孤独な英雄
「う……」
肌寒い空気を目覚ましに、エリザは眩む頭を抑えて身を起こす。
「あれ?私、なんでこんなところに……」
地下避難所で怪我人の治療をしていたはずのエリザは、なぜか冷たい土の上で寝かされていた。備品置き場に包帯を取りに行ったことまでは覚えていたが、それ以降のことがどうしても思い出せない。
日はすでに落ち、夜霧を伴ってやってきた宵闇は、決して防寒性に優れるとは言えない僧衣の上から彼女の体温を奪う。エリザは身を震わせながら、あたりを見渡した。
土の匂いに紛れて僅かに香る血と汗の匂い。修道女であるエリザにとって、本来ならば縁のないはずの場所であったが、彼女はその場所に覚えがあった。つい先日、天使のごとき少女と悪魔のごとき男が華麗な剣舞を披露した場所――ブルダリッチ伯邸の修練場だ。
「やあ、目が覚めたかな、シスター・エリザ」
「え?」
声のほうを振り返ると、見覚えのある人影があった。その周囲には神鋼の杭が、林のように乱立している。トラジストに住む者ならば誰もが知っている、処刑用の神鋼杭だ。なぜここにあるかはわからないが、中央広場から拝借してきたのかもしれない。そして、人影の傍らにはなにか板のような四角い物体が、布に包まれて立てかけられていた。
その布の中身が何か気にはなったが、エリザがそれに気を留めているような余裕はなかった。ただ、目の前の存在に戸惑うばかりだ。
「なんで、あなたが……」
「ああ、自己紹介がまだだったな」
人影は場違いなほど明るい声でそう言うと、大げさなしぐさでエリザに向かって一礼する。
「私の名はフェオドール。使徒・フェオドール。月と狩猟の代理神・アスミ・ヨイマチ様の忠実なる家臣にして、超越種族の一角。以後お見知りおきを」
深くお辞儀をするその姿勢のまま、フェオドールの全身から赤い液体が溢れ出す。冥界の亡者の手のように蠢くそれらを見て、エリザは小さく悲鳴を上げた。彼女にとって、それらは忘れようと思っても忘れられない恐怖の象徴だった。
「そ、それは、司教様の中に入っていた……まさか、あなたまで」
「おや、それだけかな?身体を密着させた仲だというのに、薄情な人だ」
「……え?」
何を言っているのかわからないといった表情のエリザに、フェオドールは顔を近づける。
接吻でもしてしまいかねない近距離に、エリザは慌てて離れようとするが、使徒の体から溢れ出した血液が彼女の体を絡め捕り、エリザの動きを束縛する。血液はエリザの頭を固定し、顔を背けることすらできなかった。
そして、エリザは唇が触れ合いそうなほどの近距離から使徒と向き合うことになった。――いつかの霧の夜と同じように。
自分を覗き込む無機質な瞳を前にして、エリザは忘れかけていた恐怖を思い起こす。
「ま、まさか、あなた……」
思えば、あの夜がエリザにとって転機だった。
記憶が混濁するほどの血液を奪われ、天の御使いかと思うような少女に助けられていなければ、自分は死んでいた。そして、そんな状態でもなお記憶に焼き付いているその瞳に見詰められ、エリザはからからに乾いた喉からなんとか声を絞り出した。
「き、吸血鬼」
「……ふむ、その呼ばれ方は心外だ。私は偉大なる月と狩猟の代理神の眷属。いわば天使なのだよ。吸血鬼などという怪物とは違う」
触手のように血液をくねらせるその姿は、吸血鬼という呼び名ですら可愛らしく、むしろ化け物と言ってもいいのだが、恐怖に縛られたエリザにそんなことを言える度胸はなかった。
ここには、今まで自分を何度も守ってくれたジニアはいない。完全なる孤独を感じながらも、エリザは恐怖に震える自分を心の中で叱咤し、努めて気丈に吸血鬼を睨み付ける。
