18話 調理ギルド
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とても嬉しいです。
不安であったが、体調面も問題ない。
昨日、魔力マッサージを行った甲斐があった。
足だけでは無く、全身をほぐしてあげた。
それに、天気も良い。
今日は、予定通り調理ギルドに行ける。
(主様、昨晩はご苦労さまでした。彼女はうつ伏せになってたので分からなかったでしょうが、私からは全てが丸見えでしたよ。マッサージを行っている時ものすごく嬉しそうな主様が! ニヤついて居るその様は、性犯罪者予備軍のソレでしたねこの変態!)
ティアをマッサージしてあげた時だろうか。
間違いないだろう。
クソッ。見られていたのか。
自分の表情なんて見えないしわからないから油断していた。
ケット・シーの気配には気付いていた。
だから、冷静に振る舞おうと、感情があふれるのを必死に堪えていたんだ。
なのになぜだ。
俺、ポーカーフェイス、出来ていなかったのか。
思わずため息を吐いてしまう。
とりあえず忘れよう。
神殿へ向かわなくては。
「……出発しようか」
「わかった」
「はーい」
ヘリオス兄は、まだ少し眠そうだ。
昨日はあんなにぐっすり寝ていたというのに。
確かに、初日は初めての旅で緊張もしていただろうし、余計に疲れただろう。
「調理ギルドかあ。ふふふー楽しみだねー」
ティアは調理ギルドに興味あるらしい。
俺の家に来る時は、率先して料理をしているから、嫌いではないんだと思う。
きっと好きなんだろう。
「じゃあ、まずは調理ギルドかな」
調理ギルドは街の隅にあるらしい、幸い、比較的近くに神殿もあるらしい。
用事は一日で済みそうだ。
◇
「すごいな」
「うわー! 見たことがない食材がいっぱいだよー!」
見たことも様な食材がずらっと並んでいて壮観だ。
人もたくさん居て、活気に溢れている。
なんというか、市場と表現するのが近い気がする。
いくつもの店がずらりと並んでおり、それぞれの店で、異なる食材を扱っているようだ。
肉、野菜。
ほとんどここで揃ってしまいそうだ。
魚も少しばかりだが置いている。
海魚だろうか、でも近くに海は無いだろうし川魚かもしれないな。
市場の周囲には、屋台のような店がちらほら。
調理された物を売っているようだ。
良い匂いにつられ。
さきほど朝飯を食べたと言うのに、少しばかり食欲が湧いてしまう。
この様子なら、朝食を抜いてくれば良かったな。
「すごいな。美味そうなものがいっぱいあるぞ」
「用事が終わった後で何か食べない? お金、少しは余裕あるしさ」
「いいねー、楽しみだなー」
二人とも、初めて見るものが多いようで、少し進んでは辺りをきょろきょろと見渡している。
お上りさん丸出しだ。
かく言う俺も、好奇心をそそる物ばかりでそわそわしてしまう。
こういう時は、斜に構えず楽しむのが一番だ。
あの食材は煮詰めると良い出汁が出そう。
これだったら生の状態で、調味料を加えるだけで美味しく食べれるのでは?
