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第七章夜空の夢

「あれ?ここはどこだ?」

 気が付くと、裕太は、夜空の草原を歩いていた。

 夜空の草原を歩く裕太の姿は、四十五歳の姿だった。

 「裕太、おいで。おいで」

 裕太の前を歩く母が手招きして言った。

 父も隣に立って手招きをしていた。

 二人ともリュックサックを背負って山岳に行くような格好をしている。

 二人とも八十歳を超えているのに重たそうなリュックサックを背負って元気そうな様子だった。

 裕太も山岳に行くような格好をしていた。

 「どこに行くの?」

 裕太は、首を傾げて聞いた。

 「星を見に行くのでしょう」

 母が言った。

 「そうだ。裕太。星を見に行くのだろう。今日は、裕太の為に来たのだから」

 父も言った。

 裕太は、両親に言われて付いて行った。

 両親に付いて行くと、小高い丘が見えた。

 丘の上に登って、夜空を見上げると、綺麗な星が無数に広がっていた。

 「綺麗な星だね…」

 父が星空を眺めて嬉しそうに言った。

 「そうだね…。こんな綺麗な星見た事ないよ」

 母も星空を眺めて嬉しそうに言った。

 「御袋、親父、この宇宙は広いの?」

 裕太が真顔で両親に聞いた。

 すると、父と母は、微笑んで裕太の方を見てゆっくりと頷いた。

 「そうだよ。この宇宙は、広い。我々人間の寿命では、冒険出来ないくらい広い…」

 父が切なそうに星空を眺めて言った。

 「そうよ。だから、今を精一杯生きるの。この地球というちっぽけな星でね」

 母が真顔で言った。

 「そうなのか…」

 僕は、少し寂しそうに星空を見上げて言った。

 「裕太は、仕事はまだ無理か?」

 父が心配そうに聞いた。

 「…え?何?」

 裕太は、首を傾げて聞き返した。

 「仕事だよ。仕事」

 父が笑って言った。

 「そうよ。いつまで家に引きこもっているのかなって…」

 母が笑って言った。

 裕太は、その時腕を組んで考え込んだ。

 いつになったら働くのか…。

 そんな事直ぐには、答えられない…。

 どう働くか何て…。

 今まで引きこもっていたのに直ぐに働けるだろうか…。

 だけど、働かないと生活は出来ない。

 それは知っている…。

 知っているけど…、それでも…働く自信がない…。

 どうすれば良い…?

 何て答えたら良い…?

 裕太は、激しく葛藤した。

 すると、両親が裕太の顔を見て微笑んで頷いた。

 「良いのよ…。無理しなくて…」

 母が微笑んで言った。

 「そうだ。仕事したくなかったらゆっくりしていけば良いじゃないか」

 父も微笑んで言った。

 「え…?良いの?」

 裕太が目を見開いて驚いて聞いた。

 「そうだよ。別に裕太の人生なのだから裕太の好きに生きたら良いじゃないか」

 父が笑顔で言った。

 「そうよ。ただね。これだけは、覚えて置いて欲しいの」

 母が前置きして言った。

 「何?」

 裕太は、真顔で聞き耳を立てた。

 「動き続ける人になってね」

 母が真顔で言った。

 「動き続ける人…」

 裕太が真顔で言った。

 「そう。部屋にこもっていても何も分からないの…。だから、外に出て冒険して欲しいの…。そして、色んな景色を見て欲しいの…。人生は、一度切りだからね。その一度切りの人生でどんな情景が広がっているか見て欲しいの。動き続けながら。早く動き続けるモノ」になって欲しいの…」

 母が少し寂しそうに言った。

 裕太は、少し考え込んで母の方を向いて大きく頷いた。

 「分かった…。そうするよ…」

 裕太は、笑顔で頷いた。

 「良かったわ」

 母も微笑んで頷いた。

 父も微笑んで頷いた。

 「後、親父、御袋今まで迷惑をかけてごめん。俺、働くように就職先探すよ」

 裕太は、両親の方を見て真顔で言った。

 「ありがとう」

 両親は、笑顔で頷いた。

 そこで目が覚めた。

 気が付くと、裕太は、ヒヒと一緒に寝ていた。

 外は、まだ薄暗く陽は、昇っていなかった。

 裕太は、感慨深くなって考え込んでいた。

 …御袋、親父…俺が死んでしまって悲しくなっていないだろうか…。

 裕太は、ふと心配そうに思った。

 ただ、今は、チータとして生きて行くしかない。このヒヒに助けを借りないと…。

 裕太は、そう思って強く決心をした。


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