どてらい奴
―どてらい奴―
オール白髪の50代と思われるこの男は、異臭を放ちながら、雑誌を読む手を止め、
「そこに座りなさい。」と、机の前の応接セットを指差した。
読んでいた雑誌は、たしか「デラべっぴん」だったと思う。
「研修では、色々勉強したか?」と聞くので、
「はい、大変参考になりました。」と心にもない嘘をついた。
すると「あんな研修は、意味ないから、すぐ忘れるように。」と若干甲高い声で云う。
―それから、長々と自慢話のような話を延々と話し出す。
彼は、前職ではマツダの営業マンで苦労を重ねながら、トップセールスマンになったと云うような内容だったと思う。
皆が休みの日に率先して出勤し、車を磨き、頑張ったと言う。
「自分の体は磨き忘れたのかな?」とか、考えながら聞いていたのをよく覚えている。
部屋から出るとOに呼び止められ、「あいつは阿保やから、話は聞き流すように・・・」と言われる。
その時は、そんなに気にしてなかったが、後にその意味がよくわかるようになった。
仕事は、当時、7時半位から出社し、掃除をし、情報を収集しながら、8時半位から朝礼と云う感じだった。
「垢男」は、一応支店の鍵を開けに来るのだが、1階の喫茶に行ったり、新聞を読んだりと云う感じ。
朝礼は気合を入れて色々物語を話すのだが、終わるとまた新聞を読んでいる。
9時からは本格的に仕事をしなければいけないのだが・・・
すると、物凄い轟音が・・・
太った人間によく見られる無呼吸症候群と云うやつか、すさまじいいびきをかいている。
びっくりしたが、何も云えず仕事を続ける。
皆、そんな感じ。
夜10時くらいに部長からの電話。
それまでず~と、いびきをかいている。
会社で10時間以上爆睡、毎日。
11時くらいになると、やっと起きて、一言。
「帰るか?」
なんなのか~?と、毎日全員思っていたのでした。
しばらく観察していたが、朝礼以外は寝ている。
どてらい奴だと感心してしまいました。




