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幼馴染に好かれる、なんてのは幻想です  作者: 卯佐美 佳
第二章 俺はどうあがいても目立ってしまうらしい
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どうやら、三つ巴の戦いになりそうだ

開祭式が終わり、多くの生徒が各クラスのテントに向かう中、リレーの出場選手は運営テントに集まっている。リレーの予選の抽選のためだ。

予選は、一レース六組で三レース行われ、その組み合わせは抽選である。その中から、上位二チームが決勝進出となる。

また、リレーの予選は第一種目、決勝は最終種目である。その為、朝一で抽選が行われる。

「じゃあ抽選行ってくるわ」

「変な組み合わせのとこ引いたら焼き土下座な」

「いや、爪に血のマニキュアだろ」

「指ギロチンも捨てがたい」

「お前ら俺を殺す気か?」

抽選に向かうのは、当然健だ。あいつのクジ運の良さは皆知っているからだ。

健が抽選に向かってから数刻後、ボードに予選の組み合わせが張り出される。



クラス対抗リレー 予選 組み合わせ表


予選一組目

一年C組

一年D組

一年E組

二年A組

三年B組

三年D組


予選二組目

一年B組

一年F組

二年C組

二年F組

三年A組

三年C組


予選三組目

一年A組

二年B組

二年D組

二年E組

三年E組

三年F組



なるほど。俺達は二組目か。

水無月先輩のクラスはE組だから、三組目だな。当たるとしたら決勝か。勝樹は確かD組だったよな。どうやら上手くばらけたみたいだ。

「よお晃、どうやら俺達が当たるのは決勝みたいだな」

俺が考え事をしていると、後ろから声を掛けられた。声の主は勝樹だ。

「何言ってんだ?お前がこけたら当たらないぞ?」

「そっちこそ、予選敗退なんてカッコ悪い事すんじゃねーぞ」

お互い、軽口を叩き合い牽制する。

「まあ、俺は先に決勝進出決めてくるからよ、お前も決勝来いよな」

「当たり前だ。決勝でお前を潰す為にもな」

「……。言うね〜。いいぜ、受けて立つ!」

そう言って勝樹は、グラウンドの方へ向かって行った。

『まもなく、クラス対抗リレー予選、一組目の競技を開始します。出場選手は、グラウンドにお集まり下さい』

アナウンスが響く。勝樹達はもう準備を終えているだろう。

「おーい、白峰〜、こっち来て一緒に見ようぜ〜」

「ああ、直ぐ行く」

平沢に呼ばれ、俺は直ぐにそっちへ向かう。さて、勝樹達はどんな走りをするのか、視察といきますか。



『ただいまの競技の結果をお知らせします。第一位、一年D組、第二位、二年A組、第三位…』

圧倒的だった。二位以下に十秒近く差をつけての大勝だった。

「やべぇな、強すぎる」

「ここまでとは…。流石に予想外だった」

一人一人の実力もあったが、何より、バトンパスがノールックで、ロスがとても少なかった。恐らく、相当練習したのだろう。

「それに、黒井の奴、最後少し流してたよな」

「ああ、それ位大差だったからな。奴の底がまだ分からないとなると恐ろしい」

全くマークしてなかったが、これは注意が必要だろう。決勝前に知れて良かった。

「何しょげた顔してんだ?俺達が負けると思ってんのか?」

いつの間にか来ていた健が、平沢と相坂の間に入り、肩を組む形でのしかかる。

「いやでもよ、あそこまでの力を見せつけられると…」

「俺らだって同じ事をやればいい。見せてやろうぜ!俺達の力を!」

「だがな…。本当に勝てると思うか?」

健とは違い、二人は弱気のようだ。だが、俺は自信を持って言える事がある。

「勝てるさ。俺達は強いからな。正直、負ける要素が見当たらない」

俺達は強い。それは、俺が神に誓って保証する。

「…そこまで自信満々に言われると、なんかそう思えてくるな」

「ふっ…。お前に言われると、底知れぬ説得力があるな」

「おいおい、俺には説得力が無いってか?」

健の言葉で俺達は笑う。

『まもなく、クラス対抗リレー予選、二組目の競技を開始します。出場選手は、グラウンドにお集まり下さい』

「よし、じゃあ行くか!」

「「「おお!!」」」

健の呼びかけで、俺達はグラウンドに向かう。俺達の実力を見せてやろうじゃないか!



