プロローグ. いつだって夢物語はそばに
初投稿のAIサポ作品だけど、、やってみてる!
あ、メンタルくそざこなのであまり叩かないでください。。
「伝太!見てこれ!」
『クロエ』が自慢げな顔で、幼い体には大きすぎる画用紙を抱えて、こちらに走ってくる。
あ、また転んじゃうよ、そう声をかけようとすると案の定小石に躓いて転……
驚いた、クロエはいつもの運動音痴を発揮せず、浮いた片足をしっかりと前に出して、バランスを取り転ぶのを回避した。
クロエは「危なかったぁ」と大事そうに画用紙への力を強め安堵している。
余程今持っている画用紙が大切だったんだな、と僕は思った。
運動音痴でなくとも両腕が塞がった状態で、転ぶのを回避するのは難しいだろうに。それを運動音痴のクロエがやったとなると、画用紙がクロエにとってどんな存在かわかる。
「ねぇねぇ! みて!」
そのまま笑顔でこちらに駆け寄り、画用紙を両手いっぱいに広げて、色鉛筆で描かれた絵を僕に見せてきた。クジラだった。それも真っ白なクジラだった。ただ、普通のクジラとは違っていて鹿のような角が生えていたり、サメのように背びれがあったりと所々魔改造されていた。
「いつも、変な絵を描くけど今回は一段と変だね」
僕が微妙な顔をしながら、いつもの様な回答をした。その後はいつも決まっていた。
「また!また、伝太は!私の絵をバカにする!」
クロエは子供らしく、頬を膨らませ、少し怒りを表しているが楽しげな目をしていた。その当たり前のやり取りに、澄んだ風が吹く心地がした。多分あの本に影響されて描いたんだろう。相も変わらず影響を受けやすく、ケロッと気持ちを切替えるクロエは満面の笑みでこちらに期待の眼差しを送ってくる。僕の次の言葉を待っているんだ。ただ、俺にはクジラの絵よりもクロエのあの笑顔の方が強烈で、そっちの方が記憶に強く残っていた。
あああ…そうだ残っているだけなんだ。
これは過去だから。
今見ているのは夢だ……遠い遠い淡い夢だ
『クロエ』の顔が真っ赤に染る…赤い紅い紅い痛い痛い熱い…熱い…痛いよ…苦しい…
クロエが苦しんでるのか?、いや、クロエは笑っていた。あのクジラの絵を見せてくれた時と変わらないくらい愛らしい笑顔を俺に向けてくれていた……苦しんで呪詛のように言葉を零しているのは俺だ、歪んだ顔しているのはボクだ、散らばって割れたガラスが反射してその顔がよく見える。苦しいと力の入らない声で叫んでいたのは僕だ。
クロエはたくさん頭から血が溢れながら僕に、あの顔を向けて、俺に語り続ける
「だいじょぶ…だぃじょぅぶだよ…伝太……」
「わたしが………そば……にいるから……だぃ……じょうぶ……」
ガラスの俺が歪む、クロエも!クロエも!!僕と同じくらい辛いはずなのに………!ボ、ボクも…笑わなきゃ……!笑わなきゃ…………っ!
なのに、ガラスの中の俺はより一層苦しいと額に頬に口にヒビが入る…どうしようもなく口元が震えて…自分の顔じゃないくらい言うことを聞かない、ボクがガラスの俺を真似てるように……
「えへへ…へへ………で、んたったら……
へんな……か……お……」
なんで…なんで!クロエは笑ってられるんだっ!声に出したい…!でも、喉なんてなかったんじゃないかと言うくらいに喉が塞がっている。わかってる。今ならそれが、八つ当たりでしかないと。クロエに怒りが湧いて、こんな時だけ目だけはボクの意思に従って、鋭くクロエを睨みつけた。それに意味なんてどこにもなかった。このどうしようも無い気持ちをぶつけやすい相手に向けた。だがすぐその気持ちは虚空に消える。ずっと彼女は笑顔のままだったから。すぐに楽にして欲しいと願うくらい苦しいのに、どこが痛いのかすら分からないくらい痛くて、熱くて…………怖ぃのに………どうして………キミは笑っていられるんだよ………痛くて苦しくてそれ以外考えられなくなってきて、その中でキミが笑っていてくれてるから、ぼくは、意識を保てて、君の方だけに縋っていて……
「でん………た…………わ…たし……ね」
「また……ゆめを……み………たの……」
ああぁぁ、ダメだ……クロエッ!ダメだ!ダメなんだ!子供のぼくでもわかる、わかってしまいたくないのにわかってしまった。クロエはもう”限界”なんだっ……
「と……け…よ」
必死に、遠すぎる距離にいるクロエに手を伸ばしていた。
「ぐ…じらぁ……に……なっ…………てぇ
そ、そ……らをね…………およい……だん………だ……
そぉ……らぇ………かぁら………ね………………
