表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少尉ですが何か?改修  作者: 背徳の魔王
海賊中尉ですか?
57/123

吸血王の秘密



━━━話は、ラトワニア神国からの救援要請後。カレイラ、ケレル殿下との会談に戻る。



オーラルが、二人に呼び出され、命じられた仕事は3つあった。



1つはナターシャ女王の暗殺を防ぐこと、


1つはリドアニア公王が、悪魔と取引をして、吸血鬼=不死となっているため、真相の弱点を集めた存在。影を、先に殺すこと、


1つは吸血鬼=公王の浄化あんさつであった。



流石に驚きを隠せずにいたオーラルだが、了承した。



━━そして……、第一分隊が……国境に着いた頃……、



何故かオーラルは頭を抱えていた。視線を下げると、とても真剣な眼差しをして、口を一文字に結び、譲ろうとしない強い決意の光さえ、相貌に宿していた……、


「あの~アミさん?、この先危ないので、街の宿で、待ってて貰えないかな?」


「私も行きます!、母を殺した、吸血鬼をこの手で、倒しに……」


意表を突かれオーラルは驚き、同時に、感心していた。


「アミさんはどうして公王が、吸血鬼だと、気付いたのかな?」


アミは、一瞬迷った顔をしたから、何か理由があると感じていた。だからアミが話すまで待つことに。



そして……明かされたアミの父親の名を聞いて、さすがに動揺したオーラル、自分の秘密。微かに伸びる八重歯を見せられては、信じるしかなかった。



━━ダンピル……、吸血鬼と人間の混血を意味する単語である。遥か昔……、僅か一例だけその存在が見付けられたと、本で読んだ事があった……、


「まさか……、そんなことが……、アミに一つ聞く。吸血衝動は無いのか?」


これだけは聞いておかなければならない。


「はい、母に聞いたのですがダンピルは、吸血鬼とはそもそも存在自体違うそうです……」


アミの話しでは、ダンピルは人間に近く。呪いによる拘束が無いが、生命エネルギーは必要だと、


「私は動植物、人から発するマナを吸います」


足元に咲く花を手折り、オーラルに見せるように、アミの手の花は、一瞬で枯れた。


「癒しの奇跡を使えるのは……、とても珍しいそうです」


照れて朗らかに笑みを浮かべていた。多分オーラルに話したことで、少なくない肩の荷を下ろしたのやもしれないな。不可思議なアミの運命を考えると、小さく首を振っていた。



まさかアミの父親が、リドアニア公王セージ・キラオクだったとは……、世紀の大事件である。吸血鬼と司祭の禁断の恋……、



アミは、セージ王がまだ優しい心を持っていた時の結晶だった……、



「多分ですが……」


母フレンダは、アミがセージの側にいることが良くないことと判断して。父の手から逃れた。


だから小さな集落で暮らしていたと。しかしセージ王はアミを探すため、多くの命を奪っていった……、



アミは神に使える身。とてつもない罪悪感を感じていたと………。


「なるほど……、例え俺が置いてきぼりにしても。君は……、1人でも向かう。そうだね?」


一切の迷いなく、アミは首肯した。


「では、一つ約束してくれるかな?」


「何をですか?」


オーラルは優しい眼差しをアミに向けていた。だから敢えて一つの約束をさせていた。それはとても酷いことを言ってるだろうと思った。

アミはとても戸惑う。それでも強い決意ある瞳は、険しい顔は……、やがて……、戸惑い、泣きそうな顔になり。


「はい………」


可愛らしい、年相応の笑みを浮かべていた━━━、




━━━━━━━━




━━━南大陸、ファレイナ公国━━元国境砦、



……現ローンの街。



━━街は着々と建物が建てられて行く、まだ通りが作られたばかりであるから。通りと区がが漸く整備されたばかりであった。



ダーレン反乱軍とファレイナ公国との戦は、半月もの激戦を繰り返し。辛くもファレイナ公国を退けた。それを大々的に各国に知らしめ。新たなる国家建設を世界に認めさせること。これにより承認国となることが決まっていた。

