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幼馴染に好かれる、なんてのは幻想です  作者: 卯佐美 佳
第三章 なんでこんなめんどくさい事に…
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彼等が隠したい事

土曜日。俺は家からの最寄り駅にいる。理由は単純。集合場所がここだからだ。


俺の家を知っているのは仁美しかいないから、一旦何処かに集まってから俺が案内するという事になった。マジめんどくさい。


「ちょっと早く来過ぎちゃったかな?」

「ん?まあ遅刻するよりはいいだろ」


仁美は朝一で何故か駅ではなく、俺んちに来た。置いて来るわけにもいかないので、一緒に来てもらった。


「うぉーっす」

「お、来たか。十分前行動とは、相変わらず変な所でマメだな」

「それを言うならお前らの方が早いからお前らの方がマメという事になるぞ」

「俺らにマメという言葉が似合うと思うか?」

「少なくとも仁美には似合わないな」

「確かに。仁美にはあり得ねえな」

「ちょっ!二人とも酷くない!?」


仁美にマメという言葉が似合わないという事は事実だし、しょうがないね。


「あなただって人の事言える立場じゃないでしょう。自分の事を棚に上げて物を言うなんて、良いご身分ね」

「失礼な。俺は待ち合わせ時間の五分前には来るようにしてるぞ!」

「あなたにしては、珍しく気が使えるのね」

「珍しくとはなんだ!俺は聖人君子の様に他人第一主義を掲げているんだぞ!」

「聖人君子という言葉にに土下座しなさい」

「申し訳ありませんでした」


流石に聖人君子の方々に申し訳ない気持ちを覚えた。俺が聖人君子とか吐き気がするわな。


「……今日は普通の格好なんだな」

「流石にあの格好で勉強は出来ないでしょう」


今日の鈴井の服装は、白のブラウスに、羽織るように着ている黒を基調としたジャケット、そして何より、スキニーズボンがエロい。あの脚線美、反則だろ。なんだよ誘ってんのか?大人しめの服装なのに、魅力は一切大人しくないという矛盾。だがそれがいい。