食材をどう料理すれば美味しくなるのか、想像するだけでわくわくする。
それに、気になる料理もたくさんあった。
見たことも無い形状の肉の丸焼き。
ラーメンに見えるが、麺らしきものがぷるぷると動く物。
色が鮮やかすぎる野菜の炒め物らしき物。
人によっては忌避感を持ちそうな料理が多いが、俺としては興味をそそる。
どのような味がするのだろうかとても気になる。
そういえばコーヒーみたいな匂いもしたな。
あの匂いはクセになるんだ。
香ばしくも果実のような甘い香り。
願いが叶うのなら、豆を炒った直後の挽きたてのコーヒが飲みたい。
帰りの荷物は増えてしまいそうだ。
しかし、調理ギルドは何処にあるのだろうか。
「どうしたんだ、子供がこんな所で」
きょろきょろしていたら、声を掛けられた。
そこには背が高く、鍛えられたしなやかな体躯を持つ、すらっと綺麗な女性が立っていた。
長い三つ編みがよく似合う。
瞳は大きく眼光が鋭い。
捕らえられたら逃げるのは難しそうだ。
「調理ギルドを探していまして」
「そうなのか。だとしたら、既に着いているな」
「え?」
「ここら一帯が調理ギルドだ」
既に着いていたらしい。
市場全体が調理ギルドって事になるのか。
「何か用なのか?」
「エストルスの村の肉屋から、注文書を持ってきました」
「そうなのか。私が預かるよ。ここの管理者の一人なんだ」
「あ、そうなんですか。お願いします」
バックパックの中から注文書を取り出し、女性に差し出す。
女性は注文書を受け取り、ちらっと内容を確認している
「うむ、これならすぐ用意出来る」
受け取った手紙を、懐にしまってこちらを見た。
眼力が凄い。
化粧する必要なんて無いくらい、ぱっちりとしている。
何となく、その目をじっと見つめてしまっていると、女性は不思議そうな顔でこちらを見ているのが分かった。
しばらくして、はっと何かに気付いたような表情に変わった。
「私は、ジンジャーという。よろしくな」
知っている響きだ。
こちらの世界には、似た言葉があるのだろうか。
そうだ、こちらも名乗らなければ。
「僕はセリニスっていいます。こっちが、兄のヘリオス。で、こっちが友人のアスティアナです」
そう言って二人を紹介した。
二人は軽くお辞儀をしている。
挨拶が軽く済んだ後、目の前に手を差し出された。
握手を求めているのだろうか。
この世界にもそういった挨拶があるんだな。
その手を握り、握手をした時、少しタコがあるのを感じて少し驚いた。
職人の、働いている人の手だ。
頑張っている人の手だ。
綺麗な顔から想像してなかった感触に、少し戸惑ってしまった。
思い返せば、前世では綺麗な手の人が多かった。
働いていた場所が都心に近いって事が理由でもあるんだけれど、すべすべな手をしている人がほとんどだ。
生活感、背景を感じる感触は嫌いではない。
「そうだ。お前たち腹は空いてないか? 美味いものを仕入れたんだ」
どちらかと言えば空いてないけれど、食べようと思えば食べれるような。
振り返ると、とても興味津々な表情をしている二人が居た。
けど、今食べたら動けなくなるぞ。帰りにでもまた寄ろう。
「空いて無くは無いですけど……さっき朝ごはん食べちゃったんです」
「そうか、まだ入るな! いっぱい食わせてやるぞ。子供は腹一杯食べるべきだ!」
「うん?」
可怪しいな。遠回しにいらないと言ったつもりだったんだけれど。
ジンジャーさんは、俺達が着いて来る事をほとんど確認せず、歩き出してしまった。
兄さん達は自然と後を着いて行ってしまっている。
俺は、その様子を呆然と見ていた。
少ししてはっと我に返って、皆に追いつくため駆け出した。
自然とため息が出てしまっていることに気がついて、年齢も精神も純粋に子供であったら良かったのにと考えてしまう。
◇
広めの食堂の様な場所に連れて来られた。
机と椅子が数カ所に設置されており、奥に厨房が見えた。