新しい国名は近日、ファレイナ公国との和平条約締結時に、発表される。



━━半月前……、戦争の始まりも突然ながら。

戦争の終息も突然だった。



━━数ヶ月後。国境の街ローン。


決印式に署名するのは、ダーレン解放軍の英雄バローナ将軍と、

病死した前国王に代わり、女王となったミザイナ・アルタイルであった。



締結の式場に、国境のこの街を選んだのは、公式上では、そういうこと(…………)になっていた。


「大丈夫か……、ミザイナ?」


ぼくとつとした顔立ちの少年。童顔のため、そう思われてしまうが、年はミザイナの2つ上である。彼こそ夫となる剣聖ジンベイ。彼の優しさに、艶やかに微笑していた。


「大丈夫だジンベイ……、伯父が、まさか病死するとは……」


未だに信じられなかった。ファレイナ公国最強の剣士であった。あの伯父が…………だ。



ミザイナが国境に向かった翌日……。



剣王は息をひきとった……、



あの日━━ミザイナが戦場に着いた時には━━既に。


父は、ダーレン解放軍の魔神を倒すため無理が祟り、右腕を失っていた。今も生きてるのが不思議な状態だ……、



━━なし崩しで、ミザイナが女王として戴冠した。こんな形で……、女王になるとは思わず。夢ではないか?、何度も自問自答した。不安に揺れるミザイナを救ったのは……、幼なじみで、ミザイナの許嫁者ジンベイだった。本当は今も不安だ。でもやるしかない、


「こちらでしたかミザイナ陛下━━」


声を聞いた瞬間。ミザイナの眼差しが鋭くなる。



━━コツコツ。杖を着きながら、黒衣のゆったりしたローブを羽織り、現れた男こそ。ダーレン解放軍、軍師デーア・オルトスであった。


ミザイナの目に幾分、険があるのは理解している。彼こそ魔神と呼ばれるゴーレムを作った製作者であり。バローナの右腕。ミザイナとしては認めることは出来ない。ただ1人の肉親となった父を、ああまでしたのだ、赦されるなら、殺してやりたいと今でも思っていた。



しかし民のことを、さらには情勢の悪い、東大陸ばかりを気にする訳にはいかない……。


「よっ~と、ようやく会えたなミザイナ、相変わらず元気そうで……おっと止めときな、次期国王様」


珍しく怒りを顕にした婚約者の腕に、手を置いて制す。


「バローナ……相変わらずだな。人の神経をさかなでにするのが旨い」


呆れたような口調で、睨み付ける。バローナは肩をすくめながら、不敵に笑っていた。ミザイナは内心唸っていた、まさかあのバローナから秘密りに密書を受けようとは……、ダーレン解放軍の後ろ盾に、魔王の影があるとは……、


「デーア頼む━━」


バローナの意向を瞬時に理解して、魔法を唱えていた、一瞬ジンベイが反応するが、ミザイナが留める。


「大丈夫なんだな?」


確かめると静かにバローナを促す。


「魔王の手下が……、この会談を覗いてやがる。誤魔化せる時間は僅かだ、口を挟むなよ」


既にミザイナから、ジンベイには話していた。二人は素直に頷く。


不敵に笑いつつバローナは、魔王の手下=闇術仕の双子の目的を話していた。



━━━西大陸、パレストア帝国。王都ミッドパレス。


「あっ。あああ!」


大好きな父と母を見つけて、幼子はバランスを崩しながらヨタヨタ駆け寄って来た。


「ああうう♪」


抱き付くと、母のスカートに顔を埋める。


「まあ~リムルたら、お部屋から逃げ出してきたのかしら?」


驚き、眼を丸くしながらシレーヌは、可愛い我が娘を抱き上げ、柔らかな頬に、キスをする。


「だ~だ~」


大好きな母に抱かれていたが、直ぐに父を見詰めると、手を伸ばしていた。ピアンザはリルムの頭を優しく撫でると、直ぐにご機嫌である。


「シレーヌ」


夫魔王ピアンザの願いに。クスクス笑いながら、娘を手渡す。ピアンザは魔王の顔から、子煩悩な優しい父の顔になり、娘を抱き締め、大切な宝物をそっと撫でるようにすると、嬉しそうな笑い声を上げた。


「ありがとう」


温かな。子供のぬくもりを感じて……、人の心を失ってないか、確かめる。



ピアンザは、大切な友人の父を傷付けた……、



間接的でもあれ、命じたのはピアンザ自身。優しい魔王は、苦悩する。優し過ぎて、世界の敵と言われる覚悟を決めたとしても。大切な時を過ごした仲間である。

北大陸のある方を見て、やれやれと首を竦めたのは、


もう一人の友に苦戦を強いられてるからではない、大切な友人達の行く末を、願わずにはいられなかった。

世界を救うため━━、



━━我が子供の未来を守るため。魔王は覇道を歩む。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