152話 活用と白ブドウ
目を抑えて叫ぶピリンさんを眺めていると、俺もさっき同じような状態になったんだなと思わせられる。まぁ俺は光で一時的にだったけど、ピリンさんはレモンの汁だから継続的に痛いだろう…途中からフェルが何をするのか分かったけど、落ち着かせるには一番効果があるかもしれないと思ったんだ。
『んむ!』
やってやったぞ!かい…今回はグッジョブだ。ただ一応攻撃みたいなもんなのに何も警告とかなかったな?じゃれあいみたいなもんだからだろうか。
「この剥いた実の方は仕舞っとくか」
作業の後にでも試食してみよう。今食べるのも旨いだろうけど、なんとなく手を洗ってから食べたい…早いところアクアで手洗いが出来るようにしたいからレベル上げもしなくちゃなぁ。でも間違いなく時間がかかるだろうし、気長にやって行くしかないか。
「うっ…うう、顔から良い香りがするわ」
「あ、ピリンさんお帰りなさい」
やっぱり復活が早いな。俺だったらもう少し苦しむと思うぞ?まぁレモンの皮とかでいたずらをするのはもったいないから最近はやってないけどさ……ワックス加工とかされていない物の外皮を削れば香りづけに使えるし、キッチンの水垢落としとかにも活用できる。勿論砂糖で煮詰めてコンフィにしたりするのも良いぞ!あれでレモネードやスカッシュを作ると旨いんだこれが。
「はい、ただいま!おかげで落ち着いたわ」
『んむ~?』
「大丈夫よフェルちゃん。寧ろ止めてくれて助かったわー」
リラックス効果があった…のか?どちらにせよ落ち着いたのなら良いか。
「よし完全復活!続きをやって行きましょう!」
「よろしくお願いします!」
『んぅー!』
この後の変わった果物たちも楽しみだな!…あ、フェルはその掲げたハーツレモンの皮をこっちに渡してくれ――――対ピリンさん用リーサルウェポンとして使えるから乾燥させたくない。
少し良い香りのするピリンさんと共に、少し畑を歩いて次の収穫する果物の場所に到着した。個人的に途中にあった真っ青なパパイヤとか気になったけど我慢だ。さっき見かけた赤色の柑橘も気になるなぁ……ブラッドオレンジでもあそこまで赤くないし。
「さ、これが次の収穫物よ」
「おお、ブドウですか?」
「正解!ってこれを見ればすぐわかるわよね」
「ですね」
見事に一直線に低木が並んでいて伸びた蔓がまるで壁のようになっている。こういうのをヴィンヤードっていうんだっけ?いやワイン用のブドウってわけじゃないだろうし違うのか?どちらにせよヨーロッパにあるブドウ畑って聞いて想像するやつが目の前に広がっている…まぁ畑の一部だから範囲は狭いけどね。
『むぅ?』
「あー、フェルちゃん達があの時に飲んだジュースとはまた違うものになるわね」
「そうなんですか?」
「うん、アレは行商人さんが来た時にワインと一緒に購入したものだったから。今収穫するブドウだと白ぶどうジュースになるかな?」
『おー!』
「白ブドウですか!爽やかで良さそうですね!」
「爽やか…まぁ色はそうかも?」
色?一体どういうことだろうか。
「取り敢えず収穫しましょ!ナイフを使って頂戴ね」
「了解です」
ふっふっふ、雑貨屋で購入したナイフが火を噴くぜ。といってもズバッと振りぬくと他の枝を傷つけてしまうだろうから、このブドウの保護シートに内側で慎重に――――んん?
【純白ブドウ・品質7:ポリフェノールが一切含まれていない非常に珍しいブドウ。病気や害虫に耐性がほぼないため栽培が難しく、これを生産することの出来る領地を持つ貴族はそれだけでステータスになると言われるほど。食用:若いうちは酸味が強いが味わいが爽やかで加工用に使われ、完熟したものは果物の中でもトップクラスの甘みを誇るが傷みやすいので、生の状態では基本的に現地でしか食すことが出来ない】
「……うん、白ブドウではあるか」
大分白すぎるけどな!
本当に白いブドウ。
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