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愛恋好心という文字を使わずに恋をしている事を表現してみる
新学期の憂鬱を少しでも拭いたくて、僕は母校の中学の隣にある公園の桜を見に行った。
君と過ごした校舎を眺めたら、胸が軋む。
もう僕らは同じ学校の制服じゃない。
「あ」
僕は桜を見に来たはずだったのに。
「わあ、偶然!」
真新しい制服の裾から伸びる白い美脚。
春の陽射しを思わせる無邪気な笑顔。
「そっちの高校はどう?」
と、僕に気付いて駆け寄る君しか視界に入らない。
「君がいないから、寂しい」
気付けば僕はそう言っていた。