最強の運を持った元将軍
━━━東大陸、ラトワニア神国、
ラトワニア神国の西に広がる平原、さらに古い炭鉱跡がある山岳地帯に囲まれたほぼ中央。
ドヴィア国はある。
小国ではあるが、勇猛果敢な男達が多く。近隣諸国からは戦士の国と知られてるドヴィアは、国とは名ばかりの大きな街程度の国土と、民が王族と近所付き合いするほど結束が固く。仲間意識が強い国である。
それがドヴィア魂と呼ばれる。心意気である。
先のラトワニア神国で起きた事件。義に動いたイブロの行動を、国民性からかみな誉め称えていた、そんな清廉な国民性から。イブロに対しても悪口を言う者はいなかった、昔ながらの義には義を、信には勇を、苦しむ家族には手をが、ドヴィアの美学とされていたからだ。
━━城下にある。やや大きな家屋の一室。
無精髭を生やした初老の男は、長く患っていた苦しみから解放されて、
嘘のように胸の息苦しさが消えていた……、
部屋の主は、
随分と力を失った身体、皺が増えた手を、日に翳しながら穏やかに微笑む、初老の男の名をキブロス・レダ。元ドヴィア騎士団長は、とても晴れやかな気持ちで柔らかに微笑していた。
「随分と鈍っちまったもんだい」
長く身体を横たえていたベッドから降りて、その足で井戸に向かい。衰えてはいるが、力を入れてもあの息が止まるような苦痛が襲って来なかった。
仄かに勇気付けられたキブロスは、滑車を引いて水を汲んだ。
「うむ」
年蓄えた無精髭を、綺麗に剃り、白いものが混じった、髪を後ろに束ねた。
「また、こうして動けるようになるとは……」
イブロの奴の友人二人に感謝した。
フッと視線を感じて、チラリとみやると小さな人影と目が合う、
「じぃじぃ!」
扉をそっと開けて、じっと様子を伺っていたのか、ニパリ満面の笑顔で、キラキラした眼差しを受け、孫娘が期待するように、キブロスを見上げていた。
愛らしい顔立ちは、嫁さんに似て、物怖じしない性格はあれに似たらしい、可愛い孫娘に眼を細め手招きをすると、もじもじ恥ずかしそうに、艶やかな色彩の着物を着てひよっこり出てきた、
それから恥ずかしそうに、小首をちょこん傾げ立っていた。
「おお~?!、セレナ良く似おうておるぞ」
つい最近まで、可愛い孫娘と、遊んでやることも、抱き締めてやることも出来なかった、身体を起こすことも一人では出来ず。強い苦しみが伴っていた、それを理解してたのか……、どこか遠慮がちだった孫娘は、こうして動くことが出来るようになって。毎日じぃじぃと呼びに来てくれる至福。目尻を下げていた。
━━今日は、ドヴィアの収穫祭が行われる。
息子夫婦はそろって忙しく、手伝いの者が、気を利かせ、南大陸で高価とされる紬の織物で、作られた反物を、ドヴィアでは着物として、特別な行事に、身に着ける風習がある。
セレナは来月で3つになる。
神殿に詣で、病もせず。不幸から守られるよう、3つになったおなごは、詣でるのが、収穫祭の仕来たりである。
だが━━━近年不安定な情勢では、南大陸と交易すら難しく、財政とてけして豊かではないドヴィアの民は、苦労を強いられていた。それなのに……二人の子を思う心に、答えてくれた友がいたのだ。
(オーラル……、あやつが、いつも口にしとる名前を、覚えてしまったな……。)
いつか義を返さねば、老体に鞭打ちキブロスは孫を抱き上げ、相好を崩した。
━━夕闇、沢山の灯りが灯る。
ざわめき、愉しげな笑いが、人々の顔にある。孫を連れて。ゆっくり出店を回り孫に焼き菓子を買ってやったりと楽しんだ、
━━━その日の夜。
イブロが慌ただしく、帰宅してくるや、熟睡してたキブロスまで叩き起こす始末、孫と1日遊び惚けてあからか、今まで使ってなかった筋肉が、悲鳴を上げていた。