「私を捕まえてどうするつもりですか?また血を吸うつもりですか?」
「ん?いやいや、違うよ。見てのとおり、私の本体は血液の塊だ。だが、放置していれば、古い血液から順に凝固していってしまうのでね。定期的に新鮮な血液を摂取する必要があったんだよ。今なら戦争のドサクサで人をさらい放題だから、わざわざ君の血を貰う必要はない」
「……では、なぜ?」
「……ふむ、ゲストの到着までまだ時間がかかるか。君に一つ昔話をしてあげよう」
そう言って、フェオドールは血液でできた椅子に腰かける。液体生物である彼にそのような行為をする意味があるのかは疑問だが、エリザはそのようなことには気に留めず、必死になってこの場を切り抜ける方法を考える。
そんな少女の思いを知ってか知らずか、フェオドールは芝居がかった口調で話をし始める。
「昔々、あるところに若くして親族を亡くし、領主の座に押し上げられた少年がいました。領主の仕事などしたことのない少年は戸惑い、右も左もわからない状態。しかも、悪いことに領内に敵国の軍隊が攻めてきていました」
逃走法を考えていたエリザが、使徒の言葉に意識を傾ける。
その話をエリザは――いや、トラジストに住む人間なら誰しも知っている。それはトラジストを治める大貴族の英雄譚なのだから。
「若さゆえ、戦争を経験していない少年は困り果てます。敵軍の将は自国の領土の多くを喰らってきた猛将。凡才の自分では到底かないようがありません。同国からの援軍も期待できません。少年は考えて考えて……悪魔に身を売ることを決心しました」
【トラジストの悪魔】・【ヤマアラシ】・【血を啜る者】・【串刺し伯】。
二十年の時を経てもそれらの異名を轟かせ続ける、ゲルマニクス史上最恐最悪の悪魔を生み出した物語。
「彼は戦場を操るのではなく、恐怖を操ることで敵国から領地を守ることにした。敵軍の捕虜や偵察兵、あるいは罪人に敵軍の軍服を着せて、それらを神鋼の杭で串刺しにし、領地を囲むように配置したのです。正しく、悪魔の所業。遠征で疲れ果てていた敵軍の兵たちは戦意を喪失し、まともに戦うことができず、撤退を余儀なくされた。一躍英雄となった彼に対し、人々は賞賛し、また恐怖しました。――彼の心の内を理解しようと思うこともなく」
「え?」
つい疑問の声を上げてしまったが、エリザはすぐに思いなおす。
確かに、残虐な治世をする領主に、恐怖を抱かなかったわけではない。ロベルトの過去の所業、そして現代でも執り行われている無残な処刑法。それらの行為に対して、エリザの印象は最悪に近かった。
だが、ロベルトに食事に招かれ、実際に話してみてどうだったか?その凍えるような瞳を恐れはしたが、想像したほどの恐怖を感じなかったのは事実だ。
それはちょうど――クレイグ司教と似た在り方。彼はフランク帝国の諜報員であるという立場を隠すため、表で聖人を演じ、裏で悪人であった。
もし、ロベルトとクレイグの生き方に共通点があったとするならば、表で悪役を演じた彼は――
「勝利を収めた若き英雄の心はズタズタだった。誰よりも残虐であらねばならなかった彼は、その実、嗜虐主義の欠片も持ち合わせていなかったのだ。それでも恐怖の演出のために常に笑い続ける必要があり、決して弱音を吐くことが許されなかった。《早贄の丘》の怨嗟にもっとも苦しめられていたのは敵兵ではなく、誰あろうそれを実行した本人だったのだ」
ゲルマニクス最強の将軍・ロベルト・ブルダリッチ。人はきっと、彼のことを天才と呼ぶのだろう。あるいは、悪魔に魅入られた男と。
だが、実際には、彼は貴族として生まれてしまっただけの、ごく普通の十五歳の少年だった。
