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報告(前編)

*マディン・ソルネイル(アルキュール王国王都ギメリア、ギルド「ロウキーパー」本部四階)



 大きな窓からはアルキュールの街並み。

 ソファの革は高級そうだし、足元の絨毯もいいもの使ってる。

 さすが本部の応接室。


 俺はいま「ロウキーパー」本部に誂えられた応接室にいる。

 要するに、来客を交えて、漏れたらまずい話をする部屋だ。


 俺の隣にはジョシュア。

 カタリナはギルドが違うので今はいない。

 報告役としてクロウが一歩前に出て、資料を読み上げている。


 聴いているのは三人。

 正面に腰かけるのはわれらがギルドマスター。

 その後ろに控えるのはギルドの知恵袋こと金髪エルフのお姉さん。

 それと横のソファーに体を委ねる身分不明のおっさん。

 誰かあのおっさんの説明してくれよ、とは空気が重くて言えない。


 二人はわかるんだがな。

 というより両方とも説明の必要などまったくない。


 「法の聖騎士(パラディン)」シグルド・タールベルク。

 灰色の髪を頭の後ろで軽くまとめた、壮年の男性。

 痩躯とは言えないが、それほどがっしりとした印象も受けない。

 鈍色の瞳を瞬かせつつ報告を聴いているこの壮年の男性が、「ロウキーパー」最高戦力の一人だと考える奴はそう多くないだろう。

 俺も稽古風景を見るまでは信じなかったしな。

 ちなみに「聖騎士(パラディン)」というのは神聖魔術と白兵戦が一定レベルでこなせる人物に贈られる敬称みたいなものだ。

 他にも何人もいるから、区別するために「赤の」とか「星の」とかがついている。


 「青都の竜使い(ドラゴンテイマー)」エレイシア。

 金髪が眩しいエルフのお姉さん。眼鏡がすごく似合う。

 「ロウキーパー」を引き継ぐ以前からシグルドさんと一緒に旅をしていた冒険者仲間。元、だが。現在は魔術研究者で、付け加えておくと人妻。

 結婚して勘が鈍ったとかで依頼を受けることはなくなっているが、こういう知識面でのサポートはまだまだ現役。人呼んで「ロウキーパーの知恵袋」。

 あと、「ロウキーパー」に来てからの俺の魔術の師匠でもある。精霊魔術でも召喚魔術でもこの人に勝てる気がしない。

 ちなみに二つ名の由来は、上位竜種の風竜(ウインドドラゴン)と契約を結んでいるから。青都っていうのはギメリアのことを指している。

 


 「以上で、今回の事案についての報告を終えます。」


 と、考えごとをしている間にクロウが面倒事を終わらせてくれたらしい。

 ありがたや。

 気になるからあのおっさんの方に水を向けてくれたらもっとありがたいんだが。



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