「どうしたイブロ?」
煩わしく思いながら、渋々眼を開ける。すると真っ青な顔をするイブロが、泣きつかんばかりに、立ち尽くしていた。
「親父……俺はどうしたらいい?」
今までにない、切迫詰まった切実な感情を声に聞き、何かあったと直感する。
「情けない声を出すでない。お前はドヴィア騎士であろうが」
イブロをピシャリと厳しく諌めた、そして……、ようやく話を聞き出したのだが、
思わず唸る。
『まさか……聖帝が、生きておったか……』
イブロから、あらましを聞き出して、リドラニア公国で起こった事件、アレイク王国で起こった事件を繋げれば、
(それしかあるまい……、)
キブロスは表情を引き締め熟考する、しばらく考えに考えてぴしゃりと膝を叩き、ある決意を固めた。
「イブロよわしは決めたぞ、俺はアレイク王国に行く!」
「なっ……」
呆気にとられる我が子イブロに向かって、不敵に笑う、
「義を、返さねばな~イブロよ?」
父の白い物が混じった頭を見て、ハッと息を飲む。
「クッ…………」
唇をきつく噛み締め項垂れる息子の肩を叩く、
「親父……ありがとう」
━━翌日。日も昇らぬ内に国を後にした。
━━それから商人の護衛をしながら10日あまり。勢いだけで国をでたキブロスだったが、まったく宛もない。それでいて国境を抜けて数日、
━━ようやくアレイク王国首都カウレーンに着いた、
取り合えず大通りから裏通りに向かい。小さな酒場を見つけたので、情報を集めに店に入った。
「すまんが蒸留酒を」
度数の高い安い蒸留酒を頼み、やや多目に払う。
「旅人かな?、すると爺さんお前さんも噂を聞いて来た口かい」
「まあ~なそんな所だ」
適当に話に合わせて合図地を打った。
「第一師団の公募に応募しに来たんなら、アレイ教の神殿でも受付中だぜ受けるなら早めに行くことだな」
こうした酒場では小銭を出すと、ちょっとした情報を聞くことが出来る、キブロス程になると酒場の様子を見るだけで何となく分かるものだ。
「公募とな?」
「おうさ何でも年齢に関係なく、将兵を募集するともっぱらの噂だな。」
「なるほどの」
これ幸と宛のないキブロスも申し込むことにした。
酒場の店主に聞いて大通りに戻ると、東の通り向かいしばらく歩いてくと大神殿が見えてきて、沢山の人だかりがあった。キブロスも並びやがて、キブロスのばんになると一枚の羊皮紙に名前を記入する時になって。はたと迷いに思う……、
(しまったわい流石に本名は不味いな……)
思わず。亡き妻の名、エイビスを記入して、キブロス・エイビスとした、
元ドヴィア騎士と書いたが、消そうとしたら、あっさり事務担当の顔色の悪い男に取られてしまい、実にあっさりと運ばれ。合格の印鑑が押された。
「まあいいか……」
肩をすくめると、言われるまま制服が与えられて、着いてくるように若い男に言われた。そのままキブロス他合格が言い渡された者達は、訓練場に案内された。
訓練場にはキブロスと同じように合格を言い渡された者達が、集められていた。キブロスの想像以上の人でごった返していた、
見ると訓練場の真ん中には、若い男が木刀片手に立っていた。どうやら武芸の試験官らしいな、にやりとキブロスは不敵に笑みを浮かべていた、
「武器を選んだ人から。試験官と模擬戦をしてもらいます」
ちょっざわめきが上がった。
「この場におられるみなさまにたいしては、兵士としてもある一定の経歴者を選ばせてもらっております。この模擬戦の結果は、みなさまの配属を決める試験となっております」
「ほほう、なるほどの」
キブロスも置かれた武器の中から、手頃な重さの槌を選び、列に並ぶ、
「次!、元ドヴィア騎士団所属キブロス・エイビス」
