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少尉ですが何か?改修  作者: 背徳の魔王
第四章
45/123

少尉のお仕事2


━━━翌朝……、何事もなく。第一分隊は町を出て、それ以降……、襲撃は無くなり、無事に城塞都市ベセルに着いたのは、



━━7日後の夕方である。



第一分隊一行は、街に着いて、そのまま馬車は、フロスト騎士団の本拠地である。城塞の門をくぐり抜けて、やがて馬を止めた。


「こちらに回ってください」


馬屋に案内されたので、オーラルとカールは、馬車から馬を外してる合間に。アロ中隊長とクエナが、留守役の二人。副団長と司教と会うため向かっていた。



ここベセルには、王都に負けぬとも劣らぬ大聖堂があって、民の窮状を聞き、騎士団を派遣。また駐屯する町の騎士団の交代を命じ。王都に行けない熱心なアレイ教徒が、隣国からも訪れる。一種の聖地のような扱いである。それもあってかフロスト騎士団の本拠地と呼ばれていて、代々団長がベセルの領主を兼任していた。



━━今頃……引き継ぎがなされ。新しい命を聞いてることだろう……。


襲撃が無くなったとはいえ。表面上フロスト騎士団が、引き続きミレーヌ姫の護衛を行う。

新しい命令は、第一分隊が、フロスト騎士団が、本来は行う、見回り任務の代わりを、任される毎になっていた……。



その村こそ━━。


「待ってるわミラ」


優しい笑みを唇に張り付け、黒衣の長ノルカは、ベセルの雑踏から。馬車が入るのを見送り音もなく。消えていた……。


「ようやく解放~~。疲れた~~」


グッタリ疲れを滲ませるミラは、足を投げ出し。久しぶりの開放感を満喫していた。


「ご苦労様、ミラ」


苦笑いを浮かべたクエナだが、冷たいお茶を振る舞いつつ。兵舎の窓から、下を見て、嘆息していた。視線の先には、中古の馬車が用意されており。


後は……数日分の食料を買い足せば。出発となる━━。


「はあ~、ゆっくり休みたい……」


「なんであたしらが、引き続き任務するのさ」


文句を呟くミラの気持ちも分からなくはないが……、任務だから仕方ないとクエナに諭される。




騎士や見習い、従者に混じり、食堂で温かい食事をしたあと、湯あみをしてさっぱりしたエルは、直ぐに船を漕ぎ出していた。クエナはエルを抱き寄せ、自分の膝に寝かしつける。疲れを訴えてたカールは自室に残ると言ってたが、夜の街に遊びに出てる予感がするし。アロ隊長は、引き継ぎ終えたが、司教より詳しい話を聞くため。まだ戻ってきてない。巡回任務は初めてのアロである。何かと不安なのだろう……、



オーラルは何時の間にか、第一分隊の為に用意されてる部屋に入った時。机に手紙が置いてあるのに気が付いた。短い文明で、


『黒衣の村に向かっえ』


唇を噛み締めた。何があるのか……、



城塞都市べレスの北にある国境を越えると、ラトワニア神国、ドヴァイア公国に通じる険しい街道があって、東には高い山脈。麓に深い森が広がっていた。


無論山々の麓に広がってる森の中にも、小さな村や、集落が点在していて。未だに山々には多くの魔獣が住み着き、未開の土地を切り開く開拓村の民は、常に脅かされているのが現状であった。


━━だが近隣の森、山では珍しい、良質の毛皮が捕れるため、危険と解ってても、猟師が住み着き、畑が作られる。そのためフロスト騎士団は、月に一度。こうした村や集落を巡回する。



村や集落の民にとって、癒しの魔法を得意とする侍祭が従軍している。民にとってフロスト騎士が見回りにきてくれると言うことは、医者の役目も果たしていた。



こうした日々の行いが、アレイ教徒を増やした一因であるが……。民の願いと異なりフロスト騎士の数は少ない。

魔獣と戦う事が多いため、命を失う者も多く、さらにフロスト騎士団の仕事は、各地を回る巡回任務は過酷だ。精強さと忍耐強くなくてはならない、時に村人から罵倒されることもしばしば、その為人員が増えるカレイラ師団は、その片翼を担う予定であると。