立派な機器や調理道具が揃っており、清潔感がある。
理想の調理場だ。
「許可さえ貰っていれば、ここの物は好きに使って良いんだ。今から作るから少し待っててくれ」
ジンジャーさんは厨房に行き、食材を用意している。
俺たちは、設置されている食卓に着いていて、厨房の方を見るとジンジャーさんの上半身しか見えないため、ここからでは何が作られているのかが分からない。
しばらくして、じゅうじゅうと何かを炒めるような音がし始めた。
ふわっと、スパイスの香ばしい匂いが漂ってきて、空腹では無いのに食欲が湧いてきた。
「何が出てくるんだろうな、楽しみだねー」
「良い匂いがするな。腹が空いてきた」
二人とも、とても楽しみなようで、目がキラキラとしている。
気持ちはとても分かる。どのような料理が出てくるのだろうか。
村では食材の種類が少ないため、どうしても、料理は質素で単調になってしまう。
市場を見た限り、見たことない食材が使われた料理が出て来るのが分かっているので、期待感で胸が躍る。
「出来たよ」
出てきたのは、水気のあるプリプリした麺に、炒めた肉と野菜が添えられた料理だった。
パスタだった。
この世界で、パスタが食べれるなんて驚いた。
二人を見ると、驚いているのか、戸惑っているのか「匂いは美味しそうなんだけれど、どう食べれば良いのか分からない」という様な表情をしている。
「冷めない内に食べな」
俺はフォークをパスタに突き立て、麺を絡め取り、口に入れる。
口の中に小麦の旨味が広がり、肉と野菜は、普段、村で食べているような芋と根菜ではない。
青菜と鶏肉の様な物を使っているので、あっさりしていてパスタと良く合う。
兄とティアは、俺の食べ方を真似して、フォークで麺を絡め取り、恐る恐る口元へ近づけた。
あと一歩が踏み出せないのか、口に入れるのか迷っている様子だったが、香ばしい匂いにまけたのだろう。
喉ががごくっと動いた直後、麺を口の中に放り込んだ。
「美味い」
「おいしーい!」
どうやら、二人は気にったようだ。
そりゃそうだ、普段食べているものに比べたら旨味が違う。
「料理の新作を考えているんだ。これはその試作品だ。どうだ美味いか?」
ただ何だろうな、麺が知っているものより白い。
麺に風味が足りないような。
「すごく美味しいですよ。ただ、麺の味が素っ気ないというか、なんと言うか」
何が違うのだろうか。
生前見ていたのはもっと黄色かったような。
「あ、そうか。卵が入ってないんだ」
「卵か? たしかに美味いパンは卵入れているしな、試してみるか」
おそらく卵が入っていないせいだろう。
学生時代、ホットケーキを水だけで作ったら、偉く不評だったもんな。
あの時は余裕が無くて、節約の日々だったなあ。
懐かしいけど、あの頃に戻れと言われたら、あまり気が進まない。
「トマトソースで和えると美味しいですよね」
「トマトソースって何だ? 聞いたこと無いな」
そうか、こちらの世界と前の世界は別物か。
当たり前だけれど考えが及ばなかった。
「簡単に言うとトマトを煮込んだ物です。この麺と絡めて食べると、酸味とほのかな甘味がよく合って、あっさりとしつつも、旨味で溢れて濃厚でとても美味しいですよ」
「ほう、聞いているだけでも食欲が湧いてくるな。けれど、トマトなんて食材があるのか?」
トマトソースが無いのなら、トマトが無いのも当然か。
無いものは作れない。諦めよう。
「ちなみに、どのような食材なんだ?」
「瑞々しい赤い実で、中はジェリー状の果実が詰まってます」
「ふむ」
ジンジャーさんは、難しい顔をして食材が積んである棚を見ていた。
「チュイロの実が近いかも知れないな」
見つめていた棚から、食材を持って来た。
形はナスに近くひょろ長いのだが、ぐねぐねとうねっており、色は赤と紫色のグラデーションとなっていて、見た目は少しばかり気色が悪い。
毒素ありますよって言われても不思議ではないけれど、それ食べるの?
