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少尉ですが何か?改修  作者: 背徳の魔王
国王ですが何か?
93/123

奇跡の代償



━━━闇。




大陸中を覆う魔気とは、アビスに落ちた大陸では、魔力が変質した存在とされていた、


魔気を魔人が精製すると。魔素と言う物質となり、強力な闇の魔力へと変質する、ここまで変質させると普通の生物には猛毒となるが、アビスの生物にとって力となるのだ。その為人間界の大気に、魔気を放出して、人間界を蝕んでいくのが相応しい。




━━中央大陸。

元赤の民の都。



魔素に染められた神殿は、元の白亜に輝く美しい姿を失い、暗い怨念によって変わり果てていた。



━━元は、太陽神の神殿だったが、



今や……。


闇の女神カーレルを心棒するもの達の神殿となった。




変わり果てた民達は、醜悪な姿をしていた、爬虫類のような造形をして、髪を失い、口を開けば、ノコギリの肉食獣のような牙が並び、灰色の皮膚は、魔素で、焼け爛れ。悪臭を放ち、嗄れた言語を使う。


『ビスタスが殺られたと?』


古き、神殿のような建造物。眠りについてる闇の女神カーレルの神殿内。


『まさか……、神の遺物を使いし者か?』


神官の宮司のように、魔物の毛皮を身に纏う魔人は、



遥か昔━━━、



太陽神アセードラの大司教の任にいた者だった。



その昔。美しい風貌をした一族でも有数な実力者で。赤の民の王の下で、長の一人となった程であった。



赤の民とは、生まれ落ちた瞬間。魔力の強さにより。

階級が定めらる。それゆえに双子の兄を。大司教だった男は妬んでいた。



━━あの運命の日。



アビスに墜ち、魔人となった後ですら、兄と兄を選んだ人間の女を恨み。妬む……。


そう━━レイアスの策謀に荷担した。元赤の民達は、姿と同じく、醜悪な心を抱き、神が愛した豊かな生命を、変質させ冒涜する欲望を抱いた。



━━そしてついに。赤の民の長達であった。他の7神官の助力を得て、兄王を、排斥して、長年の夢であった実権を握った━━。



欲望のままに生きた大司教は、一夜限りの王となって、贅の限りを尽くした。




━━増長した大司教は、神を罵り、呪うような言葉を吐き出しては、哄笑した……、



それゆえ神々の怒りを買い、闇に墜とされ、その魂と存在すら変質していた。



━━それでもなお。赤の民の多くは欲望のまま魔人へと変わり果てていた。レイアスは新たな冥界の民の王となっていた━━、




━━━未だ……、




中央大陸を纏う、神々の結界に阻まれ。外界に出られず。歯痒く思っていたが……。



ようやくだ。力ある7神官だけだが、我等魔人を、送り出した矢先のことだ。



まさか一人が倒されようとは……、


『神は、我々を赦さぬか……』


怨差を呟き、瞳を恨みを宿し暗く光らせ。忌々しそうに舌を鳴らした。



魔人の王の名をレイアスと言い。




━━遥か昔。赤の民の王を妬み。人間を唆して、反乱を画策。それが失敗したら、白の女王を暗殺したのも。レイアスであった……、



レイアスと双子兄王プロキシスは、1人の人間の女を愛してしまった。



しかし……。



人間の女は、兄を選んだ……、



兄が王だから……、



兄はいつもいつも……、



大切な物を奪う……、

レイアスは思った。赤の民の階級が、女は兄を選んだのだと。



だから兄を選んだ全てが……、神々すらを赦せなかったのだ。



だからレイアスは、墜ちたのである。


『この世界を必ずや……、必ず破壊してやる』


椅子に使用していた。サイクロプスの骨を力で砕きながら、魔人の王は、慟哭した。





━━━━━━━━




━━━太陽神が放った。神の奇跡による膨大な浄化の光が……、




徐々に薄れ……、




大地に、クレータを穿った。


━━神の奇跡。

中央大陸とつながっていた。



もう一つの扉。扉と言うより狸穴(まみあな)ごと消し差っていた……、



大物が何体か、結界を抜け出したようである。怒号が、ナタクの元まで聞こえてきた。


「アレク……、今度こそ、そちらに行くよ……」


自分と同じような境遇だったアレクは、最後まで、人間の世界を愛していた……、



まるで彼奴の母、白の女王のように……、


「アレクと初めて会った日は……」


素晴らしい光輝くような。そんな天気の良い。そんな日だった……。



ナタクは忘れない。初めてピアンザの妻シレーヌ王妃を見た時……、



アレイク王国のミレーヌ王女の存在を知り、一目見た瞬間理解していた……、


「願いは叶った……、母様……、アレク……、ま……た……」


二人を見て、酷く懐かしかった━━━。




━━━二人の見目は違う、でも白の女王の血を受け継いでるのは直ぐに判った……。



二人は間違いなく、白の女王の子孫だと……、ナタクは地下迷宮の旅を得て、アレクと出会い。白の女王の元で暮らした。



まるで本当の母のように慕った。アレクとは幼馴染みとして、本当の兄弟のように育った。ナタクは知らなかった。ハーフが住む隔離地区で、物心ついて間もなく母は死んでいた。だから自分が、赤の王の子息であること。知らずに育っていた。



父が秘かに白の女王に計らい、ナタクの事を頼んでいたことも━━。



━━それを知ったのが、120年前の異変の時だった……。



魔物が、凶暴になり、海中都市をも襲われ、あわやの時。白の女王が、その身を犠牲にしなければ、アレクとナタクは殺されていただろう……、



━━遥か昔の話だ……、



戦場を見渡したナタクの脳裏には、アレクが造りだした国の民と。共に戦う日が来ようとは……、



不思議な感覚である。大地を埋め尽くした魔物の群れは、数を減らしてゆく。



ナタクは満足そうに、剣を手放していた、


「これまでのようだ……、アレク……」


力を使いすぎていた……、



最早聖王の剣を、維持する力すら、失い掛ける。




やがて……、静寂が訪れていた。




歓声が上がる。



ナタクは、満足そうに微笑しながら……、その長き生を、終わらせた。



オーラルが駆けつけた時、沢山の人に見送られ。ナタクは微笑しながら、絶命していた。傍らに添えられた白銀の剣が、ナタクの墓碑のように、突き立っていた。



戦乱を呼び。

━━数多の死と混乱を招きながら、聖騎士と呼ばれたナタク、今こそ苛烈な男のために静かに冥福を捧げた……、



後を聖職者に任せ。オーラルは前を見守る。


「本当の災厄に備えなければならない」


決然と歯を食い縛り。後ろを振り返らず。ナターシャ女王のいる陣営に向かった。







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