「なに?ジロジロ見て。何か文句でも?」

「いや、その…ご馳走様です…」

「?お粗末様でした?」


鈴井には俺の言葉の意味は伝わっていないようだ。まあその方が私としてはいいんですけどね。


「晃。視姦は犯罪って知ってる?」

「これは視姦じゃねえ。とあるオネエ批評家的なファッショチェックだ」


踏んづけてやる!って言いたかったけど、残念ながら鈴井のファッションは見事な物なので、言えませんでした。


「あんたにファッションが分かるとは到底思えないけど」

「正直似合ってるか、そうじゃないかくらいしか分からんな」

「だと思った」


いや他にもエロいかどうかという視点でも見れますよ?言うと殺されそうだから言わんけど。


「うぃーっす」

「灰田くん。うぃーっすというのは挨拶ではないとあれほど…」

「細かいなぁ委員長は。もうちょい気楽に行こうぜ」

「あなたの場合気楽過ぎないかしら…」


まあ健のお気楽は今に始まった事じゃないし、大目に見て上げて。


「そんなお気楽で試験は大丈夫なのか?灰田」

「お前に心配されるいわれはじゃねーよ黒井」

「ところで荒川はまだか?そろそろ集合時間なんだが」


「ごめーん!もう皆揃ってる?」


荒川が走って此方にやって来た。集合時間ピッタリなので遅刻ではない。ギリギリセーフだ。


「ほの遅い。皆もう集まってるよ」

「あちゃー。私ビッケか…」

「まあ前みたいにめっちゃ遅刻って訳じゃないし、全然大丈夫だぞ」

「ちょ!あの時は色々と準備があったから…」


今回は勉強道具を持って来る分、前回より荷物が多い気がするんですがそれは…


「皆揃った事だし、俺んちに案内すっから、ついてきてくれ」


俺がそう言うと、皆一様に頷く。はぁ…。本当に俺んちでやるみたいですね…。


――――――――――――――――――


「ねぇ晃。あの二人って仲悪いの?」


歩いてる途中、先行する俺に成瀬が隣に並んで、後ろに聞こえないように聞いてきた。


「あの二人って?」

「灰田と黒井くん。なんかさっきちょっと険悪な雰囲気だったから」

「あー、やっぱり気付いちゃうよね〜…」


上手い具合に中断させられたと思ったんだが、成瀬の目は誤魔化せなかったみたいだ。


「その反応…やっぱり仲悪いんだ…」

「ああ。異常なほど仲悪い」

「そうなんだ…。でも仁美は知らなかったの?」

「多分、この世で俺しか知らなかった事だったと思う。お前にはもうバレたけどな」


あの二人が仲悪いという事を知れるのは、共通の友人である俺しかいないだろう。あの二人が一対一で会う事なんて絶対にないからな。俺ですら、知ったのはたまたまだったし。


「なんで仲悪いの?」

「……さぁ…」

「さぁ…って…。あんた、あの二人の親友でしょ。何も知らないの?」

「あいつらが俺に隠したい事なんだろ。だから俺に一切話さないし、俺も下手に探るなんて事はしない。知りたいならお前が本人に聞け」

「…それで、いいの?」

「何がだ?」

「あんたは、大切な友達が自分に隠し事をしてるって、悔しくないの?信用されてないとか、大切だと思われてないとか、そう思わない?」


なるほどな。成瀬は隠し事をされたくないタイプの人間か。まあ成瀬の言い分も分かるが…


「隠し事ってのは、相手を信用してないからするって訳じゃないと思ってる」

「…どういう事?」

「例えば、お前がもし、過去に犯罪を犯していたとする。もう既に罪は償って、お咎めは一切ない。お前はもう一切気にする必要はない。さて、ここで質問です。お前はこの事を、荒川や鈴井に話せるか?」

「そんなの…話せる訳ない…」

「なんでだ?」

「だって、嫌われたり、幻滅されたくな………!?」

「気付いたみたいだな。そういう事だよ」


隠し事をする理由は人それぞれだ。だが、誰だってその根底には、嫌われたくないという思いがあるだろう。


「隠し事はな。相手を信用してないからするんじゃない。相手に嫌われたくないからするんだ。相手が大切であればあるほど、きっと、隠し事は増える」

「そっ…か…。ごめん、変な事聞いて…」

「気にするな。あくまでこれは俺の持論だ。真に受ける必要なんてない」


誰にだって俺の持論が当てはまるとは限らない。犯罪者が犯行を隠す理由は、殆どの場合が自己保身の為だろうしな。


だが恐らく、あの二人の場合には俺の持論が当てはまる。だから俺は、あの二人を信じて聞かない事にする。


「あんたが昔の事を隠している理由ってまさか…」

「さあな。お前がそう思うならそうなんだろ。ただ、分かった上でそれを聞くという事は、相当な覚悟が必要だという事は覚えておけ」


俺は俺の為だけに隠しているだけだ。たが、成瀬が勘違いをして諦めてくれたら、それはそれで好都合だ。


「…それでもあたしは、あんたについて知りたい。あたしは、あんたに助けられたから、今度はあたしが、あんたを助けたい、から」


助けられたから、今度は助けたい、か…。


俺はお前に何もしていない。助けてもいなければ、力になってもいない。ただ、お前自身が自分の力で変わっただけだ。お前が変われた瞬間に、俺はただただ居合わせただけにすぎない。


そのせいで、お前は俺に救われたと勘違いをしている。何もしていない俺に、あるはずのない恩を返そうとしている。


きっとそれは、今すぐ正さなければならないのだろう。彼女の為に。そして、俺の為に。


だが、俺は未だにそれが出来ないままだ。理由は分かっている。


俺は期待しているんだ。俺の事を本当に理解してくれる奴が、また現れる事を。そして、それが彼女であるという事を。


勘違いをいい事に、俺は彼女に甘えようとしている。ただの屑だ。ほんと、救いようのねえ。


間違っているのは分かってる。それでも俺は、正しい道に戻そうとなんてしないだろう。俺は、完全に救われたいんだ。人を一切信じられなくなったあの時の自分から。


そしたらきっと





俺はもう一度、人を好きになれるだろう。


ほのぼのとシリアスの差が激しすぎるよね。なんだかな〜。

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