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俺は孤高のVTuber?  〜俺が男という秘密は死んでも守る〜  作者: こっこ
VTuber企業に勤めてそろそろ一年ですが、まだ他のVTuberとコラボしたことがないそうです。
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第4話 コラボ配信が遂に始まったが、初っ端からコラボの大変さを思い知ったそうです。

Vmove'sという会社は設立した当初、VTuberという今までにない新たなジャンルを作り出し、そのおかげで今では1つの大企業へと上り詰めることが出来たと言われている。


だが、本当にそうだろうか?


もしVTuberというジャンルを作り、モーションキャプチャーの技術で商売をしていたとしても、ここまで大企業なることは無かったに違いない。


そう、つまり俺が言いたいのは、今このVmove'sという会社があるのは、初代設立メンバーの9人がいたからだということだ。


新たなジャンルを生み出し、そのジャンルにおいて最初から圧倒的な存在を作る。それにより、他のどの大企業でもこのVTuberというジャンルでは太刀打ちできない状況を作り出した。


それがこのVmove'sという企業が成功した理由だと思うのだ。


そして会社はもちろんのこと、このVTuberというジャンルそのものを活性化させた初代設立メンバーである9人の存在がどれほど偉大なのかはこの会社に勤めている皆が知っている。


そして俺の目の前いる彼女、莉音先輩もその9人のうちの1人なのだ。


ちなみにVTuberというものが生まれてから約1年ほどの間、あまりにも9人の人気が絶大すぎるせいで個人のVTuberや他企業のVTuberがほとんど人気がでないという現象がおきており、VTuber業界で頂点に君臨する様から9人は"九帝"と呼ばれていたそうだ。


そしてその1年間は"九帝時代"と呼ばれていたという。


九帝の先輩達はいまでも圧倒的な人気を誇っており、そんな先輩の1人が俺の配信に参加してくれることになったのだ。


そう、俺は初の正式なコラボの相手に大先輩がいるということで、とてつもなく緊張しているのだ。


撮影場所に置かれた椅子に撮影するカメラから見て右から美咲、燈哉、遥、莉音の順に座っていた。


皆黒いモーションキャプチャー用の服に身を包んでおり、カメラのセットも完了していたので、配信の準備万全だ。


配信の開始まであと1分を切っておりすでに燈哉が今まで来海として配信してきた中で最高の同接人数を誇っていた。


「よーし、始まるよ!多分長丁場になると思うけど準備皆大丈夫?」


「「もちろんです!」」


莉音のその言葉に遥と美咲はそう元気よく答える。


が、肝心の燈哉は「はい...」と小声で呟やくだけだった。


「綾芽ちゃん、何やらかしたって先輩の私がいるから大丈夫だよ!だからもっと胸を張っていこ!」


莉音はそう燈哉を励ます。その言葉には先輩としての力強さがあり、燈哉の張り詰めた緊張感が一気に和らいだ。


「はい!」


今度は莉音の言葉に元気よく返事をした燈哉。

それを見た遥と美咲の2人も安心した様子だった。


そしてついに配信が始まる。


燈哉から見て正面にある2つの大きなモニターのうち燈哉から見て左側に4人それぞれに4人それぞれのアバターが投影された様子が映し出された。


そして時計の針が丁度12時を指すのと同時に、VTuber明野来海にとって初の正式なコラボが始まった。




「微分、積分、いい気分!どうもみなさんこんにちは、明野来海です!そして本日来て頂いたゲストの皆さんです!」


「VTuber法律事務所代表取締役兼、皆のアイドル!法々ミハネです!それとっ!」


「Vmove's怠惰担当、早坂みなみで〜す!そしてっ!」


「今日は、生で、したい気分〜。どうもみなさんこんにちは、神楽阪サツキで〜す!」


燈哉、美咲、遥、莉音の順に椅子から立ち上がって自己紹介をしていった。


おい!?この人俺の自己紹介をパクった上に初っ端からセンシティブな発言ぶちかましやがった!


燈哉は莉音の色っぽい声でいきなりセンシティブな発言を言ったことに心の中で思わず先輩に怒鳴った。


「サツキ先輩、昼間っから後輩とのコラボ配信での第一声がそれはそれはヤバいよ!」


隣にいた遥が莉音にそう注意する。


そういえば頼れる先輩だなと思っていたけど、神楽阪サツキ

ってこういう人だった・・・


燈哉は頼れる先輩の莉音という考えを一回捨て、九帝の中でも問題児と言われた神楽阪サツキを思い浮かべた。



神楽阪サツキ。少し暗い赤を基調とした短い髪に、紅く澄んだ瞳、そして大きな胸を携えた美少女である彼女は、OLが着ていそうな服を身に纏っているのだが、なぜかその服の設計がわざと胸元を見えるようにできており、妙に色気を放っている。


設定はエロすぎて授業に集中できないという生徒とその親からクレームが相次いぐ教師というもので、下ネタやセンシティブな発言を多用する本人はこの設定にとても合致している。


だが、あまりにも下ネタやセンシティブな発言を自分の配信で多用するため、今のようにコラボの時などでも何気なく言ってしまうことが多く、よく怒られるそうだ。


「いや〜今の発言のどこがヤバいのか先生わからないな〜。もしかして何かよくないこと想像しちゃったのかな?」


「え、いや、ほら、その・・・」


ちなみにサツキというキャラの一人称は先生である。


そんな時、遥が違う違うと言わんばかりに伸ばして振った手

が莉音の胸にあたった。


「あっ!みなみちゃんおっぱい触った!」


「いや、違うこれは事故で!」


「本当に事故かな?自分に全くないから触りたくなっちゃったんじゃないの?」


「全く無いとは失礼な!先輩でも許しませんよ!」


そう言った遥は急に莉音の胸を掴み、莉音のことを押し倒した。


「ちょっとみなみちゃん!悪かったからやめてっ!」


「どうしたらこんなにでかくなったんですかこの胸は〜!」


あまりのくすぐったさに莉音は笑い声を上げる。

それを見た美咲は止めようと間に入ろうとした。


「ちょ、ちょっと遥先輩やめてあげて!もう配信始まってるんだよ!」


「ミハネ!お前も私より年下のくせにこんなでけぇ胸ぶらさげやがって!許さん!」


対象を莉音から美咲に切り替えた遥は今度は美咲の胸を掴んで押し倒した。


「ちょっ、先輩やめてっ!」


「どうせお前だっていつも"この先輩胸ちっせぇなw"とか思ってるんだろ!答えてみろ!」


「確かにぃっ!思ってないってことはないですけどっ!」


「あぁ!?やっぱ思ってるじゃねぇか!」


遥の怒鳴る声と美咲のエロい声がそのまま配信で流れる。


何かやらかしても大丈夫とかいっておきなら真っ先にやらかす莉音先輩に、普段の姿見から想像できないような暴挙にはしる遥先輩。そしてエロい声をあげて余計センシティブに状況を作り出す美咲先輩。


「コラボってこんなに大変なんだね・・・」


燈哉のその素朴な一言にリスナーからは多くの燈哉に共感した内容のコメントが寄せられた。


まだ始まったばかりだそ。絶対に負けるな俺。負けるな明野来海!明日は絶対に美味い飯食べに行くから!


燈哉はそう自分に言い聞かせ、なんとか心折れずに堪えるのであった。

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