少年の背中には、何百万という祖国の民の命が背負われていた。
少年の眼前には、自らが殺すべき数十万の兵が敵意を向けていた。
少年の足元には、これまで殺してきた死者の魂が縋り付いていた。
そして、少年の頭上には――英雄という名の剣が、髪一本で天から吊り下がっていた。
「呪いは戦争が終わったあとも彼を蝕む。彼は壊れる寸前だった」
もともと、限界だったのだ。十五歳の少年に支えきれるものではない。
背中の民に押し潰されるか、眼前の兵に突き殺されるか、足元の死者に引きずり込まれるか、頭上の剣が落ちてくるか。
ただ、それだけの違い。
「……だが、ある一人の女性がそんな彼を救った。彼女の名はレティーシア。ただの侍女でありながら、英雄の心が瓦解するのを防いだ影の英雄。そして、英雄ロベルト・ブルダリッチの妻となった女性だ」
そう言うと、使徒は足元にあった四角い物体を持ち上げた。
先刻から気になっていた物だが、使徒はそれをエリザに見せつけるように、ゆっくりと掛布を取り払った。
「人とは不思議なものだ。一人では到底支えきれないものでも、そばに誰か一人立っているだけで耐え凌ぐことができてしまうのだから」
掛布の下から現れたのは一枚の肖像画。描かれているのは、優しげに微笑む緑の瞳の女性。どこか暖かい感じのするその絵を、エリザは知っていた。
以前、ジニアとともに居間で見た絵――レティーシア・ブルダリッチの肖像画だ。
彼女が故人であることに、エリザはえも言われぬ悲しみを覚えたが、それと同時に奇妙にも感じた。この使徒は、なぜ今、そのようなことを話したのか。
そのとき、バタン、と背後の扉が勢いよく開け放たれる音が響いた。
振り返ると、屋敷と修練場を繋ぐ通用口に立ちふさがるように、ロベルト・ブルダリッチが立っていた。その手にはすでに愛剣が握り締められており、血を吸う瞬間をいまかいまかと待つがごとく不気味な輝きを放っている。
本体が血の塊であるこの使徒にとって、天敵とも呼べる神鋼剣。絶体絶命という状況になりながらしかし、使徒の声音に浮かぶのは心底楽しそうな喜色だった。
「おや、思ったより早いお帰りでしたね。【ご主人様】。申し訳ございませんが、あなたの昔語りが終わるまでお待ち頂けませんか?」
おどけた調子で語りかける使徒に対し、ロベルトはもともとの厳しい顔をさらに苦々しげに歪める。
「……俺としたことが、油断が過ぎたか。まさか、【自動人形】の中に潜り込まれるとはな。なるほど、人間の中に潜り込めるのならば、より隙間の多い自動人形の中に潜むのは簡単だということか」
ギギギ、と機械特有の小さな軋みの音を上げながら、侍女型の自動人形が歪な笑みの形をとる。整った顔立ちの美女が、男の声で流暢に喋る様は非常に不気味だった。
「いやいや、かなり苦労させられたよ。本当は人の体内が一番なんだがね?あなたは人間を信用せず、周囲に近づけないので、仕方なく自動人形の中に入ったのだよ。しかも、それで油断すると思いきや、自動人形に対しても隙を見せないのだから呆れたものだ」
「そこを動くな。自動人形の修理は大変なんだ。あまり動き回られて修理部分を増やされると面倒だ。貴様を殺したあと、屋敷の防犯設備に関してゆっくり再考させてもらう」
ロベルトにしては珍しく怒気を含んだ様子で、フェオドールへと歩み寄る。
血液を使った攻撃に関しては、クレイグとジニアの戦いを目にしている。ロベルトには油断の様子はなく、不意打ちでも倒すのは難しいだろう。
「おや、それは困りましたね?では、こうしてみてはどうでしょう?」
「え、ぐっ!?」