━━第一分隊中隊長アロは聞かされて。青白い顔に冷や汗を浮かべていた。いずれしろ人数の増員間近である。未来の将校である。オーラル少尉が第一分隊に配属された理由………、様々な経験を積ませる必要との配慮とアロは納得した。



━━あくまでも表向きは……、



━━翌朝、早朝。




馬車の手綱を握りベセルの城門から、馬を走らせるカールの背を見て。小さく吐息を吐いた。



━━━半月前……王都。北の下級将校が住む住宅の一角に。

ハウチューデン家はあった……。



昨夜カールと飲んで、彼の胸の内を聞いたオーラルは悩んでいた。


「俺が……口を出すべき問題なのか」


と……。迷うオーラルをリーラが、訪ねて来たのは、夕食の終わって間もなくのこと……、リーラの不安そうな顔を見た瞬間、オーラルは一歩を踏み出す決意をした。だから柔らかな笑みを浮かべ。リーラを小さな裏庭に置いてある。小さなベンチを勧め、自分は子供が座るような。小さな椅子をリーラの前に置いて座る。


「………………。」


しばらく無言で時が過ぎた。手をグーにして、今にも泣きそうな顔を見るのは失礼と、空を見上げた。


「……ん~明日は、晴れそうだね」


固い表情のリーラは、随分思い悩んでいるようだ………、だから自分から話題を振ることにした。


「あれから会ってないけど、母様元気にしてる?」


「えっ……、あっ、はい、エレーナ母様はげ……」


勢い良く答えるかと、思えば……、怒られた子猫のように、シュンとする。こいつは参った……、何となくリーラが抱えてる不安に気付いたからだ、どうしたものか……、フッと小さな庭を見ていて、きちんと手入れされてることに。今さら気付いた、



━━この小さな椅子は、姉が大切に使い、自分も使ってた物だが、オーラルが座ってもびくともしない、大切にされてたのが分かる。母に感謝した。


「リーラ…、家の父さんが行方不明なのは、知ってるよね?」


「えっ…はい」


唐突なオーラルの告白に、戸惑うリーラ、優しい眼差しで見ながら、


「母さんも、姉さん、俺も、死んだとは思ってないんだ」


そう……、あの父が死ぬはずはない、相棒がいるんだから……、リーラの不安は兄カールのこと。その兄もまた悩んでるとは知らない。信じるから不安を覚える。不思議な事ではないのだ。


「お兄さん。君のお兄さんのカールには、時間が必要なんだよ」


「えっ?……」


ズバリ胸中を言い当てられ。虚を突かれたと、惚けた顔をしてるから。


『俺さ………何も出来ないんだ………、だから母さんや、周りの期待に堪えられなくなって、……妹のリーラは真面目で、頑張り屋で……、才能がある。俺なんかより、本当の娘なら良かったんじゃないかとね……』


真面目で優秀な妹……、でも血が繋がってないが、大好きな母と同じアレイ教の侍祭……、カールは、フロスト騎士に必要な、癒しの魔法が使えなかった……、


━━癒しの魔法は、神に選ばれなければ、使うことは出来ない。アレイ教徒は大地の女神アレに祈りを捧げ、声を聞くため心の鍛練を積む。多くは見習いのまま終わる。

オーラルは色々と迷ったが……、内密にケイタに頼み。カールの学園時代のことも調べてもらっていた。そして分かったのが、カールは生まれつき高い魔力を秘めていて、その素質が、祝福を受ける邪魔をしている可能性が高いと言っていた。女神は力なき者に祝福を与える。そう考えられていたかだ。