『ただいまの競技の結果をお知らせします。第一位、一年B組、第二位、三年C組、第三位…』

「しゃあ!予選突破だ!」

健が勝どきの声を挙げる。

俺達は、後続を十秒近く離して勝利した。

「まさか俺達、こんなに強かったなんてな!」

「だから言ったろ?俺達は強いって」

「何もしてないお前が言うか…」

相坂の言うとおり、俺は最後流したので、実質何もしてないようなものだ。だって全力疾走って疲れるじゃん。

「まあまあ、勝てたんだしさ。良かったじゃん」

「ほのかさん、まだ予選を通過しただけよ。決勝で勝てなければ意味はないわ」

「もう。硬い事言わない。れいちゃんもちょっとくらい喜ぼうよ」

「そんな余裕無いわ」

相変わらず冷たいなぁ。ゲームの事となると、かなり熱くなるが。

「ま、まあ、あまり張り詰めても良くないし、少しくらいは喜んでもいいんじゃない、かな?」

「そ、それは…そうかもしれないわね…」

桐島の言葉に鈴井がたじろぐ。こいつが言い負けたとこ初めて見た。

「お疲れ様、って言おうと思ったけど、別にあんたは疲れてなかったわね」

いつの間にか来ていた成瀬に声を掛けられた。

「試合前の重圧に疲れたんで癒して下さい」

「猫でも見てきたら?」

「成瀬が猫になってくれたら早いんだけどなぁ」

「流石にその発言には引く…」

美女の猫のコスプレとかいいと思うんだけどなぁ…

「晃!サボっちゃダメだよ!」

仁美も来ていたみたいだ。

「切り札は最後までとっとくもんだ。手の内を明かしたら意味ないだろ?」

「え?そんな事まで考えて走ってたの?」

「すまん。普通に手抜いてた」

「ダメじゃん!」

仁美の尊敬の眼差しを向けられて、流石に嘘はつけなかった。

『まもなく、クラス対抗リレー予選、三組目の競技を開始します。出場選手は、グラウンドにお集まり下さい』

「お、次のレース始まるみたいだな」

次は水無月先輩の番か。それに、柳澤って人の事も気になる。さて、どれほどの実力だろうか。



『ただいまの競技の結果をお知らせします。第一位、二年E組、第二位、三年E組、第三位…』

やはり先輩のクラスが十秒近く差をつけて圧勝した。流石といったところか。

そして何より、

「水無月先輩、異常なほど速かったな」

「あたしもあそこまでとは思ってなかった。勝負をしかけて来た理由がよく分かったわね」

先輩は、前にいた三人を一瞬でごぼう抜きにしていた。あの速さには驚かざるを得ない。

「香織先輩50mのタイム6.6っだってよ」

「マジかよ速え…」

荒川の報告により、俺は再び驚かされる。なんであの人陸上部辞めたん?馬鹿なの?

「それに、アンカーのサッカー部新キャプテン、だったかしら。彼の実力も分からなかったわね」

大差だった為、やはり最後は流していた。あれじゃあ実力は分からない。

「健、柳澤さんの50のタイム知ってるか?」

「キャプテンの?確か、6.2だったな」

「あなたと同じね」

「そうだな。それに、勝樹も6.2だったぞ」

奇しくも、アンカー三人のタイムは同じだった。

「私達があなたにリードを作って繋げば、あなたなら逃げ切れるという事かしら」

「任せろ。俺が負けるなんて事はないしな」

「凄い自信ね。へそで茶を沸かすわ」

「失礼だな。逆に自信なさそうな感じだったらいいのか?」

「その時は洗脳でもして自信を植え付けるわ」

「怖ぁ…」

鈴井さん割とサイコパスですよね…

「あんたさ、昨日からなんか若干キャラ違うよね?なんかあったの?」

「そうか?俺には分からん」

「なんとなくカッコいいというか…まあ、そんな感じ」

「お、何?俺に惚れちゃう?お前ならいつでもウェルカムだぜ」

「…やっぱり勘違いだったみたい…。あんたはあんたね…」

なんか諦めたように言われた。なんか腹立つな。

「まあ頑張りなよ。頑張ったら簡単なお願いくらいは聞いてあげるから」

「じゃあお疲れ様とか言って後ろから抱きしめてくれ」

「訂正、いつもよりひどいくらいね。とりあえず、一回死んでもらえる?」

ゴミを見るような目で見られた。まあそうだよな。

「…………」

「…………」

「…………」

何やら視線を感じると思ったら、鈴井と荒川と仁美が俺をジト目で見ていた。

「…なんだよ。ただの冗談だったんだが」

「べ、別に、なんでもないわ」

「ば、バカな事言ってるな〜って思って」

「…………」

何故か仁美からは何もなかった。というか怖いからその目止めてもらえませんかね…

魔剤効かん、マツキヨも効かん。というわけで、人生の先輩にどうしたらいいか質問した所、錠剤を勧められました。試してみようと思います。

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