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公爵令嬢は占いがお好き  作者: 四宮 あか


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緊張する

 素顔をさらしているからだろうか。

 占い師をしている時よりもはるかに私は緊張していた。



 ふっーっと長く息を吐いて、私は扉を開けた。

 私には加護がある。

 どういう思惑で足を運んだのかじっくり見定めさせてもらうわ。

「お初にお目にかかります。ティア・マクミランと申します。かけても構いませんか?」



 応接室のソファーに浅く腰を掛けていた男がすっと立ち上がり私に頭を下げた。

 男が頭を下げると、それに倣うように後ろに控えていた従者だろう人物たちが頭を下げた。

「突然の訪問をお許しください。ウェルスター王国で魔法騎士をしています。リスタン・アイゴットと申します。マクミラン様の家ですから、私の許可など取らずにおかけください」

 そういって男は涼やかに私なんかに笑いかけてきた。


 ハニーブロンドの髪に青い瞳、その甘い顔立ちとは正反対で魔法騎士をしているだけあって身体が鍛えられているのが一目でわかる。



 普通にそう微笑むだけで、このご尊顔を持ってたら敵なしだったと思う。

 でも相手が悪い。


 私の瞳は真実を見抜く。

 甘い言葉が本心となれば、こちらも動揺しただろうけれど。

 甘い言葉にウソとまとわりつけば、それだけでかなり興覚めだ。

 それにできるだけ警戒されないように少ない人数で来たのだと思うけれど。

 後ろに4人も控えているとなると、絶世の美女ではない自覚がある私はどういう意図なのかと警戒してしまう。



 私が椅子に腰を下ろすと、セバスがポンっと私の膝の上にのって丸まった。



「そちらも帰還される都合があると思いますので、早速ですが本題に入らせていただきますね。マクミランにはどのようなご用件で?」

 私はニコッと愛想笑いをして、まっすぐリスタンを見つめ加護を使った。



 ここ最近ノアの無駄に整った傾国顔を見ていた効果は抜群だった。

 夜中に目がさめて薄目を開けたらあの顔が隣で眠っていた時に比べれば、適切な距離がとられている。



「すでに釣書を送った返事はいただいていたのですが。一度も実物にお会いすることなく縁を切りたくなかったのです」

 ふわっと言葉が中にういて、ホント、ホント、ホントとまとわりつく。

「そうでしたか。こちらも配慮が足らずすみません。ですが、返事でも申し上げた通り私は現在婚約者がおりまして。ありがたいお話なのですが、アイゴット様の申し出を受けることはできません」

「まだ正式な婚約は済ませていないと伺いました。どうか機会をいただけませんか?」

 ヴィスコッティ様がノアの代わりに私と結婚する相手を見つけさせようと派手にやってくれたおかげで、ウェルスター王国にもそういうのが筒抜けたというわけね。




「機会と申されましても……」

 私は明らかなウソを相手がいうように、困った顔でそう呟いた。

 リスタンは意外なことに、部下の前にもかかわらず椅子からおりて私の足元にかしずくと、私の手をとろうとしたその瞬間。



 セバスがフッーと毛を逆立てて威嚇したのだ。

 こんな風にセバスが威嚇したのをはじめてみて私は驚いてリスタンがつかもうとする手を思わずひっこめた。



「ごめんなさい。うちの子人見知りで」

「いえ、このように急に主人の傍にきたら怒るのもしかたありません。ですが」

 そういってまたもリスタンは私の手を取ろうとしてくる。



 なんであえてひっこめた手をこの人そこまでしてつなぎたいの?

 わずかに疑問に思ったその時。

 パーンっと音を立てて、リスタンの手に猫パンチがきれいに入った。



 一発入ったことで、リスタンが慌てて手を引いた。


「なんだこの猫」

 つい口をついて汚い言葉が出たのだと思う。

 やばい、下手をすれば国同士の問題になりかねない。



 なんでセバスに限ってこんなことを。

 そう思った時だった。


 私の膝から飛び降りくるんっと宙返りをすると。

 そこに現れたのは、セバスではなくノアだった。



「は!?」

 てっきりセバスだと思っていた。

 ノアが猫もセバスにも変身できることを知っていたけれど、あんなに自然にセバスとして私に話しかけてきただなんて考えもしなかった。




 どうなってるの!? と状況がさっぱり呑み込めない私よりも先にノアが言葉を発した。

「容姿で落とせなかったからといって、魅了を使おうとするのは男としていささかどうかと思うよ。あんな不自然に手を握ろうとしたら、魔法に長けていなくても違和感に気が付く」

「みりょう?」

 思ってもいない指摘に私は茫然として猫パンチをされた手を抑えるリスタンを見た。


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