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追放ヒーラーですが【発明者が医師】なのでガトリング砲を使います!  作者: とらいぽっど
ドッカン◇石になっちゃった!? 古城のふしぎな番人!

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灰と石と、空

焚き火を作ったのはゲルトだった。


王の間の外、中庭の隅に石を組んで、木を集めた。城の中は腐った木が多いが、燃えればいい。


「手伝います」とテアが言った。


「座ってろ。まだ顔色が悪い」


テアは黙って壁に寄りかかった。





ゲルトが王の間に入った。ヴェルナーが続く。


しばらくして、二人が出てきた。ゲルトの腕に服がある。深い色の布。金糸の刺繍。


ヴェルナーが手を伸ばした。端を指でつまんだ。


自分の服の袖と見比べた。同じ布のはずがなかった。滑らかで、重くて、光の当たり方が違う。


「……こんな布、見たことないです」


「知らない方がいい」


ゲルトが火の前にしゃがんだ。布を広げた。一度だけ、縁の金糸を指でなぞった。


それから、火に入れた。


宝飾品も続いた。ヴェルナーが一つずつ手渡して、ゲルトが黙って火に入れた。


「……惜しくないんですか」


「惜しい」


「……それでも」


「ここに残すわけにいかんだろ」


ヴェルナーが黙った。少し考えてから、頷いた。


ゲルトが最後の宝飾品を火に入れた。城の外に持ち出すものは、何もない。





「骨は」とリリアが聞いた。


「このままでいい」とゲルトが言った。「城ごと、墓だ」


テアが立ち上がった。壁から手を離して、焚き火の前に来た。


「一緒に弔っていいですか」


「弔い方があるのか」とリリアが言った。


「修道会のやり方で。——ガーゴイルも一緒に」


ゲルトが顎を引いた。


「あれに魂があったのか」とヴェルナーが言った。


「分かりません。でも」


テアが炎を見た。


「あれほどの忠義があるものに、魂がないはずがないと思う」


誰も返さなかった。


リリアには、分からなかった。


ヒーラーの教えでは、魂を持つのは人だ。モンスターは違う。石でできた守護像はなおさら。ガーゴイルと王を並べて弔うという発想は、リリアの中にはなかった。


でも——テアがそう言う時の顔を見ていると、それが間違っているとも思えなかった。


尊いものに触れているような気がした。自分には届かないが、確かにそこにある何かに。





テアが目の石を拾った。床に転がっていた二つ。


欠けていない。丸いままだった。


焚き火の脇に、小さな石を並べた。結界のように、輪を作った。その中に目の石を二つ置いた。


「これが墓標の代わりです」


テアが膝をついた。目を閉じた。修道会の呼吸が始まった。深く吸って、長く吐く。気が流れに還るように、繰り返す。


リリアは隣に立った。


ヒーラーの作法は、細い。神のもとに旅立つ人に、ただ手を合わせる。それだけだ。


どんな神かも、その神がこの城の主を知っているかも分からない。


でも——神がいるなら、きっと迎えに来てくれる。


手を合わせた。


「どうか、安らかに」


炎が揺れた。


煙が流れてきた。ヴェルナーが顔をそむけた。でもその場を動かなかった。





燃え残りを小箱に収めたのはゲルトだった。


誰も急かさない。誰も言葉を足さない。


「埋める場所は」とリリアが言った。


ゲルトが城の奥を見た。


「……ガーゴイルが守っていた場所がある。地図にない場所が」


「そこに」


「そこに」


四人で歩いた。崩れた石の廊下を。灯りを一つ持って。


ゲルトが場所を選んだ。言葉にならない選び方だった。ただ、ここだと分かった。


小箱を置いた。隣に目の石を二つ並べた。


石でそれを囲んだ。テアが組んだ輪と同じように。


誰も何も言わなかった。


何百年もここにいたものが、今もここにいる。それだけだった。


灯りを戻して、廊下を引き返した。足音だけが続いた。


城の外に出ると、空が明るかった。


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