151話 ヘンテコ果実とリラックス
ゴブリンが減るのは喜ばしいことだとのことで、喜んで了承してくれたピリンさんの横で未だに「えぇ…」といった顔をしてくるフェル。奴らが減るのは妖精や精霊にとって良い事だろうに…何でそんなに微妙な感情を俺に向けてくるんだ。
「別にゴブリンやオーク以外にも使えたら使うぞ」
『んむぅ』
「執着が凄いって言ってるわよ」
「そりゃまぁ、目の前でキュアベリー踏みつぶされてますんで…あいつらそのあと笑い転げてましたし」
あ、思い出したら余計に腹立ってきたな。今度会った時には持てる限りの毒物を食らわせてやることにしようそうしよう。
「筋金入りね」
『あぅ』
下手すりゃ妖精たちよりも憎悪が強いって、流石にそんなことはないと思うぞ。シーズとか笑顔で奴らを滅ぼせとか言ってきそうだし…というかお前も畑の柵で興奮してただろうに。
「いよし!使い道もわかって良い道具も手に入りそうだし、張り切って収穫をやって行きますか!」
「一応言っておくけど、毒のある果物は植えてないからね?動物とかには良くないのはあるかもしれないけどー」
「流石にそこまで毒にこだわっていませんから…」
『ぬ?』
本当だって……騙して食わすのに使えるかもとちょっと期待したけど。
「うーん」
『うぬ?』
「どうしたの?手が止まっちゃてるけど…こっちはいい品質のが少なかったりするのー?」
「いえ、そう言うわけじゃないです」
疑いの目を向けるフェルをスルーしつつ果樹に実る果物達の収穫を始めたまでは良かった。間違いなく旨いであろう見た目のリンゴやオレンジ、考えてみたら果物の胡椒にアボカドを収穫するまでは非常に楽しく正しく実りのある体験だったよ……でも途中から何とも言えなくなってきた。
「じゃあどうしたの?」
「えーっと、今収穫してるレモンなんですけど――何でハートの形をしているんです?」
そう、俺が今収穫しているレモンは何故か全部ハートの形をしているんだ…未熟な緑色のもハートの形だし。
「なんでと言われても、そういう種類だとしか言えないわねー」
「そうですか…」
【ハーツレモン・品質7:甘酸っぱい初恋を思わせる味わいをしているレモンの変種。皮に含まれる芳香成分にはリフレッシュやリラックスに効果があるため、ここぞという勝負の時にこの貴重な実から抽出されたものを使った香水を持つものは多い。食用:通常のレモンよりも甘みが強いためそのままジュース等にされることもあるが、完熟したものを皮ごと利用したジャムは更に絶品】
確かにレモンは初恋の味だとか言われることはあるけどさ、まさかそれをそのまま形として表すとは思わなかったよ。しかも未熟の緑色の方を鑑定したら【思い人に渡すと成就すると言われている】とか書かれてるし、一体どんな果実よ?
いやこんな果実なんだけどさ…あとコレを渡せばそりゃ意識されるでしょうね。形がまんまですもん。
「このレモンはこの村で特に行商人に人たちがこぞって買っていくのよね。恋を運ぶとか言われているらしいけど、実際は分からないわ……私にもこの妖精への恋がうまくいけばいいのにー」
「多分恋じゃなくて愛だから無理じゃないですかね」
『んむ』
「っく!2人がかりだなんて卑怯よ!」
いや事実を述べただけですんで…あとフェルは異常執着っていうのはやめてあげなさい。ドストレート過ぎてピリンさんにクリティカルヒットしてるから。
「だ、大丈夫よ。フェルちゃんがこんなに近くにいても前みたいにはなっていないんだから!他の子がやってきてもあの時みたいな醜態をさらすことはないはずよ!」
「いやーどうですかね?」
「絶対に大丈夫よ!ハグだって問題なかったんだから……ほらフェルちゃん!もう一度ハグを!」
そう言って目を閉じながらハグの態勢に入った…既に醜態をさらしてないか?
『ん』
「ん?コレを剥けと、はいはい」
む、普通のよりは剝きやすいな。そんで良い香りが広がるねぇ…確かにリフレッシュにいいのかもしれん。
ペリペリ…プチ
あ、そういう事ね。
『あぃ』
「どうしたのフェルちゃん…目を開けてだなんて……まさか何かプレゼントがあるのかしら!?」
『やぁ!』
プシュ!
「いやあぁぁ!?目に愛情があぁぁッ!?」
落ち着けと発すると共に、見事に今剥いたハーツレモンの皮の汁がピリンさんの両目にヒットした…リラックス効果出るだろうか?
ダイレクトリラックス。
何故か目に関連した話が多い…そろそろ花粉が来る季節かぁ。
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