始まり
━━北大陸、
━━━━平原
その遥か地下には。
人々に忘れられた歴史があった。
そもそも北大陸には、今や名前だけとなってるが、東大陸にあるターミナルの出入り口があった。
………しかし。小さな洞窟があるだけの小さな村があるだけである。
その昔には、北大陸にも、他の大陸では見られない。大型の魔物や魔獣が徘徊していた時期があった、その頃のことはバード族でないと定かではないが、
━━古い文献に。人間やそれに準じる者達がいたと………。
僅かに書かれていたと言う、
16部族の民は、獣人の血筋を伝えた一族であり、なんの獣人の一族かは、部族ごと言い伝えがあるが、おおむね戦士として優秀であった。
今でこそ姿が普通になったが、中には体の一分が毛深いとか、耳や尻尾が生える先祖帰りも希にだが、生まれることからもその名残であろうか………、
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遥かな地下世界。大陸に上がって来ないが、北大陸にも人間以外の種族は住んでいた。
ほんの少し前までは、ドワーフの地下都市があった町の中心部に。爬虫類の皮膚。背に蝙蝠の翼を畳み。埃舞う。古い町並みを眼前にして、不機嫌に睨み付けていた。
この地は1000年以上の遥か昔。
太陽神アセードラの怒りを買った……赤の民が、中央大陸ごと、地下に堕された後に作られた物らしい。
━━当時、赤の民は、2つに割れていた……、
一つは赤の王プロキシスの元、中央大陸を棄て、新たに地下で生きることを宣言した者達。
それに反発したのが、もう一つのグループ。赤の神官長レイアスが中心に。選ばれし七神官達であった。
赤の民の多くは、
「矮小な人間の足元で、生きるなど出来るか?!」
高いプライドから、地下世界で生きることを良しとしなかったのだが……、
━━赤の王プロキシスは、堕ちた中央大陸から離れた。
そして………、
北大陸側に近い地下に街を建設した。
その間に。地下世界に必要な馬の代わりとして、新たに土竜を産み出した、
プロキシス自ら。陣頭に立って、額に汗を流し働く道を示した。
━━一方で、
神官長である。王弟レイアスは、中央大陸にそのまま住まい。再び栄華を求めて、赤の7神官達と供に贅沢な暮らしを享受していた、
そんなある日のこと。王弟レイアスは考えた。実の兄であるプロキシス王は、何か中央大陸を浮かす方法を知ってるのではないかと、そこで七神官に兄のことを調べさせた。
……すると。人間は無論、劣等種族達と供に同じ町で暮らしていると聞き、兄王を蔑んだ。
しばらくは兄王達の様子を見ていたのだが………、
愚かなことに人間と恋に落ちていると言うではないか、流石に我慢出来ず、数年振りに兄と再会を果す。
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「………兄上、」
「おお!?、レイアスではないか」
久しぶりに見た兄は、随分とがっしりとしていた、
『愚かな兄だ。人間と一緒に汗を流すなど信じられぬ』
兄が側には人間の女が立っていた。
『見た目は平凡だ』
仮にも赤の王だった者が………、色眼鏡で二人を見ていた。
『所詮は、馬鹿者だったか……』
兄を蔑み。愚かな兄を侮蔑しながらも。神々を呪った……、
『裏切り者が、一人もいないとはな……』
ドワーフの町を襲撃したあと、
朽ち果てた古き都市に来ていた、何故か老人の骸だけが、残されていたが……、
いくら街を破壊しても、生き残りがいないか探そうとも、目的の宝玉は見つからない。
『赤の王プロキシスはどこに隠した?』
魔人の目的は、赤の王プロキシスが、太陽神から預けられた秘宝を探すことだ。
それが見付からない……、
苛立ち、幾度壁を破壊したが……、7神官の1人ダイランは、腹の虫が収まらなかった。
元々ダイランは、武芸に秀でた剣士であった。数年とせず王を警護する護衛に選ばれ、名誉の任に就いた。
━━腰に差してある二対の剣、破、槌、槌は、元々ビスタスの武器であった、
『ビスタスめが、油断して、人間に討たれるなどあってはならぬ』
憤りながらも。海底に沈んでたのを回収したのだ、
その足で、旧き宮を見付けたのだが……、
『赤の宝玉は何処だ……』
乱切り歯を剥き出しに、唸り声をあげた。
━━1000年以上遥か昔。中央大陸全ての都市エネルギーを賄っていた赤の秘宝『太陽の石』と呼ばれる秘宝のことであった、
闇の女神カーレルに聞いた話では、中央大陸を再び、この世界に安定させる為にも使われていたとも……、
今はどうにか中央大陸を、アビス世界から出せたのは、同じ7神官の一人マローダが、死者の神アレビスの心臓を用いて、核として、『太陽の石』の代わりに使っていた。だが神の心臓とはいえ、アビス世界から現実世界にぬけ出したはいいが……、神の結界を抜ける時に。膨大な力を消費している。
