3.1 そんなこんなで、8歳に
メルミーナ様から8歳の誕生日の少し前に、ジャガイモや枝豆そして豆腐のリクエストがありました。
なんでも孫が5歳の誕生日で、食べることが好きなので驚かせたいとの事でした。
転移門で取りに来るとの事でしたが、料理ができる人も必要なようです。
こちらから転移門を使って配達、料理することになりました。
頑張れゴルゴさん。
クインさんと魔道具を作っていたときに、私が異世界からの召還魔法で使う魔法陣を説明すると古代語で表現された魔法陣と解りました。
クインさんが古代語専用の本を持ってきてくれました。
古代語を勉強し、この魔法陣を少し変えて使うと、魔法の効果を残せる魔道具にできる事が解ってきました。
今回の食品を納品する時に荷物を小さくして運べると便利そうだったので、みかん箱ぐらいの木箱に魔法陣をセットし空間魔法を閉じ込めました。
すると、時間停止効果を持ち、空間が10倍に広がるアイテムボックスが完成です。
魔石を消費し続けるので魔石から魔法力を供給する仕組みを追加し、さらに時間停止ありとなしの2種類を完成させました。
小さい魔石をセットし空間魔法を維持します。
時間停止ありは、1個で1日。
時間停止なしは、1個で10日使えます。
両方とも魔石は10個セットできるように魔法陣に命令式を組み込んであります。
荷物を入れたまま魔石の効果が切れると、再起動に魔石が3個消費されます。
非常に優れものの移動道具ができたので、領内の色々な物の移動に使ってます。
量産したのは時間停止無しです。
時間停止の方が作るのに魔力の消費が多いのも原因です。
時間停止ありは、今回1個料理長のゴルゴさんに渡しておきました。
今回の料理は、ヘイゼルさんが色々と作っている食品をゴルゴさんと私で考えたメニュー。
いろいろと試行錯誤を行い、どの食品を持っていくか決めアイテムボックス一杯に詰め込み(ホントは容量の半分も使ってないけど気分的にね)指定の日に出発しました。
転送門が使える旅なので次の日には帰ってこれるはずですが、料理長が帰ってきたのは3日後です。
予定通りですけど。
折角なので、アイテムボックス一杯に(こんどは満タン)王都でしか手に入らない品々を買ってきてもらいました。
みんながいろいろ頼むのでなれない買い物に店を探し回ったそうです。
何に時間がかかるって、それはもちろん女性用の香水や化粧品ですよ。
ゴルゴさんが言うには、料理を振舞った相手が王様の一族だったそうです。
到着後メルミーナ様の家から王城に連れられていかれ、めちゃくちゃ緊張したそうです。
メルミーナ様の娘が王妃の一人なんだから孫といえば当たり前だろ。
との一言だったそうです。
さすが王城で働くだけあり、そこの料理長は人望もありすごく親切な人だったそうです。
緊張のあまり包丁を握ったらぶるぶる震えていた自分を支え、一緒に野菜を切ってくれたことで、緊張が和らぎ料理ができるようになったそうです。
そして、料理も手伝ってくれなんとか予定通りの物が作れたんだとか。
王城の料理長から、残るかと聞かれたそうですが、とんでないと急いで退出したそうです。
王様に出す料理を作るなんて恐れ多くて、もう行きたくないって言ってました。
あれ、あなた、最初王城での料理人目指すと言ってたような。
「ゴルゴさん、王城で料理人になりたいんじゃなかったんですか?」
「王様の料理を作りたかったわけじゃなくて、王城で働く文官や騎士向けの料理人を目指していただけです。
王城で働く料理人は料理人の中のエリート、さらに王様の家族向けの料理人は頂点ですよ。
私にはおそれおおいです。緊張で死んじゃいます。まだ若いのに」
「まだ、若いのに死なれるのは困りますね。それだとメリーナ様に怒られそうだし、
まあ、暫くはこの家に残ってください。もっとおいしい日本料理に挑戦しましょう」と言うと、
「了解です」と元気に答えて、調理場に戻っていった。