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(全5話) 1. 朝帰り



銀座で友達に会った。


タキガワくんの

地元メンバーとの飲み会に

誘った友達に 

タキガワくんが

亡くなってしまったことを伝えた。


ショックを受けていた。


もう、10年も前のことなのに

彼女は彼のことをよく覚えていた。


私が忘れてしまっていたことを

話してくれた。 


あの遠い日に、

浅草で待ち合わせをしたときの思い出を

ふたりで話した。


彼女の家が、浅草から近かったので 

彼らが気をつかって


浅草で待ち合わせをしたということだった。


雷門で待ち合わせしたのに

彼らが別の門で待ってたから

すぐに会えなかったらしい。

 

彼女はその時、タキガワくんに

電話で門の説明をしたといった。


別の門の裏のほうで

待っていた彼らを見つけてあげて

やっと会えた。


その日はゴールデンウィーク中で 

タキガワくんが髪をカラーリングして

金髪で現れて驚いた。


靴もスパイダーマンのスニーカーをはいて

得意気にしてたと話した。 


歳もだいぶ若そうだし 

当時の私のことを


最近はいったいどういう人達と

付き合っているのか。と

ちょっと心配になった。と笑った。


そうだよね。

だいぶ年下で、金髪で、スパイダーマンじゃ一緒にいて

ちょっと派手だしね。と笑った。


雷門の近くの○○という居酒屋で飲んで 

上野の○○○というカラオケで歌ったと

細かいところまで良く覚えていた。


みんな若かったよね。

まだ、高校生みたいだったよね。


私たちもまだ若かったよね。


タキガワくんが金髪にしていたことなんて

忘れていたけど 

そう聞いたら思い出した。 


金髪? 会社どうするの? といったら


明日また黒くカラーする。っていってた。


だから、金髪は今日が最後だよ。といって 


私に、どうお?と 髪をさわって見せた。


私は、いいんじゃない? 

それほど明る過ぎず、いい色だと思うよ。

綺麗に染まってるし

うまくいったじゃない。といって


私も、やってみたい。と答えた。


染めてみないと

どういう色になるかわからなかったから 

心配だったけど


まぁまぁ うまくいった。と話し 


黒く戻すときも

うまくいくといいけど。と心配してた。 


あの時は、

まるで夏休みが終わる高校生みたいなこと

言ってるね。って 

ふたりで話したんだよね。 


彼女が、

朝になって送ってもらったとき

一緒の車だった?

それとも2台にわかれたの?

ときいた。


一緒だったよ。先に下ろしてその後

うちに送ってもらったよ。

と話した。


ふたりでタキガワくんのことを話していると 隣のテーブルのグループから



タキガワくんがどうした。とか

タキガワくんがああした。とか

タキガワくんがこうした。とか 


何度も何度も タキガワくん。

と言うのが聞こえてきたから、


ふたりで顔を見合わせた。


私はなんだか、錯覚みたいになって

タキガワくんが

隣のテーブルにいるのかと思って

そのグループの人たちの顔を見た。


いるはずないのに・・・。


同じ名前の知り合いがいるんだな。

とは思ったけど、


偶然・・・?


彼女は、見えないけど

タキガワくんは

今そこで一緒に飲んでるよ。と


私の隣の空いてる席を指差した。


そうだね。 

今日は、私のこの友達に、

最後の挨拶に来てくれたんだ。 と思った。


お店を出て、彼女と別れてひとりで歩いた。


あの日の光景を思い出していた。


横断歩道を渡っている。


私は、道の向こうに停めてある

クルマに向かって歩いていた。



-10年前-

外に出るとすっかり明るくなっていた。 


先に歩いて行った

友達の後姿を追いかけながら 

朝のクルマも人もいない


横断歩道をゆっくり歩いて渡ってた。


誰かが後ろから近づいてきて

私の左手を取って少し前を行った。


タキガワくんだった。


朝日の眩しい、よく晴れた朝だった。


私の手を取り、少し先を歩く

彼の後姿を見ながら 


この人はいったいどういうつもりなのか。

と考えていた。


私はこの先、

いったいどうすればいいのか・・・。


戸惑っていた。 


(つづく)

【5話の完結まで、あと4話】

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