でん……たぁと……………………………………」
焼けた車のパーツを掴み、掌の感覚が分からなくなっても強く強く車体のどこかに挟まっている身体を引っ張った。少しでもクロエに近づけるように。クロエのそばに行こうとした。
見たくなかった。届かない場所にいる。いつまでも見ていたいと思っていた彼女。『クロエ』を、今は今だけは見たくなかった、でも逸らせない、もう何も映さなくなったその瞳をしていても。ぼくは、続きを待っていた。クロエの口元を見て、まだ待っていた。その口からまたぼくに楽しい夢物語を聞かせてくれるんじゃないかと、そんなぼくの夢物語を………
けれど頭の中の地獄はそれを吐き捨てられたガムのように無視して、ぼくを悲惨な現実へと燃える車の中へと呼び戻す。あああぁ……ごめん、ごめん、クロエ……
俺が、僕が、ボクのせいだ………
【本日午······頃、······都内の交差······車同士の······発生しました。この事故で、親······った車が大破し、母······父親······子供1人(10歳)が死亡、もう1人の子······病院に搬送されました。車を運転し······代の男性も軽傷を負いました。警察によると、男性の車が信号無······可能性があり、詳しい事故の原因を調査しています。】
視界が開けて、朝から似た嫌なニュースが流れるテレビに視線を送る。昨日は今日が休日なのをいいことに、テレビを付けたまま寝てしまったらしい。あの夢の原因はこれだろうな。冷めきった目で無意識にテレビを睨んでいた。……これも八つ当たりか。そう思い少しバランスを崩しながらベッドから体を起こすとニュースが終わり、体に悪そうな甘いアメのCMが流れる。どうにもこのアメは子供にとても人気だと言うのだ、メルヘンチックなグルグルのロリポップは200年ほど前から存在したらしいがそれが再燃し、ある会社がそれに便乗して、新たなロリポップへと改良し、バカ売れした。
食感が時間とともに変化し、最初は元来のロリポップのようにかなり硬い、しかし時間が経つとチョコのような硬さになり、最終的には何故かマシュマロのような柔らかさになる。
その奇抜な変幻自在の楽しさが子供心をくすぐったのか、誰もが買い大人にも人気で、そして、あの子も好きだった……
「…まだ、売られてたんだ。」
いやに、重いため息が無意識に出てしまった。
俺が思うよりも今日は最悪な良い1日が始まったらしい。俺はさっさと、汗を吸い少し重くなった肌着を、罪悪感を拭うように脱ぎ捨てた。
テレビはまた、違うCMへと切り替わり
現在も大人気のVRMMOゲーム
[-Zodiac・Stairway・Online-]
通称【ゾソ】のCMが誰もいない部屋で、紹介されていく。
今までにない尽くしのオンパレードで、このゲームの素晴らしさを大々的に強調する。
曰くAI技術でまるで人間のように話すNPCたち
曰く五感の再現
曰く本当に別世界のような作り込み
曰く新たなる人生を進む階段
今までの技術を考えれば全てが不可能であると、最低でもあと、100年は無理だろうと言われていた物をある1つの会社が成し遂げてしまった。
元々はゲームを作る会社じゃなかったようだが現代のジョン・フォン・ノイマンと呼ばれる人物をヘッドハンティングし、今の形態を確立した。
それからものの数年で、ここまでの大企業になったとは驚くべきことだろう。
[-Zodiac・Stairway・Online-]の世界は、王道ファンタジーとも言える世界観になっている。剣、魔法、モンスター。皆が想像するのが容易い世界である。しかし、《本当に別世界のような作り込み》というフレーズがこの世界に大きく影響を与えている。
現実世界の中世は富と貧が大きく入り混じって、暗黒時代とも呼ばれたこともあった。魔法があるとはいえその根本はあまり変わることはなく、中世を舞台にしたファンタジー世界は、ご都合主義なんてのはどこ吹く風のごとく、混沌としている。
ある国では民は幸福に笑い合う
ある国では民は貧困に泣き合う
ただゲーム世界でも中世でもない今の時代は政治家よりも企業が資金を持っているせいか企業官僚主義が起きている。
そんな巨大企業のCMは全てを押しのけるように、他のものと比べ長く尺を取られていて、ゲームシステムの解説も入ることが多い。
《まず、あなたには3つあるポジション
【アタッカー】【タンカー】【サポート】をどれか選び、武器を9種類あるうちの1つ決めてもらいます!》
