも。だからこれは願いじゃないさ、“友として”頼んでいるのだよ。ほら、だってごらんよ。こんなにも輝かしい未来だッ!!」


「~~はぁ。だから見えないし、頼まれたって……何、友って? それ、私のこと?」


 俯(うつむ)いて溜息。その後に呆けたような表情で女は顔を上げる。


 男は手首にある青く、丸い装置に手を置いていた。


「――――あっ。」


 女が声を出す。彼女は装置の意味を先日に理解したばかりだ。


 そんな彼女の様子を気にすることもなく、男は楽しそうに言う。


「仕方ないなぁ~……それじゃぁ、ちょっと観てみようか! ソレっ!」



 男は装置を作動させた。




 「カチッ」と、装置から音が――――――














Series:World Of Gran Dariya




 Title:アラングゥス学園物語


  【魔導都市の希代なる4人衆】









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