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第47話「法令遵守」

時事ネタ?社会風刺?いずれにしろ、この作品はフィクションであり、実在の企業・団体・個人とは一切関係ありません。キリッ


2026年4月中旬。東京・赤坂。


料亭の個室に七人が集まった。


高道早苗。佐藤貴子。望月邦彦。片貝かつき。大泉進太郎。橘慎一郎。


そして今日、もう一人いた。


小田喜美。経済安全保障担当大臣。五十代の女性議員だった。


仲居が障子を閉めた。


小田が口を開いた。


「移民問題について、そろそろ動かないといけません」


全員が小田を見た。


「現場が限界です」小田は続けた。「仮放免中の外国人が法令違反を繰り返している。強制送還しようとすると弁護士が介入してくる。強硬市民団体が法務省前で毎日騒いでいる。担当者が疲弊しています」


「具体的に何が問題ですか」大泉が聞いた。


「何もかもです」小田は言った。「仮放免中に就労している。社会保障だけ使って納税していない。騒音規制も守らない。ルールを守らない人間を守るための弁護士と強硬市民団体がいる。現場の警察官が萎縮している」


片貝が口を開いた。


「財務省として申し上げると——社会保障のコストが問題です。納税していない外国人が医療保険を使い続けている。その原資は日本人の税金です」


「移民自体は必要だ」高道が静かに言った。「労働力確保のために促進する。ただし——不法移民はアウトだ。合法的に来て、ルールを守る人間だけを歓迎する」


「そのルールが守られていないのが問題です」小田が続けた。「強硬市民団体が『移民の権利』を叫びながら、警察の取り締まりを妨害している。街宣右翼団体も騒いでいる。どちらも迷惑です」


「両方取り締まればいいんじゃないですか」大泉が言った。


「やろうとすると政治問題になります」小田が言った。「弁護士会が動く。マスコミが『人権侵害』と叩く」


全員が黙った。


橘が口を開いた。


「整理しましょう」


全員が橘を見た。


「これは移民問題ではありません」橘は静かに言った。「法令遵守の問題です」


「どういうことですか」小田が聞いた。


「移民を歓迎するかどうかはイデオロギーの問題です。でも法令を守るかどうかはイデオロギーとは関係ない。日本人でも外国人でも、法令を守らない人間は取り締まる。それだけです」


「言うのは簡単ですが——」


「具体的にやります」橘は続けた。「四点あります」


全員が橘を見た。


「一点目。騒音規制法の基準値を60デシベルに引き下げます。省庁の改定で対応できます。国会承認は不要です」


小田が目を細めた。


「街頭活動が軒並み引っかかりますね」


「強硬市民団体も、街宣右翼団体も、区別なく取り締まります」


大泉が頷いた。


「公平だな」


「二点目。警視庁、大阪府警、埼玉、神奈川、千葉県警に、警察庁から取り締まり状況の査察を入れます。現場が萎縮しているなら、上から動かせばいい」


「三点目。閣議決定で『表現の自由は法令を守らないことを意味しない』という政府見解を出します」


望月が少し笑った。


「それは効くな」


「四点目。仮放免中の法令違反は即強制送還とします。強制送還の予算を予備費から手当てしてください、片貝さん」


片貝が頷いた。


「予備費で対応できます」


「弁護士会は」小田が聞いた。


「こちらで押さえます」橘は静かに言った。


小田がしばらく橘を見た。


「本当に動きますか」


「動きます」


小田が深く息を吸った。


「——分かりました」


貴子が口を開いた。


「一つ提案があります」


全員が貴子を見た。


「強制送還の場面を政府専用機で行う。ニュースに流す」


「なぜですか」大泉が聞いた。


「抑止力です」貴子は静かに言った。「映像が流れれば、仮放免中の法令違反が激減します。やれば本当にやるということを見せる」


望月が頷いた。


「貴子ちゃん、それは正解だ」


翌朝。霞が関。


橘は法務省の事務次官、坂本に電話を入れた。


「坂本さん、少しよろしいですか」


「はい、何でしょう」


「一つお伝えしたいことがありまして」


「どうぞ」


「日本弁護士連合会が弁護士の研修機関を一元的に指定していることについて——」橘は静かに続けた。「内閣で『実質的な独占ではないか』という意見が出ました。事務次官のお考えをお聞かせいただけますか」