今回の広告にはゲーム内でも有名なプレイヤー【ゾソ・ナンバーワン・アイドル:ユメート夢宙】がゲームの説明を請け負っていた。
《え?現実と見間違うほど膨大な世界なのに少ない?ご安心を!世界にはたくさんの武器があり!作ったり、探すこともできます!》
猫耳をつけた灰色髪の女性アバターは、アイドルぽく振る舞いながら、説明を始めていたが服装がアイドルっぽくなかった。
《ちなみに武器は、2種類装備できるので、始まりの街:コーシーで2つ目を揃えましょう!さっきの9種類以外にもたーーくさんあるので、ご安心を!》
なぜだか、黄色いヘルメットを被りながら、色は上下ともピンクな機能性重視のジャケットとカーゴパンツ、作業着と言ってもいい服を着ながら説明を続ける。
《そして!!!武器もいいけど、1番は防具です!!!!!装備は安全第一です!!防具があれば、高所からの落下や突然な日用品罠ハメにも!耐えることができます!安全です!!!他にも!!……え??》
突然の防具アピールに周りのスタッフが、慌てたのか、話を戻そうとしている雰囲気をテレビ越しからも感じられていた。
《えー……すみません脱線しました。
……と!まあ!武器を決めたら、ゾディアック・ステアウェイ・オンラインの見所!!十二支属性を決めていくのです!そうあの十二支です!》
反省したかと思えば、素早い切り替えで説明を続けていく【ゾソ・ナンバーワン・アイドル:ユメート夢宙】。これは彼女のプレイヤー名であり、自称である。
《子!!!、丑、寅、卯、辰…のあれですね!ネズミ!!!を選べば、隠密系が!牛を選べば、耐久系が!虎を選べば、瞬間火力が!それが!強化され、それが!!あなた自身の人生になっていきます!》
いつの間にか取り出した、旗の付いた槍をカメラに向けて、釘を刺すように言う。
《たぁだぁし!その十二支を選んだからと言って、そのままその属性になる訳ではありません!!その後、あなたの行いやクエスト次第で、属性が傾きます!!それは、それぞれ属性値を表す純粋値に反映されます!!》
つまり、ゾディアック・ステアウェイ・オンラインにおいて、属性は基本一定ではない、初めに犬属性を選んでいても、牛のように耐久重視の戦い方をすれば、牛属性の純粋値が上がっていく。そして最初に選んだ属性値が上がりやすくはなっているが、限度はある。
《そして!またもや、たぁだぁし!!!それは悪いことじゃなく、いいことでもあります!複数の属性を育てれば!ネズミ!!!のように隠密し、虎のように一撃で刈り取ることも!できますし、龍のように広範囲を掌握し、蛇のようにデバフを振りまき、羊のように仲間を癒すことも!!!
もちろん!1つの属性を育てて、ネズミのようにコソコソコソコソコソコソ!!!することもできます!!!!!》
シャワーだけで済ました伝太はタオルで体を拭きながら、途中から彼女の声を聞いていた。演技なのか本音なのか、十中八九本音であろう。鼠に対しての言葉には異様に感情が乗っている、隠しきれてねぇな…自称アイドルと、朝イチからの気分が、シャワーよりも晴れた気がした。
《だからこそ、十二支は全てのプレイヤーを象徴するものになります。己の行動の目的、過程全てがあなたを形作る。》
そして一呼吸置いたあとの彼女は先程の荒れようから打って変わって、真剣に語り始めていた。
《なにかで、立ち止まってしまった人、迷ってる人、自分の可能性を信じたい人、まだ見ぬ自分を見つけたい人。》
きっとこれが彼女の素なのかもしれない。そんな風に思わせる強さがあった。
「(立ち止まってしまった人か…)」
今の伝太にとって、取り方の分からないボールが放られたようだった。
《この世界では、どこかに道標があるはずです。必ず。なので……》
彼女、ゾソ・ナンバーワン・アイドル:ユメート夢宙は、またも打って変わり…
《道中は常に危険が付き物です!!かも知れない、行動と、指差し確認をわすれずに!ご安全に!!!》
やっぱり本当はこっちが素かもしれない。
利益が取れてるかも不明なCMは、そのまま続き、ようやくテレビはニュースへと戻った。事故の特集が始まり、13年前の事故についても語り始め、朝食の支度をしていた伝太はテレビを消した。
ああああああああ!!!!
ネタバレになるけど後半、アーマーつけたい!
仮〇ライダーみたいなアーマーつけたい!!!
でも!!
もう日曜日の朝がーー!!!!!
できるだけ被らないように履修しとこ……