それでもなお揺るがぬ自信を持って、フェオドールはエリザを盾にするようにして、自分とロベルトの間に少女の体を差し込む。その際に体を締め付けられたため、エリザはたまらずくぐもった悲鳴を上げた。
ロベルトは少し驚いた様子で立ち止まったが、すぐに平静さを取り戻し、淡々として口調で使徒に声をかける。
「……人質に取ったつもりか?無駄なことだ。私に人質は通用しない」
「そ、そうです。私なんて人質にしても無駄です。領主様なら、迷わず私ごとあなたを殺します。領主様も、私に構わずやっちゃってください!」
死への恐怖はもちろんあったが、それ以上に怒りがあった。この血液を操る使徒が、クレイグ司教をあのような化物に変えたのは明らかだ。例え、自分の命と引き換えにしたとしても、あのような冒涜的な所業をしたこの使徒を許してなどおけない。
また、自分の気持ちにかかわらず、ロベルトは人質など無視するだろう。この人は、自分が守るもののためならば、いくらでも残虐なることができる。そういう人だと、エリザは使徒の話で思った。
「いいや、残念ながら、それはできない」
そんなエリザの思考を読んだかのように、フェオドールは自動人形の体をカタカタ揺らして不気味な笑い声を上げる。
「ロベルト、命令だ。この娘を救いたければ、その忌々しい剣を折れ。そうすれば、月と狩猟の代理神の名に誓って、この娘の命だけは取らないことを誓おう」
「…………」
「なっ!?そんなことできるわけないでしょう!?領主様、遠慮せずに私ごと刺してください!私もトラジストで生まれ育った身、侵略者を道連れに死ぬ覚悟ならできています」
とんでもない要求をしてきたフェオドールに、エリザは目を剥いた。
神鋼剣は、剣士にとって身体の一部と言ってもいいほど大事なものだ。まして、ロベルトの所持する神鋼剣は【銀】の領域に達する名剣。新たに育てなおそうと思っても、一年・二年で到達できる域のものではない。
その上、ロベルトの神鋼剣は、血液の使徒・フェオドールに対する、ほぼ唯一といってもいい有効打なのだ。それを失うということは、実質フェオドールへの敗北宣言に近い。
だからこそ、そのような条件をロベルトが飲めるはずがないのだ。まして、人質として使われているのは、ただの見習い修道女だ。交渉に乗るメリットなどない。
「ぐっ!?」
気でも違ったのかという目で見ていたエリザを、フェオドールは至って真面目な様子で締め付ける。防具をつけ、鍛え上げられた肉体を持つ兵士ですら真っ二つにした血液の凶器だ。華奢な体の少女など、トマトのように握りつぶしてしまえるだろう。
「待て」
呼吸が止まり、骨がみしみしと軋みを上げる。全身に亀裂が入るかのような激痛の中、空気を取り込むことのできない肺からはヒューヒューと声にならない叫びが上がった。
そんなエリザの様子を、初め、ロベルトはどうということないといったふうに見ていたが、エリザの顔色が青く変わった頃に制止の声をかけた。
「本当にその娘は殺さないんだな?」
「ええ、再度、月と狩猟の代理神に誓いましょう。私は時折嘘を吐きますが、偉大なるアスミ・ヨイマチ様に誓いを立てる場合は別です」
「り、領主、様?」
拘束を緩められ、咳き込みながらエリザは呆然となる。
一市民のためにその身を投げうつ行為は、確かに騎士としての美談であろう。だが、目の前の男はそのようなことをする人間ではない。
きっとフェオドールを油断させるためのブラフかなにか、エリザがそう思っている間に、ロベルトは神鋼剣を眼前に掲げる。
「……すまない」
「領主様!?」
ロベルトは剣に向かって侘びの言葉を告げると、それを地面に置いて踏み抜いた。
