表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染に好かれる、なんてのは幻想です  作者: 卯佐美 佳
第三章 なんでこんなめんどくさい事に…
62/70

鈴井さん…お願いですから少し控えてください…

そろそろタグに下ネタと入れようか迷っています。自重しろ?だが断る。

「ねぇ晃くん。本当にこの道で合っているの?マンションやアパートはこの辺には見受けられないし、とてもあなたが一人暮らししているような場所は見当たらないのだけど」


確かに、今はどんどん住宅街に入って行ってるし、その疑問は最もだろう。


「安心しろ。道は間違ってはいない。あとちょっとで目的地だ」

「道は間違ってはいない…。まさか!人気のない所に連れ込んで私達に乱暴する気!?」

「こんな真昼間からどうやるんだよ…。速攻バレるだろ…」

「気持ちよくなりたかった。反省も後悔もしていない。むしろ清々しい気分だ」

「勝手に俺の犯行動機を作らないでくれないかなぁ!?」


晃くん捕まっちゃうの前提なのね。私いじけちゃうし…


「冗談はさておき、本当にこの辺にあるの?」

「ああ、あるぞ。というかここだ」


「「「…………え?」」」


俺はとある一軒家の前で立ち止まり、その家を指差す。それを見て皆目を丸くしていた。


「あ、晃…。ここに一人で住んでるの…?」

「晃くん…。まさか、そっちの仕事をしているの…?」

「晃くんって、お金持ち…?」

「晃…。こんな広い家で一人暮らししてたんだな…」


皆それぞれ、いろんな反応をしている。というか相変わらず鈴井だけベクトルがおかしい。


「別に俺だけが住んでたって訳じゃないぞ。去年までは家族全員で住んでたしな」

「じゃあなんで今は一人?」

「親父は海外赴任。母さんは実家が色々とあるみたいで、帰省してる。姉貴は一月から語学留学だ」

「色々あるのね…」


どうやら流石に今回は色々ある事を認めてくれたみたいだ。


「まあ俺のどうでもいい身の上話は置いといて、入ってくれ」


鍵を開け、皆を家に招き入れる。


「結構片付いているのね。ゴミ屋敷かと思ったわ」

「誰か帰ってきた時、散らかってると怒られるだろ?怒られたくないんだよ」

「理由が斜め下過ぎる…」


でも掃除する理由なんてそんなもんじゃない?あとゴキブリが出るからくらいか。いつも思うんだけど、あれをゴキブリって名付けた人天才だと思う。あの醜悪さを表すのにピッタリすぎる。


「リビングはこっちだ。そこで勉強しよう」

「晃の部屋じゃないの?」

「俺の部屋には、一人用の勉強机とベッドと本棚くらいしかない。この人数で勉強は出来ん」

「ふーん、そうなんだ」


なんだその含みのある言い方は。


「なんだか晃んち入るの久しぶり」

「そうだな。去年の…春ぶりか」

「あれ?仁美はよく来てるんじゃないの?」

「玄関前で晃を呼ぶだけで、中には入らないんだよね〜」


まあ朝っぱらから中に入れるなんておかしいしな。


「ちょっと待って?晃くんと仁美ちゃんって幼馴染なんだよね?」

「うん。そうだよ。小学校の時から一緒」

「じゃあ仁美ちゃんの家も近くにあるんだよね?」

「うん。歩いてすぐだよ」

「晃くんがここでやるのが嫌なら、仁美ちゃんのうちでやっても良かったんじゃ…」


あ〜、そういう考えもあったか。だが…


「それはちょっと…あれなんだよ…」

「うん…。ちょっと無理かな〜、なんて…」

「何そのぼかした言い方」

「まあ二人の反応を見る限り、難しいみたいね」


理解が早くて助かる。俺、仁美の両親にブチ切れられて、新津家に出禁食らったからなぁ…。仁美に二度と関わるなとも言われたけど、そこはなんとか仁美のおかげで回避出来た。


「まあ俺の家でやるって決まったんだし、一度決まった以上はもう文句はいわねーよ」

「お、晃。お前にしては珍しく男らしいな」

「黙れバカ!お前は勉強しろ!」


珍しくとはなんだ!俺はいつだって男らしいだろ!え?女々しい?うっそだー。嘘だよね?嘘だと信じてる。


リビングダイニングには、ダイニングテーブルに椅子が四つ、そしてリビングテーブルがある。


ダイニングテーブルに女子四人座ってもらって、男三人はリビングテーブルにしたいんだが、健と勝樹を一緒にするのはまずいよな。


「さて、どうやって分けるか…」

「とりあえず、あんたと灰田はセットでしょ。灰田を制御できるのはあんたしかいないんだし」

「マジかよ…。めんどくせ…」


まあ分かり切ってた事なんで、今更反論とかはしないんですけどね。


それから、話し合いの末、ダイニングテーブルの方には、俺、健、鈴井、荒川が、リビングテーブルの方には、勝樹、仁美、成瀬が座る事になった。いい感じのバランスだと思うし、これでいいだろう。ただ、何故か成瀬が不満そうだった。なんでやねん。


