次、行くぜ
高雲と別れたシオン一行は山の頂上ーー阿坂城にたどりついた。
この城は大宮父子が任されている。
父の方は坊主頭の含忍斎、息子の方は弓の名手である大之丞。
城内には多くの兵が集まり、賑わっていた。みんな強そう。
挨拶もそこそこに、かがり火の設置と決して火を絶やさないようにお願いした。
「この火は戦で勝利するためのおまじないです。皆さん、よろしくお願いします」
「おお、大河内御所様が直々に願掛けをしてくださるとはありがたい!我らにお任せください!」
素直で明るく頼もしい人たちだ。
しかし、そんな中、一人だけ青い顔をした者がいた。源吾左衛門という男で大宮の家老だという。彼は何か思いつめた表情でじっと火を見つめていた。シオンは何だか不安な気持ちになった。
「あの、その火はちゃんと見張っててくださいね!」
わざと明るい声で源吾左衛門に話しかけてみたが、「……かしこまりました」と頭を下げて一言答えるだけ。
源吾左衛門は大宮家を執りしきり、優秀な人だとサエモンノスケから聞いていたのだが……様子がおかしい。しかし、まぁ、暗い性格の人もいるだろうしな、多様性だよ。とシオンは思い直し気にしないことにした。
「火を絶やさないでくださいね」
と念を押し、阿坂城を去る。次は大河内城に行こう。体力的にきついが、さっさと進めるぞ。