『現世に留まるのも後二月と持たぬ……。何としても。『太陽の石』を手に入れなくては……』
暗い眼差しを、地上に向けていた。
『人間どもを皆殺しにしようとも……』
空気の漏れたような唸り声を、絞り出した……。
━━━南大陸。ファレイナ公国。王座の間。
主だったファレイナの重鎮が集まり、オーラル達調査隊による。報告書がを議題に会議は白熱していた。
ほんの僅かな間に。大国ダナイの滅亡、軍国ローレンの受けた災害。危機的な状況下。三体の怪物。様々な困難から、ようやく脱した南大陸は、これからが復興という困難に立ち向かわなければならないであると、誰が目でも明らかである。
━━そこで……、ファレイナ公国女王ミザイナは、国を上げて、南大陸の平定を宣言した。軍国ローレン。ファレイナ公国二国による統治を意味する。多くの難民の為に、土竜ギルドの助けを依頼。地下に住む住民の力を借りる為であった。
幸い。南大陸ターミナルの地下には、はぐれワームの作った、迷路が、広範囲に広がっており。軍国ローレンの王宮まで、続いていて、地下を使って、物資を運ぶ事が可能だったのだ。まずはローレンの首都復興から、再建を開始された。
会議を終えて調査隊である。オーラル達面々。剣将ルルフ、エフィ、元女神メルディス、バローナが旅装で現れた。
「バローナ様、後はお任せを」
ローレンの軍師デーア・オルトスと、国防を任せる。副将のグレビー・アスナルが、深々一礼する。
「お前がいる。俺は安心して赤の民討伐に動く!。『瞬く扉』の建設。頼んだぜ」
「はっ……」
半月前になるが、オーラル達調査隊が、魔人マローダ討伐に成功した事を踏まえ。
八ヶ国の首都に、魔法の通路を繋げる事が、正式に決まった。アレイク王国筆頭魔導師ケイタ・イナバが、パレストア帝国宰相ゼノンと会合を重ね。二国のみ有する技術であった、『瞬く扉』の建設に踏み切ったのである。これによって、情報交換が容易になること、片道だけなら、魔法使い、魔導師達も、帰還の魔法が使えるようになる、ログと呼ばれる輝石に合わせた魔石を加工して、記憶させた物が必要になるが、人命を助ける。手段を得る毎になると信じての事だ、無論不安もあるので、扉は小さな物になるだろうが……、
大変な変革なのは言うまでもない。
「オーラル……、本来私が行きたい所だが……」
憂いを瞳に宿す。友人ミザイナに、小さく首肯していた、ミザイナの服装で、気が付いていた。
「今は、自分を大事に、ジンベイ殿……、隊長をお願いします」
ジンベイは妻を気遣い、優しく肩を抱いて、ぼくとつと朗らかに笑う。それから弟子である。二人の若き剣将に目を向け、信頼を込めて頷いた、二人はちょっと涙ぐむ。
「カール、エル後を頼む」
ムムムっと不貞腐れたように唸るエル。パタパタお気楽に手を振るカールは、ケイタ・イナバに代わり、『瞬く扉』の調整の為に残る毎になったのだ。
「あっあの……、本当によろしいのですか?」
元女神メルディスは、不安を隠せないようだ。無理もないエルの調べでは、彼女に残った女神の能力。絶対防御は、制御可能な能力であり、女神の姿は、自分で少しずつコントロールしてくしかないのだが。
「だっ、大丈夫だ、お前ならな……」
鼻息荒く。赤くなりながら励ますバローナ。さっきまでの精悍さは、どこにいった?、
(子供でももうちょっと……。)
ミザイナは、夫ジンベイと目を合わせ。苦笑していた。
「まあ~エルが大丈夫と言うから、大丈夫なんだろうよ~」
ポンポン気安くエルの頭を叩くと、真っ赤になってアワアワ動揺したエルは、訳もなくポカポカカールの背を叩いていた。微笑ましい光景だ……、
カールの奴。わかっててやってないか?。思わず首を捻るオーラル。ニヤニヤ愉しげに笑うカールと、赤くなったエルを、羨ましいそうにルルフ、エフィの二人が見ていた。
「オーラル……、気を付けて行くんだぞ、相手は得体のしれない。怪物だ」
心配が隠せないミザイナに、素直に頷き。
「次に来るときは、子供用の玩具を、土産にするよ」
からかうかの一言に、赤くなりながらも、フッとオーラル、ピアンザを認め嬉しそうにはにかむ。
「ああ……、ピアンザその時は……」
意表を突かれて。ピアンザは照れくさそうにしながらも。小さく笑いながら、
「妻子を連れて来る」
「そうか……、楽しみだ」
彼女は、出会った時から変わらない……、
本当に強い女性だ、別れを惜しむが、時間は限られている。
「皆さん。準備は整ってます」
サミュ・リジル宰相は相も変わらず。神経質そうに眼鏡を直した。朝からちょっと様子が可笑しいギラム、落ち着きがない。