「じゃあなんか飲み物持って来るから。先始めといてくれ」

「あ、私も手伝う!」

「仁美、お前は勉強以外の事をする暇があるのか?」

「ご、ごめんなさい…」


ただでさえ時間があまりないんだ。仁美には勉強だけに集中してもらいたい。


「安心しろ晃。仁美は俺が徹底的にやるから」

「頼んだぞ勝樹。せめて赤点くらいは取らないようにしてやってくれよ」

「え?ちょ、なんか怖いんだけど…」


勝樹は文武両道でほんと尊敬する。俺も中学時代はちょいちょい勝樹の世話になってたからなぁ…


「じゃあ代わりにあたしが手伝う。一人じゃ大変でしょ?」

「お、おう。助かる」


成瀬は時々変な所で優しい。いつもそれくらい優しければいいんだけどなぁ…


「顔、胸、お腹、どこがいい?」

「ちょっと待て?それは何の選択肢だ?」


すげえ不吉な予感がする。身体の部位を言うだけでここまで恐怖させるとは…。成瀬 恵、恐ろしい子…




人数分のグラスを用意し、そこに烏龍茶を注ぐ。嫌いな人はいないだろう。いないよね?


リビングに戻ると、既に勉強会は始まっていた。


「灰田くん。ここは交点なのだから、二つの方程式をイコールで繋げばいいだけよ。それで交点が求まるわ。違うわ。そっちの式じゃなくて、こっち。そうそうそれよ。後は計算するだけ…あなた二次方程式も解けないの…?いい?二次方程式ってのはそもそも…」


「仁美、武士として初めて大政大臣になったのは?」

「平将門!」

「…平清盛な…。次、征夷大将軍として、鎌倉幕府を開いたのは?」

「源義経!」

「頼朝だ…。何で微妙に外すんだ…」


「ほのかさん。日本国憲法の三大原則は?」

「早い、安い、安心!」

「何処かの飲食店のキャッチフレーズみたいね…。正しくは、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義よ。では天皇は憲法では何と規定されている?」

「王様?」

「象徴よ…。日本に国王制が導入された事は一度もないわ…」


鈴井と勝樹が頭を抱えている。こりゃよっぽどだな。つーかよく受験受かったな。どう考えても三人の学力じゃ無理そうだぞ。


「お疲れ、大変そうだな」

「はぁ…。こんなんじゃ先が思いやられるわ…」


俺は三人にグラスを渡す。


「睡眠薬とか○薬とか入ってないかしら?」

「んなもん入ってねーよ。第一簡単に手に入らねーだろ」

「あなたの事だから、どんな手を使ってでも手に入れると思うのだけど」

「てめーのにだけ睡眠薬盛って、家の外に置いてきてやろうか…」

「そう言って私をあなたの部屋に連れ込む気でしょう。やだ、汚らわしい」

「だから何でその結論に至るんだよ…」


鈴井は身体を守るように自分の身体を抱いている。本気でやったろうかクソが…


まあ俺は紳士だから、そんな女性の尊厳が失われるような事はしないんですけどね。(烏龍茶を飲みながら)


「ねぇ勝樹」

「ん?なんだ?」

「○薬って何?」


「「「ブフっ!!!」」」


「え!?皆どうしたの!?」


仁美以外が盛大に吹き出した。俺なんか飲んでた烏龍茶が気管に入ったし。


「ひ、仁美は知らなくていい事だと思うぞ…」

「え?なんで?皆知ってるんでしょ?私も知りたい」

「い、いや、でもな」


勝樹が俺にアイコンタクトを送ってくる。『何とかしてくれ』だって?無理だよ頑張れ。


俺の返答を見て、勝樹は諦めたようにため息をついた。さて、どうするのかしら。


「えっと…○薬ってのはな…まあ簡単に言うと、気持ちよくなれる薬だ」


「「「グフッ!!!」」」


「え!?何!?皆どうしたの!?」


今度は仁美と勝樹以外が盛大に吹き出した。


下手くそか!?もっと他に言い方あっただろ!何でよりによって卑猥っぽくなるような表現をした!


「うーん。イマイチよく分かんないな〜。皆知ってるんだよね?」

「「「…………」」」(サッ…)

「何で皆目を逸らすの!?」


だってねぇ…。物が物だし…


「おい鈴井。お前のせいだぞ。どうすんだよこの状況」

「ご、ごめんなさい。私もこんな事になるなんて。今度からは言葉を選ぶわ」


仁美に聞かれないように小声で話す。しっかしどうすっかなこの状況。


「ねー恵ちゃん。知ってるんだよね?教えて欲しいな〜」

「え?あ、あたし?」


成瀬がロックオンされました。御愁傷様です。さて、どうやって対処するのかしら。


「あ、あたしは、人に説明出来るほどは詳しくないかな〜」

「えー、残念。恵ちゃんもダメか…」


えぇえぇ、ダメですよ。皆ダメです。大人しく諦めましょうね。


「そうだ!こんな時の為にスマホがあるじゃん!」


「「「ゴフッ!!!」」」


「さっきから皆どうしたの!?大丈夫!?」


大丈夫じゃねーよこん畜生!無意識ってほんと怖い。


ここで仁美に○薬について調べさせてはいけない。この後の勉強に大きく影響するだろう。なんとかしなければ。


「ひ、仁美。別に今調べなくてもいいんじゃないか?」

「え?なんで?気になるでしょ?」

「ほ、ほら。今は勉強会だし。調べ物は一人でも出来るだろ?今しか出来ない事をやろうぜ?」

「うーん。それもそっか!家帰って調べよ〜」


なんとか最悪の状況は回避出来た。問題が先送りになっただけの気もするが…。まあそん時はそん時だ!



一度でいいから最高級和牛食べてみたい。(何の話だよ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