名を呼ばれたキブロスは、槌を片手で扱い肩に担いたまま、斜に構え。合図を待った。
試験官の若い男は、一瞬驚いた顔をしたが、静かに微笑して、ドヴィア騎士がする。正式な儀礼を見事にされ、キブロスは驚きと同時に、
『こいつ……気付いてやがる……』
感心しながら舌を巻いた、さっきから見てると、わざと……相手に打たせ、力を引き出して、引き分けに持ち込むと言う、離れ業をこなしていたのにキブロスも気付いていた。
かれこれ100名以上も相手にしていて、まるで疲れた様子がない。
(面白い)
かなりの実力者だと直感してたが……、
『ただ者じゃないな……、俺をかなりの使い手と見抜きやがった』
身を引き締め、キブロスは、合図と同時に、遠心力を用いた、凄まじい最大の必殺技(雷鳴)を仕掛けた。
鎚の重さ、柄の長さを巧みに扱い、地鳴がしたような凄まじい破砕音、キブロスの周囲を包み。空気すら撃ち抜く、衝撃の雷雨を振り落とし続ける豪技に、どよめきが上がる。
「ご苦労様でした、体力が、まだ戻られて無いようですね。キブロスさん」
優勢は、僅か数分いなされただけで、敢えなく崩れ去る。
「ぜーはー……」
肩を揺らし全身で、喘ぐように息をしながら、息意味ありげな若い男の眼差しに、鋭く睨む。
(羞恥だ……、)
愕然としていた。
『ここまで衰えていたか……』
それを抜きにしても若い試験官に完敗である。この若者は、キブロスの弱点、体力不足を突いただけだ……。
自身の考えの甘さに歯噛みした。
「ぐっ………」
全身の筋肉が、悲鳴を上げる我が身に、
「忌々しいわい」
思わず愚痴る。流石にこの体たらくでは、合格を取り消されるか……、
意気消沈するキブロスを、意味ありげに見詰めていた若い男は、
「キブロスさん、後進の指導と、俺の補佐をお願いします」
しょげるキブロスは、我が耳を疑って顔を上げた。
━━いつの間にか、先程の顔色の悪い男が来ていて、準騎士を意味する校章を渡され戸惑っていると、
「キブロス・エイビスさん、貴方をアレイク王国第一師団、少尉に任じます」
ザワリ、辺りから驚きの声が上がる。
「ようこそ俺の師団に」
━━負けた以上の衝撃を受けていた。
「まさか……、本人が、面接をしてるとは……、」
呆れると同時に、こいつは信頼出来ると納得できた。
『まんざら倅の眼も、捨てたもんじゃねえな』
キブロスの他、三人のかなりの腕と、経験を積んだ者が選ばれ。少尉に任じられ話題となる。
選ばれた━━中年の戦士二人と。妙齢の女性。キブロスの四人は、顔色の悪いアロ補佐官に連れられ馬車に乗せられる。
「ご苦労様です。私はアロ補佐官と申します。主に、第一師団の運営をオーラル大佐より任されてまして、皆さんにはそれぞれ、分隊をお任せするよう。オーラル大佐からの命です」
ざわり……、いきなりのこと、驚きの声があがる。
「良いかしら」
妙齢の女性が手を上げた、
「なんでしょうリマ・ロナベルさん」
驚いたことに、全員の顔と名前を覚えてるのか?、
「それは私に、見もしない、部下をどう扱うか、任せると言うことで、良いのかしら?」
他二人も、そこが聞きたかったようで、困惑の表情だったが、静観する気になったようだ。
「構いません。まずオーラル大佐が、貴方達を選んだ理由からですが……、どんな形であれ、こちらの意図を理解出来るだけの最低限の優れた。認識力と力量は、分隊長としての判断力はあるとのこと」
まじまじアロ補佐官を、唸るように睨み付ける、
『実に。あっさり言ってくれるわい。ほんの僅かな時間だぞ?』
いささかわざとらしさを覚えて、訝しむ一同の視線を感じて、一度咳払いをする。
