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カオティックアーツ  作者: 日向 葵
第二章
36/74

36:実力テスト 楓編

本日は投稿できました!

よろしくお願いします。

 楓は、【ディメンションリング】からいつでもカオティックアーツを出せるようにして、聖導士の前に立った。

 傍からみたら何も構えていないその姿に、聖導士が激怒した。


 「あなた、やる気あるの」


 「ん、言っていることの意味がわかりませんね。俺はやる気十分ですよ」


 「ふざけないで!」


 「別にふざけているわけじゃないんですが……」


 「なんの構えもしないで立っているだけなんて、どうぞ攻撃を当ててくださいって、言っているようなものじゃない」


 「じゃあ、これが俺の構えなんですよ」


 楓が何か反応するたびに、聖導士がヒートアップする。

 そもそも楓は研究者兼技術者であり、【ライトワーク】でも戦うことをメインとしていなかった。

 楓が戦うときは【ディメンションリング】からカオティックアーツを取り出して、高火力でぶっ放すのが基本なので、構えなど存在しない。

 武器依存型の戦い方なのだ。


 どうやら、それが聖導士の気に触れたらしく、楓に罵詈雑言を言ってきた。

 構え以外にもいろいろ指摘して、完全に罵ってくる聖導士。

 聖導士の理不尽なもの言いにブラスがブチ切れそうだったので、静かに宥める楓だった。


 「ふん、どうせ実力もない人が冒険者になろうとしているんでしょう。仕方がないから、さっさと終わらせることにしましょう」


 「やっと、始まるのか……」


 なかなか始まらない実力テストに苛立ちを覚えてくる楓だった。

 楓は、待たせているクレハたちに申し訳ないなと思い、早く終わらせるために、【ブーストリング・マークⅡ】を装備する。


 「では、楓さんの実力テストを始めます」


 受付嬢の開始の合図と同時に、聖導士がいきなり聖法を放つ。


 「我、光神様に祈り申し上げる。我が前に立ちふさがりし、邪悪なるものに裁きという祝福を【ホーリージャッジメント】」


 聖導士が放った聖法【ホーリージャッジメント】は、楓から見たらフレアの閃光魔法【エクレール・フロウ】としか見えないものだった。

 そのため、簡単によけることができたが、あえてよけなかった楓は、【ディメンションリング】から新しいカオティックアーツを取り出した。


 新しいカオティックアーツ【ハーフ・エナジー・グラトニー】は、インパクトと同様、手袋型であり、対魔法・聖法ように作ったものだ。

 それを、【ブーストリング・マークⅡ】と連動させて、聖導士が放った聖法に触れた。


 聖導士が放った魔法は、楓が触ると、嘘のように掻き消えていく。


 「い、いったい何が起こった……」


 聖導士は困惑した。

 神に祈りをささげて、敵を穿つ聖なる力。

 それが聖法のはずなのに。

 それをものともせずにかき消した楓に、聖導士は恐怖を覚えた。


 楓が聖法に触れると、【ブーストリング・マークⅡ】が、ゆっくりと光りはじめた。


 「これを作っておいて正解だった。【ブーストリング・マークⅡ】のチャージ時間がすごく短縮できる」


 「っち、わけのわからないことをブツブツと!」


 全ての攻撃を、【ハーフ・エナジー・グラトニー】によって、放ったすべての聖法をかき消された聖導士。


 楓はニヤリと笑い、【ディメンションリング】から【インフィニティ・マークⅣ】の低出力版を取り出す。


 「ここがお前の死に場所だ!」


 「や、やめろおおおおおおおお」


 ドドドドドドドドド!


 鳴り響く銃声。

 荒れ狂う砂煙。

 聖導士は、楓のカオティックアーツに滅多打ちにされていた。

 【インフィニティ・マークⅣ】の威力は、普通の人の打撃ぐらいの威力になっている。

 当たれば当然痛い。


 しかし、楓は【ブーストリング・マークⅡ】まで装備しており、折角下げた出力が無駄になっていた。

 現在の威力としては、岩も砕いてしまう高レベル武闘家の拳なみになっている。

 その威力の弾を、低出力にしたことで連射になった【インフィニティ・マークⅣ】。

もちろん、聖導士に向けて超連射する。


 「す、ストーップ。もうやめてください。聖導士さんが泣きながら気絶して、もう動けないですから。ちょ、やめてって言っているでしょ!」


 なら早く終了宣言しろよ、とか思っていた楓だが、相手が気を失っていることにすら気が付いておらず、少しやりすぎたかなと思った。


 ブラスは誇らしげな顔をしていたが、前衛冒険者は完全に呆れていた。


 「ちょっとやりすぎじゃないのか?」


 「といわれましても、こっちからじゃ、聖導士さんの姿が見えないですし」


 楓はそう言って、受付嬢に話を振る。

 受付嬢はというと、明後日の方向を見て口笛を吹いていた。


 「そんなことより、よくやったな楓!」


 楓が勝ったことがよほどうれしいのか、ブラスは楓に抱き着いた。


 「ブラス。抱き着くな。暑苦しい」


 「やっぱり、お二人ってそういう関係……」


 「そこ、変な妄想しない! 早くランク決めて下さい!」


 「ひゃう。すいませ~ん」


 腐った考えのせいで、悪寒が走っている楓は、一刻も早くこの場所を離れたかった。

 下手をすると、ブラスに襲われそうだからだ。

 早く、早くと楓が思っていると、受付嬢が、楓に振り向いた。


 「ふふ、ランク決定しました。今回の実力テストの結果は、Bランクです!」


 「Bか。なかなか……」


 「こんな結果。納得できるか!」


 ブラスが受付嬢を問い詰める。

 この時点で、受付嬢は涙目だった。


 「か、楓はすごかっただろ。なんでBなんだよ。おかしいだろ!」


 あまりにも残念なことを始めたので、ブラスの頭を【インフィニティ・マークⅣ】低出力版で殴った。

 力強く殴りすぎたのか、ブラスは気絶してしまう。


 楓は、ブラスを引きずって持っていくことにした。

 一応、それ用のカオティックアーツも取り出してだ。


 「あ、あの。助けていただいてありがとうございます」


 「身内が悪さしたからな。こちらこそすいません。俺たちはみんなのところに戻らなければいけないので」


 「では、また私が案内しますね」


 「よろしくお願いします」


 こうして、受付嬢と楓たちは、この場を去った。

 残されたのは、目を覚ました聖導士と、前衛冒険者だった。

 とりあえず、最後に二人が思ったことは、「あの武器、打撃もいけるんだな……」だった。


読んでいただきありがとうございます!

次回もよろしくお願いします!

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