世界最高硬度を誇るはずの神鋼の刃は、鋭い音を立てて半ばからへし折れる。使い手が折ることを望めば、簡単に折れてしまうのも神鋼の特徴だった。
エリザには、目の前で起こっていることが信じられなかった。つい、剣が偽物なのではないかと疑ったが、折れて地面に転がった刃の輝きは、疑いようもなく【銀】の神鋼の輝きを宿していた。
「な、なんで……」
「昔話の続きを聞かせて差し上げましょう」
呆然となるエリザの背後から、耳元に囁くように使徒が言葉を紡ぐ。
「傷心の英雄ロベルトとそれを支えた影の英雄レティーシア。しかし、二人の蜜月は長く続きません。フランク帝国の工作員が仕掛けた暗殺計画により、レティーシアは毒殺されてしまったのです」
「毒、殺?」
その話はクレイグ司教に少しだけ聞いた気がする。十年以上前に、レティーシアが原因不明の死を遂げたという内容だ。だが、それが毒殺だという話は初めて聞いた。
『もう十五年以上前のことになるか。屋敷の食事に毒が混ざっていたことがあった』
ふと、エリザは食事の席でロベルトが漏らした言葉を思い出す。
あのときはただ、毒殺に失敗したというだけだと思っていたが、違ったのだ。ロベルトの代わりに毒を煽ってしまった人間がいる。そういう意味だったのだ。
「幸か不幸かレティーシアが犠牲になったことで、ロベルトが毒を呷ることはありませんでした。しかし、愛すべき妻を失った彼は、再び絶望の淵に立たされることになりました」
声を聞くのも嫌な存在であるはずなのに、エリザは使徒の話に聞き入っていた。
フェオドールのことは間違っても好きになれそうにないが、彼の言った言葉には的を射ている部分もある。
人間は不思議な生き物だ。誰かがそばにいるだけで、どんな困難にも立ち向かえる精神力を身に付けることができる。逆に言えば、そばで支えてくれる人がいなくなったとき、人間はひどく脆い存在になる。
では、どうしてロベルトは今まで周囲の重圧に耐えることができた?
「それでも、彼の心が折れることはなかった。……なぜなら、レティーシアの忘れ形見の存在が彼の心をギリギリのところで守っていたからです」
「忘れ形見?」
「シスター・エリザ、この肖像画を見て、なにかに気づかないかな?誰かに似ているとは思わないか?」
フェオドールが再びレティーシアの肖像画を掲げるが、エリザには何が言いたいのかわからない。彼女がロベルトの妻の存在を知ったのはつい昨日のことだ。見覚えがあるはずがない。
そう、そのはずなのだ。
だが、言われてみれば確かにどこかで見たことがあるような気がする。特にその吸い込まれそうなほど美しい緑の瞳に、見覚えがある気がした。
「では、もう一つヒントを。レティーシアが死んだ正確な年は十五年前。そのとき、どんなことが起こったか知ってるかな?いや、君は絶対に知っているはずだ」
十五年前?
エリザは考え込む。その時期にトラジストで大きな事件が起きたという話は聞いたことがない。本来なら大事件として報じられるはずのレティーシアの死も、公に知られることもなく闇に葬られたとクレイグが言っていた。
そもそも、その時分はまだ自分が赤ん坊だった頃のはずなので、詳しく知っているはずがない。十五年前といえば、ちょうど自分が――
そこまで考えて、エリザはその特徴的な美しい翠眼を――【緑色の瞳】を見開いた。
「ま、まさか……」
十五年前といえば、ちょうど【自分が修道院の前で拾われたとき】だ。
そのことに思い至りながらも、ありえないという気持ちが胸の内を占めるエリザに、フェオドールはそっと語りかける。
「忘れ形見の名はエリザ。エリザ・ブルダリッチ。謀略に巻き込まれないように秘密裏に産み落とされた、ロベルトとレティーシアの娘です」