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少尉ですが何か?改修  作者: 背徳の魔王
第三章
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過去との邂逅、地の試練再び



━━━あの事件から数日後……、



オーラルは、オリベ老に呼ばれて、土竜達の世話を終えてから。厩舎に向かう、するとゲルマンとJr.がいた。


「ピュー♪、ピュー♪」


甘えた声を出して、オーラルにすり寄ってくるJr.。これには些か、複雑な、表情を浮かべるゲルマンだ。オリベ老と目が合うと、小さく、寂しそうに笑う。


「オーラルや、先日は苦労させたな……」


改めてお礼を述べられ、照れ臭そうに笑みを浮かべていた。


「気にしないで下さい……、俺は出来ることをしただけです」


右目を隠すような仕草を見て、二人は顔を見合せて。優しく笑っていた。


「お前さんは、暴君Jr.に認められた騎士だ……」


「……今、なんと?」


唐突なこと言われて、戸惑いより狼狽を浮かべる、そうだろうなとオリベ老も頷き。だが構わず、ゲルマンを見やると、意を決意したゲルマンは唇を噛み締め。複雑な顔をしながら、一つの真新しい。赤い手甲をオーラルに手渡していた。


「これは……、」


驚くのも無理はない、オリベ老は、Jr.の爪を見せて、語る。


土竜どりゅうは、自分の認めた者に、己の爪を与える……」


厳かに、とても大切なことを語ってると感じ。耳を傾けた。



━━いつの間にか、助手や見習い達が手を止めいた。


「土竜騎士とは。土竜の信頼を受け、生涯の友と認められた者……、家族と認められた証を、得た者の称号である」


初めて知る話に、自分の右手にある。古い土竜騎士の証たる。赤い手甲に触れていた。


「まさか……」


知らず知らず。肩が震えた……、


「生涯騎士は、一匹の土竜と共に生きる。だが、希に一匹の土竜が、複数の者を認めた例もまたあった」


オリベ老は静かに呟き、ゲルマンは懐かしそうな、ほろ苦い笑みで、オーラルの年期の入った赤い手甲に触れた。


「オーラル……。お前は、生涯Jr.の騎士として、友として、家族として、生きるか?」


様々な思いに溢れる涙を噛み殺し。オーラルに迷いはない。


「我が、友として……、我が家族として、生涯1人と一匹は………」


オーラルは誓う。オリベ老とゲルマンの二人もそっと目を拭っていた。




━━20年前。ハウチューデン家



━━━。



「オーラル、お前は生涯騎士として、生きるか?」


幼きオーラルは、小首を傾げながらも、


「僕の友達のためなら、誓います!」



━━━現在。



「ふっ………ふははははは、ふははははは」


珍しい事が起きた。オリベ老の爆笑と言う、あり得ない事態に、戸惑う一堂。


「まさか……もう一度、同じ言葉が聞けるとはな」


感極まったゲルマンは、涙を拭う。


「お前なら、良い土竜騎士になるだろう……」




━━━20年前……。



暴君と呼ばれる。特別な土竜王が居ました。人間から暴君と呼ばれた彼は、


強く。頭がよく。気高い━━、


美し毛並みの白毛の土竜でした、

しかし彼は、人間を嫌っていました。バカな人間は、餌を運ぶ。ただの奴隷……、暴君ぼうくんはそう思って、生涯生きる。そう決めていいました、リブラと言う人間に、出会うまでは━━━、



暴君は、やがてリブラと契約を結んで、彼だけを信じる土竜となったのです。



そう━━それだけのはずだった、リブラの子供オーラルに出会うまでは……、



土竜は、人間に爪を与えると、生涯その爪だけは生えなくなる。だから土竜が、爪を与えるのは、とても神聖な行為とされていた。

何時からかその行為は神聖なものとされ。土竜使いは、騎士と呼ばれるようになっていた。



そう………、

女王より、剣を賜る。騎士の如く、



暴君は、幼く、気高い子供の人間を認め。人間を愛することに決めた。



オーラルが最後に、ターミナルで、父を見送る日。暴君はいかなることがあろうと、2人の友を……愛すると違っていた。そう……それだけの物語は……、



━━━現在。


大洞窟。北の大陸入り口付近。身体中傷だらけの白い毛皮、片目を失った、巨大な土竜は友と2人、曇り空の下で。快走して、逃げに逃げていた、それはまた━━別の話である。




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