人間にとって、自分の夢と希望とは違う。それが現実である。

カールにとって、気持ちは無惨に砕かれたのだ。

だが『特待生』に、選ばれ困惑する彼を取り巻く環境、


それなりになんでもやれてしまう。優秀過ぎた実力は、自分に自信の持てない。カールにとって、本当の不幸だったのやもしれない……、

母は、息子との関係に戸惑いながら、新たなる道が出来たと祝福した。でもカールにとって、それがこそが心を傷付けてしまっていた。

誰もが大切に思うから、思いすぎるから。だから気付かずに……、

そう………。大司教エレーナ、リーラ、カールは、お互いに遠慮し過ぎなのだ。親子なのに気を使い過ぎなのだ。三人はただ相手を傷付けたくないと、安易に逃げた、



楽な方に……、



一度壊れた気持ちは、心の弱い人間にとって、再び奮い立つのは、とても怖いことだ。


「俺を、頼れリーラ」


リーラの後ろから。彼女を抱き締め、優しく頭を撫でていた。


「あっ、はい……」


嬉しそうにオーラルの腕に手を添えて、身体を預け寄り添う。

ポタリ腕に落ちた温もりを……、愛しく思う。

だから……、エルのことも、カールのことも、ミラ先輩のことも、考える。

自分に出来ることを……、ただ自分に出来ること。そのために。



━━夜営の準備が終わり、干し肉のスープ。堅焼きパンで、簡単な夕食を済ませてから、カールとエルを呼び出していた。


「なんだよ~用ってさ~」


軽薄そうなカールを指して、


「エルに頼みがある。補助系魔法を教えて欲しい」


「なっ、おいおい、オーラルちゃんよ~、一応お子ちゃまに教えて貰わなくても、大概の補助魔法は使えるぜ~」


戸惑いと訝しむカール、お子ちゃまと言う言葉に、膨れっ面のエル。


`エルのお父さんに聞いたんだけど~、先生になりたいんだって?´


エルに意識を読ませる。ピクリ眉をひそめるエル、


「あれれ?リリア・カーベン先生から聞いたけど、大したことなかったて聞いたよ?」


ピクリ……カールの眉間に皺が寄る。


「先生に……」


チラリ悪戯ぽい光を宿らせ、カールを見ると、ハッと顔を強張らせる。


`ケイタが心配してたよ……、あの子は、男の人が苦手だから先生は……´


『やる!ぜ』


二人は慌てて、同時に返事する。驚く二人は顔を見合い。仕方ないなと諦めの顔のカールと。憮然とするエルに一冊の新しい本を差し出した。物凄く分厚い本を、受け取ったエルがよろめくほどで、初めてみる本に、目を輝かせる天才少女に急かされて、カールは本を開いた。



最初の村に着いたのは、城塞都市べレスから二日目の昼頃である。


「おお~!良いときに」


出迎えられて、早々に、村長に引きずられ。連れてかれるアロ中隊長は、今にも気を失いそうな、真っ青な顔していたが、しばらくして、慌てた顔で戻って来たかと思えば、クエナと何やら深刻そうな話をしてた。


「どうしました隊長?」


馬の世話を終えたオーラルが、二人の様子に気がついた。


「オーラル……。ちょっと困った事が……」


アロから聞いた話では、



━━夕べの事、村の畑を見張る男が、魔獣に襲われ怪我をしたと言う……、怪我は大したことなかったが、魔獣の爪に毒があったのか、朝になり傷が化膿して、高熱が下がらないと言う。


「なるほど……多分コボルトですね、アロ隊長、俺で何とか出来ますから、案内を」


「わっ、わかった」


戸惑うアロ隊長が向かう先に、心配そうな村長が待っていた。


「失礼します村長、第一分隊少尉のオーラルです」


「はっ、はい」


白い物が混じる。恰幅のいい村長に、詳しい話を聞きながら、


「コボルトですね。傷を見せて貰えますか?、俺は土竜騎士です。薬草の知識は豊富ですから、何とか出来るかもしれない」


赤い手甲を村長に見せると、驚きながらも、


「こちらです!」


案内されたのは、真新しい丸太小屋で、ベッドに、大柄な若い男が、苦しそうに寝ていた。

傍らには若い女性……男の妻であろうか、泣き腫らした目を、不安そうに村長に向ける。


「こちらは、土竜騎士様だそうだ」


ハッと息を飲みながら、場所を開けてくれた。


「失礼します」


手慣れた手つきで、オーラルは男のホータイを外して、傷を確かめ、ほっと安堵の吐息を吐いていた。


「これなら助かる。すぐに処置をするから、エルとカールは手伝って、クエナさんは女の人に頼んで、沢山お湯を沸かしてもらって」


急に、慌ただしくなる小屋の中と、人の気配が増える外で、アロが村人に説明して、クエナがお湯を沸かすようにお願いする。


「カール馬車から、俺のリックを取ってきて、エルは奥さんから、いらないぼろ切れを沢山と、酒をもらってきてね」


ドタバタ二人は慌ただしく出ていく。それを見送り、オーラルは眠りの魔法と痛みを和らげる魔法を唱え。苦しむ男に掛けた。すると苦し気な顔が、幾分和らいだ。その時カールが戻る。


