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第8話:物語の設定は、過去の戦いから3年後で描かれてます

いつもの朝───

パメラは、いつもの様に落書きをしに行くがいつも逆に仕返しをやられてしまう。

ペンの蓋を開けておき、何を書くかを決めておき、言われた通りに気配を消す事も覚えた。

だけど、1度も成功した事は無い。忍び足で近づくが必ず書く瞬間に、持っていたペンが消え肩を叩かれ振り向くと顔に落書きをされる。

落書きが終わると欠伸をしながら、居間へと向かう。一通り挨拶をして、ご飯を順常じゃない量を食べて学校へ向かう。

パメラは急いで追い掛けるけど、背中を追う事も叶わなかった。

こうやって、いつもの朝は過ぎていくのだった──。


治療術学の時間になり、ランドは教卓の隣──窓側に席を設けられた。

魂学では、ランドは逆に教卓に立ち教える側に立つのだが、治療術学に対しては席を設けられ授業を受ける事になった。

獣人にならなければ、治療術を使うことが出来ないランド。魂学の時間ならば、獣人化をしても騒ぎは起きないだろう。

だが、今ここに居る者達は、少しだけ特殊な力を持った生徒達。

見慣れた彼の姿だが、初めて一緒に授業をする者も居る。

最初からそんな無茶は出来ないと踏んだ理事長は治療術学の時は助手として使う事にした。

授業が始まりランドは出番が来るまで窓の外を眺めていた。

外は広い校庭になっており、その校庭を守るかの様に周りは森で囲まれている。

森と校庭の間には、何かのお守りなのか半透明な壁が見え隠れしていた。多分、モンスターが校庭に入って来ない様にする為であろう。


今、校庭では普通学生が体育の授業をしている。みんな楽しそうに遊んでいた。

ランドは陽の当たりも良かったせいか、少しウトウトしながら普通学生が遊ぶ様を眺めていると、丁度ランドから見て真正面の方の壁にヒビが入るのが見えた。

ランドは目を擦り、見間違いかと思いもう1度壁に目をやる。

見間違いでは無かった。ヒビは、どんどんと大きくなると完全に破れた。

穴が開いた壁からは、丸太の様な物がゆっくりと出てきた。それは、ザリガニと蛙を足して2で割ったような色をしている。

ランドはただボンヤリと見ていたが、その物体から先の物が見えた時に危険な物だと判断した。

更に壁の穴は大きく開き、血の様に真っ赤な口、全てを見渡すかの様なギョロっとした目──体格は山の様にデかい魔物が姿を現した。

校庭で遊んでいた生徒達は、急ぎ足で校舎へと駆け込んでいる。

校舎中に警報がなりだした。非常ベルか何かだろう。

今まで真面目に授業をしていた生徒達も慌て出した。

「ランド!こっちに!シェルターがあるから、そこに避難して!」

後ろからパメラの声がする──が、ランドは振り返らずに魔物を見下ろしていた。

「俺は大丈夫!先に行っててくれ!」

ランドは獣人化をすると、窓を突き破り外へと飛び出した。

「ランド!ここ5階よ!」

パメラは窓に近寄りランドが飛び降りたらへんを見下ろすと、校庭に大きな穴が開いていた。

さすがに魂を使っていても、所詮は犬科の魂──高所から飛び降りたランドは着地出来ずに校庭に傷跡を残したのだ。

「パメラ!ランド殿は?」

生徒達を教室の外へ先導し、教室に残っていたパメラの元へ理事長が駆け寄ってきた。

パメラは無言で、校庭の穴を指さした。

「大丈夫かの?」

「大丈夫でしょ。ほら、穴の中が青く光ってるし──ランドは、ほって置いて早く逃げようよ」

無言で見ていたが、急に我に返ると理事長の腕を取り引っ張った。


「痛ててて…」

穴から金色の毛の狼と人間を合わした手が出てきた。

「まさか、5階だったとは──さすがに、着地出来なかったかな」

などと呟きながら、穴の外へはいだしてくる。

「にしても…何だアレは」

近くで見ると、魔物は更に大きく見えた。

体は、脂か何かでテカっておりズルズルとはいずりながら、校庭へとせせり出てくる。

「食っても不味そうだな」

まじまじと観察をしていたら、先制攻撃をしたのは魔物の方だった。

魔物は大きく口を開け、蛇の様な長い舌をランドに絡ませると校舎の方に投げ飛ばした。

不意をつかれたのか、ランドは校舎の窓を突き破り教室を抜け廊下の壁にめり込んだ。

避難の途中だったのか、生徒の声にならない声が聞こえた。

「大丈夫ですかっ!」

生徒を先導していた教師が声をかけてきた。

ランドは、吹き出る血を払うかの様に頭を振り立ち上がる。

「だ──大丈夫です────よ」

フラフラしながらも、自分が開けた穴の方へと歩き出した。

魔物の方からも悲鳴が聞こえる。魔物の腕がぱっくりと割れて血が吹き出した。

「くそー…1発が限界かぁ」

不意をつかれたとは言え、投げ飛ばされる瞬時に鋭い爪で斬撃を飛ばしたのだが、長いブランクもあり1撃しか魔物に入れる事が出来なかった。

「もうちょっと、手首をこう曲げて──」

まだまだ余裕ながらも、斬撃を飛ばす練習をしていると魔物は第2撃目をランドに向かい放つ。

丸太の様な腕は真っ直ぐと伸びてきた。

「そんな遠くから当たる訳───」

言葉を止めた。

今いる場所は教室の中。後ろには避難途中の生徒達。

腕は、ランドの開けた穴よりも大きく窓ガラスを更に割り突っ込んできた。

「避けたらヤバいよな──」

ランドは腕を大きく開けると、魔物の腕を受け止めた。

腕の威力は抑えたのだが、ランドの体は抑えきれずにまた吹き飛んだ。

再度、廊下の壁にめり込むランド。

「くそー…手加減無しかよ」

さすがに、2発も攻撃を喰らえば体はもたなかった。とりあえず、五身が動くか確認をする。

骨折や内臓破裂は、頑張れば自己回復で治療する事は出来るのだが、それをやるには時間がかかる。

今の大きな傷は、全身につけられた切り傷だけと判断すると、地を蹴り校舎から抜け出した。

そう言えば、ランドを攻撃するタイミングは一杯あった筈なのに、魔物は連続して攻撃をしてこなかった。先程まで、それは分からなかったが校庭に出て理由が分かった。

ここの教師の1人であろう、狐の魂を宿した剣士が魔物に向かっていた。

素早い動きで敵を翻弄し、隙あらば刀で魔物の肉を切り裂いている。

「ランド殿!大丈夫ですかな」

血まみれのランドに近寄ってきた婆さんは、手をかざすとランドの傷を治していく。

怪我を完璧とは言わないが、傷を癒されるとランドは狐剣士の元へと駆け寄った。素早いのが2匹に増え、更に魔物は翻弄される。

「婆ちゃん!あの2人が入れば余裕で倒せるんじゃない?」

パメラは理事長の所へと駆け寄ってきた。

「そうなんじゃが──何か大事な事を忘れてる気がしての」

理事長は首を傾げた。

「大事な事って何!?」

パメラの言葉と同時に、ランドは3度目の校舎破壊の旅に出かけた。

それを見た狐剣士は、一旦地上に降り立つと奇妙な構えをしだした。

「あああ!ランド!大丈夫!」

パメラはランドが吹き飛んだ場所へ叫んだ。それと同時に理事長は手を叩いた。

「そうじゃ!あの2人はある共通点があるんじゃ!」

「共通点?」

「そうじゃ!その共通点とはな…」


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