愛の劇場
―出会い―
出会いは10年以上前になる。
私は結婚したが金銭的にきつく東京から故郷にUターンしてきて、ある意味のんびりしようと思いながら、なんとなく2日くらいですぐ採用になった営業会社に入社した。
3ヶ月ほど福岡で研修があるのは気乗りしなかったが、入社日を微妙に伸ばしながら春に入社した。
当時、研修期間でまともな給料をもらえる所が少なかったからだが、気乗りしてないので入社書類も全然読んでなかった。
案の定、日経新聞の「地獄の訓練」を基にした軍隊研修が 始まり、1ヶ月前に入社した先輩にはすべて敬語で上司のように接するというめんどくさい研修だった。
周りに人家のない研修所が刑務所のように思え、(実際脱走者が40人中2人ほどいた)イライラが募り、酒をなんとか皆で調達ししのいでいた。
私はろくな金ももらえないと考えていて、辞めようと思い出した。
だが、驚いたことに給料が家族手当もあり、25万くらい何にもしないのに貰えたので、コロッと機嫌が直り、それ以後どんな理不尽なことがあっても続けることが出来た。
研修終了の日、高知に飛行機で帰ることになっていたが、なんと当日福岡空港でガルーダ航空機が墜落してしまい、電車で帰る羽目になり、支店に挨拶が義務付けられていたがどう考えても夜10時を超えるため、支店に今日は寄れない旨を伝えるために電話した。
面接の時に遅くても7時には仕事が終わると聞いていたので、待たせては悪いと思ったのだ。
しかし、電話にでたO支店長代理は何時になっても大丈夫だから来いと言う。
疑問に感じながらも、大急ぎで支店に向かった。
支店のドアの前で、大声で会話する様子がわかる。
中に入って驚いたのは、社員2人ほどが机にこもり勧誘ぽい電話をしていたことだ。
Oがいたので挨拶すると、店長室に行くよう指示された。
ドアをノックし、入室すると、髪の毛は真っ白、顔色は黒ずんで、体型はビア樽のような物凄い臭いを発する男がなんかの雑誌を雑誌を読んでいた。
これが垢男との出会いである。