「どうした、苦虫を噛み潰したような顔をして」
「え、そんな顔してました?」
駄目だ。
どうしても感情が顔に出てしまう。
これは良くないぞ。
「どうやって調理すれば良いんだ?」
「ええと、まず香草を油で炒めて香りを出してから、細かく刻んだその実をその油で炒めるように煮込んで――」
「効いただけでは良く分からないな。一度作ってくれないか?」
「え、どうしよう……」
何気なく後ろを振り返ると、期待に満ちた表情をしている二人が居た。
これは逃げるのが難しそうだ。
適当に理由を作って逃げてもいいけど、理由を作って逃げるほどの事でも無いとも思う。
「すまないけれど、聞くだけ聞いて、作り方が分からないままだと言うのも困るんだ……」
確かにそうだ。
ここまで説明しといて、面倒なんで作りませんとか人が悪すぎる。
早めに出てきたから時間も余裕あるだろうし、早めの昼と言う事で納得しよう。
しかし、料理する事になるとは思わなかった。
こんな、器具も環境も揃ってる場所で、調理するなんて滅多い無いだろうから嬉しくもある。
それに、用意された、見た事がない食材を試してみたいって気持ちもあるから良いか。
そう考えていると、何だかわくわくして来た。
よし、やるぞ。
「二人とごめん。神殿行くの、ちょっと待っててもらって良い?」
「美味いものが食べれるんだろう。気にするな」
「やったー。楽しみだなー」
迷う気配が一切無かった。
食欲には勝てないらしい。
理性という垣根が無くなっている。
「まあ良いか。じゃあ早速――」
厨房にお邪魔し、食材を眺めた。
「油はやっぱりオリーブオイルだよな。それと大蒜があれば良いんだけど」
数種類の油の中から、比較的、記憶にあるオリーブオイルに近い味がする物を選んだ。
大蒜はそれっぽい臭がする食材があった。
「玉ねぎがあると、もっと美味しくなりそうだけど」
食材を選定する時に、長ネギのような匂いがした。
確かこの辺りだったんだけれど。
匂いをたどって辺りを見渡すと、それらしきものが棚の上の方にあった。
背伸びをして、手を伸ばして取ろうとしたが、どうしても届かない。
ちくしょう、この中に手が伸びるようになる食材があったら、今すぐにでも胃にぶち込みたい気分だ。
しばらくそうしていると、後ろから誰かの手が伸びてきた。
「これで良いのか」
「あ、助かります」
取ってもらった食材は、明らかに長ネギの匂いがしている。
これを代用すれば問題ないだろう。
しかし、これ、匂いキツイな。
必要以上に主張してくる長ネギ臭が、軽く頭痛を誘って来るのだけれど。
大丈夫なのか、これ。毒とか持ってないだろうな。
「ジンジャーさん」
「なんだ?」
「これって食材ですか? 食べれるんですか?」
「何言っているんだ。食べれるに決まってるだろう」
「はあ」
「この子大丈夫か?」と心配されているような顔をされてしまった。
そりゃ、この棚にあるんだから大丈夫なんだろうけどさ、この匂いヤバイって。
これを持って街の中を歩くのを躊躇うほどの匂いだぞ。
まあ良いか、ジンジャーさんが大丈夫って言うんだから問題ないだろうさ、試してみよう。
温めた油で、刻んだ大蒜らしきものを放り込んた。
鉄板で傷められる音と共に、香ばしい、良い匂いが立ち上ってきた。
この匂いは間違いないだろう。大蒜だ。材料選定は問題無さそうだ。
「いい匂いがするな」
ジンジャーさんは、俺の調理している様子を、一挙手一投足見逃すまいと観察している。
普段、料理中はそれだけに夢中になっているから他人の様子は気にならない。
けれど、今回は事前に見せてくれと言われているから、試されている様な気がして緊張してしまう。
なるべく普段どおりに振る舞おうとしているが、気になって仕方がない。
油へ香りが溶け出しただろうあたりで、刻んだネギらしきものを入れ、色がつくまで炒める。
その後、すりつぶしたチュイロの実を入れ、炒めるようにして煮込む。
ハーブがあれば、いい香を付けられるのだが、見つからなかったので仕方がない。
これをしばらく、煮立てたらトマトソースが出来上がる。
出来上がったチュイロソースをパスタを絡めて、皿に盛り付ける。
完成だ。
それらを食卓に運び、皆の前に並べた。
「おまたせ。これがさっき言ってた調理だよ」
見慣れない料理に、皆、興味津々だ。
「さっそく頂くとしよう」
そうして皆が口に運び、驚いたように目を見開いている。
「おいしい!」
「食べたことない味だ」
二人は大絶賛だ。
「これは、美味いな。今まで食べたことのない味だ」
ジンジャーさんも気にってくれた様だ。
俺も食べたが、なかなかの味だった。
