平沢は唐突に野望を語り出す阿呆
短めです。申し訳ねぇ…
荒川と鈴井から依頼を受けた翌日、そう、体育祭当日である。
俺と健は、グラウンドで準備体操がてら、雑談をしている。
「おう晃、調子はどうだ?」
「まあぼちぼちかな」
「ぼちぼちじゃ困るな。お前は俺達の大事なアンカーなんだからな」
「そういうお前の調子はどうなんだ?」
「まあぼちぼちだな」
「同じじゃねぇか…」
体育祭当日だというのに、俺達は至って平常運転。まあ、変に緊張して、ガチガチになってるよりはマシか。
「おーっす、白峰〜、灰田〜、元気か〜」
「体調は万全だろうな?明暗はお前らにかかってるからな」
平沢と相坂もやって来た。少し走っていたのか、軽く汗をかいている。
「昨日はよく眠れたからな。体調はいいぜ」
「俺もコンディションは最高だ!今なら100m九秒代出せる気がするぜ!」
「流石にそれは無理だろ…」
出せるなら100m走日本代表確定だな。
「お前らはどうなんだ?体調悪いとか言ったら指つめさせんぞ?」
「怖え事言うなよ…。安心しろ。絶好調だ!」
「俺も問題ない。いつも通りだ」
「そうか、そいつは何よりだ」
誰かの小指が落ちる事にならなくて良かった。
「それに、俺はこの体育祭にある野望を抱いているからな」
平沢が訳の分からない事を言う。
「なんだよ野望って」
「ふっふっふ…それはな…」
俺達は息を飲む。
「この体育祭で、女子人気を獲得する事だ!!」
「何言ってんだお前」
「遂に頭がおかしくなったか?」
「もともとだろ」
「「それな」」
「よーしお前ら、一列に並べ。一発ずつぶん殴ってやる」
俺達の連携プレーに、平沢もお怒りでいらっしゃる。誰か慰めて差し上げろ。
「で、何でいきなりそんな意味の分からん事を?」
「よくぞ聞いてくれた。冷静に考えてみろ。俺達四人を…」
考えてみるが、やはりよく分からん。
俺の考えがまとまっていないうちに、平沢は言葉を続ける。
「俺だけ女子人気が無いと思わないか!?」
「いや知らねーよ」
「気のせいだろ」
「とりあえず鏡見直してきたらどうだ?」
「拓海さっきから言葉キツくない?」
むしろお前にかまってる分、相当優しいと思うが。
「だってよ。拓海はクールでカッコいいとか言われてるのをよく聞くし、白峰には成瀬がいるだろ?」
「だから違うって言ってんだろ…」
「何より許せねーのが、俺と灰田はキャラそんな変わらんのに何で灰田だけモテるんだよ!おかしいだろ!!」
「顔の違いだろ」
「韓国の美容整形技術は凄いらしいぞ」
「その情報は特に欲しくなかったかな〜」
でも平沢が健に並ぶには、整形するしかないと思う。
「いや、別に俺は灰田と並びたい訳じゃないんだ。俺にも女子人気が欲しい!だから、この体育祭でカッコいい所を見せて、女子人気を獲得してやるぜ!!」
「「「まあ無理だろうな」」」
「ぶっ飛ばしてやるこのクソ野郎共!!」
皆で平沢をからかっていると、ちらほらと人が集まってきていた。
「みーちゃん、心配する事なんてないよ!いつも通りやれば大丈夫だよ!」
「ありがとうほのかちゃん。大丈夫…これはテニスの試合…ここをコートだと思えば…」
「桐島さん、手のひらに人という字を十回書いて、それを飲み込むと緊張が解れるわ」
リレーの女子メンバーも集まってきた。というか桐島大丈夫か?
「桐島、緊張を解すとっておきの方法を教えてやるぜ!」
平沢が桐島に話しかける。というかそんな方法あるのか?
「え?ど、どんな方法?」
「逆立ちして、『俺は今、地球を持ち上げてるんだぜ!俺最強!』って言えば、緊張なんかどうでもよくなってくるぞ!」
その代わり、周りから色々と心配されそうだが…
「確かに緊張は解れるだろうな。だが、いまいちやり方が分からん。手本を見せてくれ」
「え?いや…ちょっと…」
「早くしろ、なんなら俺が手伝ってやろうか?」
「おい、ちょ、待てって!さ、さっきのは冗談なんだ!だから、やめて〜〜!」
相変わらず馬鹿だな、平沢の奴。
しかし、そんな二人の様子を見て緊張が解れたのか、桐島はクスクスと笑っていた。あんな奴でも役に立つ事ってあるんだな。
『まもなく、開祭式を行います。生徒の皆さんは、速やかに、グラウンドへお集まり下さい』
学校中に放送が響き渡る。もうそんな時間か。
「お、始まるみたいだな。早く行こうぜ」
「そうだな、行くか」
もうすぐ俺の、いや、俺達の勝負が始まる。見てろ、勝つのは俺達だ!
最近、ものっそい執筆ペースが落ちています。頭ではなに書くか思い浮かんでいるのに、いざ、文字にしようとすると、全く筆が進みません。やべぇな。
という訳で、二章終わったら、投稿ペース本格的に落ちるかもです。毎日投稿に無理があったんかなぁ…