「カール。そっちのテーブルを運ぶから手伝って」

台所にあったテーブルを、部屋に運び込み。リックの中の薬草を取り出して並べてるとエルが、木桶に酒瓶を入れて戻る。


「カール明かりを、エルは調合の手伝いを」


てきぱき慣れた様子で、準備を整えてくオーラル。


「オーラル!お湯が沸いたぞ」


「ではどんどん沸かしたお湯を運んで、カールは、彼が動かないように押さえてくれ、エルは腕を押さえて」


息を飲み。見守る中。オーラルは魔法でナイフの先端を加熱してから、木桶の中に酒を浸しナイフを洗い、魔法の光に当てた、特別に作られた切開用のナイフを照らして、刃こぼれ一つ無いか確かめてから、男の膿んで、腫れ上がった右腕を押さえて、突き立てる。

凄まじい叫び痛みにのたうち回る。カールとエルが必死の形相で押さえ付けた。オーラルは、コボルトの爪を受けた傷を丹念に、ナイフで削いだ、コボルトは古い坑道や洞窟に住む魔獣で、大きめな犬程度の強い魔獣ではないが、その爪は汚れているため厄介な感染症を起こす。

のたうち回ってた男が、痛みのあまり、気絶した。



━━それから、ようやく処置を終えたのは。日が沈んだ頃で……、素早く右腕の赤い手甲に触れ、友であり家族である。オーラルの土竜に意識を飛ばした、


『我、契約者たるオーラル・ハウチューデンが求める。癒しの奇跡を……』


そして……、右腕からJr.の息吹きが流れ、男の傷口を徐々に癒して行く……。


「癒しの魔法!」


「違うですの、土竜騎士だけが使える。補助魔法ですの」


「土竜騎士……の補助魔法?」


驚きを隠せないカールに、簡単な説明を加える。土竜騎士はフロスト騎士と似た魔法が使える。癒し、解毒等、違うのは神に祈るのではなく、相棒の力を借りる点。フロスト騎士や侍祭が使う癒しの奇跡ほど劇的な力はないが……、


「カールは知らないかもですが、オーラルがくれたあの本、最新の補助魔法が書かれてました、中には……、毒消しや簡易の傷を治す魔法がありましたの」


「傷を治す?」


呆然と眼を見張るカールに、訳知り顔で、


「大怪我は、流石に無理ですが、補助魔法は進歩してますの」


「そうか……」


クシャリ顔を歪ませるカールは、


「お湯……取ってくるな」


顔をゴシゴシ。耳を赤らめ走り去っていた。



少し考え込んでた、エルだったが、幼い顔を上げ、汗を拭うオーラルの背を見て。クスリ笑みを称えていた。ゆっくり一歩踏み出す決意を決めた。



まだ……不安だが、義父や義母が信じるこの人なら……、



━━数日後。次の村に向かうため、馬車はゆっくり出発した。



━━少し時間は戻る。オーラル達が、最初の村に着いた頃。



ギル・ジータ王国の港。カレイラは魔法を使って、ブラレールと共に、尾行していた相手から。行方を眩ませる毎に成功していた。



朝市がでてる日で、人出が多かったのも味方した。


「お待ちしてました」


約束の場所。乗り合い馬車乗り場に。質素な馬車が用意され。その前に、男装の麗人が、非の打ち所なく一礼する。


「まさか本当にこのような手段で、いらっしやるとは……、思いませんでしたが、ようこそ我が国に、歓迎します」


エバーソン国王の右腕。サミュ・リジル外交官自ら出迎えられるとは……、カレイラとブラレールは驚き見合う、


「初めましてですの、ミレーヌ・バレンシア・アレイクですの」


美しい温室の花をイメージさせる。ミレーヌはほんわか微笑してたが、ふっと彼女に、見覚えがある毎に首を傾げた。


「以前船で、お会いしたことありませんの?」


サミュは懐かしそうに、小さく笑いながら、


「はい、お久しぶりですね姫様♪。オーラルと我が王が、貴女を、助けて以来ですわね」


些か、訳が解らないカレイラとブラレールは首を傾げたが、悪戯ぽく笑う。男装の麗人たる。サミュに見つめられ、赤くなるミレーヌ、


「サミュ・リジル外務官、良ければ…その話。聞かせていただけますか?」





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