前世のトマトとは違い、甘みが強めだったが、料理として完成していると思う。
思った以上に上手く出来て嬉しい。
「これであれば店に出せるな。このレシピ売ってくれないだろうか」
「売る?」
「そうだ。調理ギルドは、作られたレシピに対して、それ相応の報酬を与えている。
そして、ランクが上がれば作ったレシピに特許を与えることが出来る。
特許を取ったレシピを、他の店で扱う際には、製作者にはいくらか払わなければならないんだ」
なるほど。
この世界では、レシピを財産として扱っているんだ。
面白い文化だなあ。
「ただ「売り物として扱う場合は」だがな」
「家庭で作られる場合には関係ない。取り締まる事も難しいし、食文化を閉鎖的な物にしたく無いからな」
「食とは、豊かであるべきだと考えている。食から得られるエネルギーは人を幸せにし、人生を豊かにしてくれる。明日の活力となり、人生の可能性を広げる。そうあるべきなんだ」
「その為には、停滞してはいけない。常に変化が必要だ」
「ただの慈善事業になってはいけない。正当な報酬を払い、その報酬をもって、さらに切磋琢磨する事によって、食文化は洗練されていくのもなのだ」
「レシピに対し、報酬を支払う事は、このギルドの仕事の内の一つなんだ」
熱い。ジンジャーさんの料理に対する熱量が半端ではない。
真剣だからこそ、そこまで語れるのだろう。
正直一歩引いてしまった。
俺だけではない。
兄さんやティアは、すくったパスタが宙に浮いたまま、ジンジャーさんを見つめている。
そして、苦笑いをしている。
ただ、言うことはごもっともだと思う。
純粋にジンジャーを尊敬する。
「で、どうする。売るか?」
「取り敢えず、今回は、親切にしてもらったお礼としてレシピは譲りますよ」
「良いのか? 結構な額が出るぞ」
「ちなみにおいくら程で?」
「そうだな。ランクが一番下だと考えても、金貨5枚は出せるな」
「えっ!? 金貨ですか、そんなに出るんですか?」
「先程、私が作った程度のレシピは数ほど上がってくるが。ここまで斬新なレシピは中々出て来ないのだぞ」
うわ。心が揺らぐ。
物価がいまいち分かって無いけど、金貨数枚って大金だよな。
日本貨幣の価値で言うと、どれほどするのだろうか。
「え、どうしよう。ティアはどう思う? 金貨って大金だよね、何が買えるのかな」
「すごいの買えるよー」
「……そっか」
分からない事が、分かった。
どうするかな。迷うな。
「その娘の言う通り、大金だぞ。素直に貰って買えればいい」
「はあ」
貰って帰りたいけど、大金持ち歩くの怖いし、まだ価値がよく分から無いからなあ。
俺達に渡されても、豚に真珠だろう。
使い道が全く思いつかない。
だって、普段の生活には困ることが無いのだから。
なにか他に良い手があればなあ。
「そうだ、報酬の代わりと言っては何ですが、この街で、僕達が困ってたりしたら助けてもらって良いですか?」
「それで良いのであれば……その場合は調理ギルドを以て対処しよう」
「お願いします」
「分かった。まあ落とし所としては良いのかもな。何だか子供を騙すようで悪いのだが」
「いえ、気にしないで下さいよ」
「そうか。困ったことがあったらいつでも相談するんだぞ。そうだ、飯なら腹が裂けるほど食わせてやる」
「あ、そんなには要らないです」
取り敢えず、助けてもらえる大人を見つけたぞ。
レシピなら、思い出そうと思えばいくらでも出るから、お金に困ったら調理ギルドに相談しよう。
「注文書の件、お願いします」
「任せておけ。品物はいつもの方法で送ると伝えてくれ」
「分かりました」
「ここに来たら、絶対声かけてくれよな。また美味いもの食わしてやるぞ」
そんな感じで、調理ギルドを後にした。
ジンジャーさん、いい人だったな。
困ったら頼りにしよう。
俺達の食事も華やかにしたいしね。
「お腹いっぱいだ。もう食べられないよー」
「そうだな」
満足したようだ。
二人のためにも食事はしっかりとした物を作りたい。
調理関連で良い人脈が出来たのは良かったと思う。
知識を引き出せる知人が居ると、とても頼りになるのだ。
しかし、多少だが、料理が出来ていて良かった。
何が役に立つか分からないよな。
やっぱり、技術があるって強いのだろうか。
出来る限り頑張ってみよう。
やる気が出れば。
出ると良いな。
次は神殿に行って、儀式を受けないとだ。
強くなるには必要な事だろうし、しっかりと精霊様に祝福して貰おう。
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