「勿論。大佐の考えでは、でありますが、あの方の直感は、外れた事がありません、ですが補佐官としてあえて、大佐の気持ちに。一言足すならば、今さらアレイク国のやり方を押し付ける気とか。意味はありませんから、ですかね」
青白い顔色のアロは、シニカルに笑いながら、困惑気味の一同を見ていた、実に楽しそうに笑いやがる……、
あながち間違いとは言えぬ。が……、
「そんなこと言って良いのかしら」
同じことに、気付いた妙齢の女性リマがイタズラぽく笑う、
アロと名乗った補佐官に、わざと顔を近付けるが、アロは、一切表情を変えず。それどころか嬉しそうな顔すらして、
「構いません、貴女が、わざわざ他の三人の為に、聞きたいことは、こちらに書いてありますので」
新しく少尉に、士官に任命された四人にはそれぞれ宛名が記された四冊の書類があった、
それぞれ困惑気味に受け取り、キブロスもページをめくった……。
「なんと………」
我が目を疑う。そこには確かにアロ補佐官が言ってた……。
質問したかった答えが書いてある。
「これは……」
キブロスは、思わず笑っていた、
━━なにせ……、こんな一文を見ては………、
゛キブロス将軍の義に感謝いたします。゛
笑わずにはいられない。ふと他の三人を見れば、キブロス以上の驚きの色を、隠せずにいた。
「皆さんよろしいですな?」
これが……アレイク王国が誇る『オールラウンダー』か……、
一同が納得した所を見計らい。馬車に揺られそれぞれの分隊兵と顔合わせするまでの僅かな時間を、ページをめくる音は続いた。
━━━元カレイラ師団敷地内。第一師団の大食堂……、
元は第1分隊の隊舎だったが、
オーラル大佐が食堂を敷地内に開き、新しい住人の雇用と、職場を与えた。キブロス他三人の少尉は驚いていた。
駐屯地には様々な施設が運営されていたからだ。
師団運営はひとえに。団長の勤めであった。毎年師団には、国から一年分の将兵の給金と運営費が定められていて、必要経費がまとめて送られるが、どの師団でも財政は厳しいのが現状である。
まずオーラルは、広大な使われていない師団の敷地に目をつけた。
街の若い職人をスカウトして、敷地内に様々な工房を建てさせることにした。今や国内で不足してる武器、鎧。備品の制作を任せ工房で造らせた。
二ヶ月とせず第一師団工房製品として、相場の1割安くして売り出した所、足りない武器を求めて各師団からも安くて丈夫と人気となって売れ始めた。なので将兵には、これらの工房の品を、3割安く格安での販売をしたところ。たちまち良質な製品は噂になり、貧乏将兵は高価で中々手に入らない、良質な武器が買えると喜ばれた。一方職人は武器が売れたら、新たな仕入れを行うことになる、それも大量に買われるから、安く鉄が仕入れられる。こうした流れが、緩やかにだが、第一師団の財政を潤わせる。
オーラル大佐は次に、増えた将兵の為。新しい隊舎を作る一方で、三ヶ所の隊舎を食堂として解放した。
主に将兵や第一師団で働く者に、食事を格安で提供することで、分隊で固まって自分達だけで苦労して食事を作っていたのだが、そんな労力も無くなり自然と違う部署の人員と顔を会わせる機会が増えた、
そうなると半年後には、部署や部隊を越えた交流の場なっていた。
この改革の最大の利点。それは外出で時間を無駄にすることが消えたこと。些細な事案での会議が、食事を取りながら可能になって、情報の共有が楽になったことだ。
そうした無駄を省くことで、不要な出費を押さえることにも繋がり。
師団の財政は安定していた。オーラルが師団長になって三ヶ月程した頃には、
商人達がこぞって新しい取り引き先に、第一師団を選ぶ程だ。近々交易所を領内に設けるとまで話が出るほどで……、嬉しい悲鳴が師団運営の経理部隊長アロは青白い顔を綻ばせる。
オーラルの行った改革を見てきたシルビア=カレン・ダレスは、半年とせずにガイロン重騎士団でも、オーラルの行った改革を取り入れさせたと聞く、
更に一年近く過ぎると。兵士の増員も上手くまとまり、小隊長を任せられる将兵も増え続けた、こうしたオーラル大佐の影の采配で、僅か3ヶ月の短期間ではあるが、以前の三倍を数える。兵を第一師団は抱えたのだが……、
━━━無論問題もあった。
━━元第1分隊食堂、
訓練を終えた将兵に混じり。職人の姿も見掛けた。奥にある将校が座るテーブルに。新任の少尉四人は、前任の少佐四人が様々な理由で、第一師団を離れたためそれなりの重責を与えられていた。本来は100名程度を指揮する分隊長でありながら、少佐(百騎将
なみの権限が与えられていた)
現在第一師団の兵すうはおおよそ25000を誇り、少尉四人が、まとめることになっていて………、正直大変である。
「正直……、厳しくないかしら……」
士官の中で、唯一の女性リマ・ロナベルは、やつれた顔をしかめた。
「それなんだが、なんでも古参の中尉が、いるらしいな」
さしものキブロスとて、上に立った仕事は慣れていても、若い将兵に混じり身体を鍛えながら他の仕事をこなすと、疲れが抜けないなと。年を感じながら古参の兵から聞いた話をする。
「それは聞いた、オーラル大佐のお使いで、出てるそうだ」
元リドラニア公国の海兵だった、ユウト・アルピス、
「早く戻って欲しいものだ……」
同じく元リドラニア公国兵だったロマイヤ・ナレストは、ふてぶてしく笑い会う。まだまだ元気そうで羨ましいなと嘆息しながら、食堂にいる皆の顔は明るい。ここにいる多くの将兵は、国を失い、土地を終われたために、不安を抱えてアレイク王国まで逃げて来た者ばかりだ、
ユウトとロマイヤは、妻帯者である、それぞれ年頃の子供を抱えていたが。オーラル大佐の口利きで、アレイ学園入学が叶ったと喜んでいた。
「オーラル大佐とオーダイ准将が、あのナタクを撃退したらしいな」
「なんでも……、たった二人で3000もの敵兵を撃退しとか……」
若い戦士養成学校から、編入させられた青年の呟きに、同僚が興奮しながら追従した。
四人の少尉は、理由を知るだけに、素直に喜べない……、兵力を見れば、確かに以前の三倍だが、今の現状はかなり厳しい……。
第一師団に在籍しているほとんどの兵士が、戦で役にたつかは微妙な線のためだからである。
そもそもオーラル大佐は、登用を進める上で、有能で一線で戦える小隊長クラスを。壊滅的な国の守りの要である。ガイロン重騎士団に配置していた、
魔法適性のある者や冒険者上がりの者には、国内の治安にあたる。フロスト騎士団に優先的に。振り分けているから。
自然と第一師団には、未熟で、未だに戦では役にたたない者ばかりが集められてるのが現状である、さらには小隊長を任せられる将校がいないのでなし崩し的に、多忙な大佐に代わり。四人の少尉が兵を鍛えなければならない立場にいた。
『知らないのは、若い将兵ばかりなりか』
まだまだ問題は山積みだと嘆息しながらも、香辛料の効いた、鳥モモをがぶり、
「旨い……」
鳥の油まで、舐めとり、リマに睨まれたが、こればかりは、止められない。
━━━一方……。多忙の筈のオーラルは、ジン・ゲルマン、ロート・ハーレス中尉の両名を連れて。密かに使者となり、ラトワニア神国の王宮を訪れていた。
「大変な時なのに、わざわざオー君ありがとうですわ♪」
非公式での謁見を望み。オーラルがナターシャを押し留めた。これには理由が2つある。
オーラルが、今も王の傍らにいると思わせかったこと。
もう一つが今でなければ、オーラルが自由に動けないタイミングであったためだ。訪問は秘密にされていた。