電話の向こうで坂本が少し沈黙した。


「……どのような文脈で出た話でしょうか」


「特定の案件に関連してではありません。一般的な競争政策の観点から、という話です」


また沈黙が続いた。


「承知しました。省内で確認してみます」


「お願いします」


橘は電話を切った。


それだけだった。


命令も指示も何もなかった。


ただ「内閣で話が出た」という情報が法務省に届いた。


三日後。


日本弁護士連合会の会長が、法務省を訪ねた。


翌日から、仮放免外国人の支援活動に関する弁護士会のコメントが、急に慎重なトーンになった。


城島が橘に言った。


「弁護士会、急に静かになったな」


「そうか」


「何をした」


「何もしていない」橘は静かに言った。「話が出たとお伝えしただけだ」


城島がしばらく橘を見た。


「怖い男だな」


「法令の範囲内だ」


翌週。東京・新宿。


夜。


強硬市民団体の街頭活動が始まった。


メガホンと太鼓。


騒音計が反応した。


65デシベル。


警察官が近づいた。


「騒音規制法に基づき、警告します。基準値60デシベルを超えています。活動を縮小してください」


「これは表現の自由だ!」


「表現の自由は法令を守らないことを意味しません」警察官は静かに言った。「閣議決定された政府見解です」


「弁護士を呼ぶ!」


「どうぞ。ただし現時点で違反が確認されています。活動を縮小しなければ、法令に基づいて対処します」


しばらく押し問答が続いた。


騒音計が再び反応した。


68デシベル。


警察官が無線を取った。


「確認しました。手続きを開始します」


同じ夜。埼玉・川口。


街宣右翼団体の街頭活動が始まった。


拡声器。


騒音計が反応した。


72デシベル。


警察官が近づいた。


「騒音規制法に基づき、警告します」


「国のために活動しているんだ!」


「法令を守る活動であれば問題ありません。ただし現時点で基準値を超えています」


「自民党の支持者だぞ!」


「法令の適用に支持政党は関係ありません」警察官は静かに言った。


街宣右翼団体の男が黙った。


「手続きを開始します」


翌日。東京入国管理局。


仮放免中に窃盗で逮捕されたトルコ国籍の男が、家族とともに護送車に乗せられた。


男本人は法令違反・不法滞在。


同行したのは、強制送還を希望した家族数十人だった。


行き先は羽田空港。


政府専用機が待っていた。


貴子の事務所から、報道各社に情報が流れていた。


空港の駐機場に、カメラが並んでいた。


政府専用機のタラップを、男と家族数十人が上がっていった。


子供を抱いた母親。


老いた祖父母。


次々とタラップを上がっていく映像が撮られた。


その夜のニュース。


「法務省は本日、仮放免中に法令違反を行ったトルコ国籍の男及びその家族数十人を政府専用機でトルコに強制送還しました。家族については本人たちの希望により同行しています。政府は今後も仮放免中の法令違反に対して厳格に対処する方針を明らかにしています」


アナウンサーが続けた。


「また同日、全国各地で騒音規制法に基づく取り締まりが行われ、複数の街頭活動が中止を命じられました。対象には右翼団体、市民団体の双方が含まれています」


貴子の執務室。


貴子はモニターを見ていた。


ニュースが流れていた。


スマートフォンが震えた。


橘からだった。


「映像、流れたか」


「流れました」


「効果は」


「SNSのトレンド入りしています。『政府専用機で家族ごと強制送還』が一位です」


しばらく間があった。


「それでいい」


電話が切れた。


貴子はコーヒーを一口飲んだ。


冷めていた。


「橘さんと同じ飲み方だな」


誰もいない執務室で、貴子は小さく笑った。




【掲示板】2026年4月・移民法令スレ


【速報】政府専用機で家族ごと強制送還!騒音規制で街頭活動一斉取り締まり Part1


1: 2026/04/XX(月) 21:11:22 ID:Xk7mNpQ3

政府専用機で家族ごと強制送還!マジか


2: 2026/04/XX(月) 21:12:44 ID:mR8vwZ09

やると思ってなかったw 本当にやった


3: 2026/04/XX(月) 21:13:33 ID:Tb3nHsW1

騒音規制で右翼も市民団体も両方取り締まったのか


4: 2026/04/XX(月) 21:14:11 ID:nQ0vXc7R


>>3 公平だな。どっちも法令違反は取り締まる


5: 2026/04/XX(月) 21:15:44 ID:zW4qRm5S

「表現の自由は法令を守らないことを意味しない」という閣議決定、これ効くな


6: 2026/04/XX(月) 21:16:55 ID:pL2aKj8F


>>5 反論できないもんな。法令を守れ、それだけだから


7: 2026/04/XX(月) 21:17:33 ID:Xk7mNpQ3

仮放免中の法令違反で即強制送還。家族ごとか


8: 2026/04/XX(月) 21:18:44 ID:mR8vwZ09

家族は希望して同行したらしい。強制じゃないのか


9: 2026/04/XX(月) 21:19:55 ID:Tb3nHsW1


>>8 本人が不法滞在で送還されるなら家族もついていく。自然な話だろ


10: 2026/04/XX(月) 21:20:33 ID:nQ0vXc7R

弁護士会が急に静かになったのはなんでだ


11: 2026/04/XX(月) 21:21:22 ID:Toshi_k9

見えないとこで動いてる人間がいるんだよ


12: 2026/04/XX(月) 21:22:11 ID:zW4qRm5S


>>11 またお前かw でも今回は否定できない


13: 2026/04/XX(月) 21:23:44 ID:pL2aKj8F

移民問題じゃなくて法令遵守の問題として処理したのがうまい


14: 2026/04/XX(月) 21:24:55 ID:Xk7mNpQ3


>>13 イデオロギーじゃなくてルールの話にした。誰も反論できない


15: 2026/04/XX(月) 21:25:33 ID:mR8vwZ09

右翼も市民団体も両方取り締まったから「差別だ」とも言えないしな


16: 2026/04/XX(月) 21:26:22 ID:Tb3nHsW1

政府専用機の映像、インパクト強かった


17: 2026/04/XX(月) 21:27:11 ID:nQ0vXc7R

やれば本当にやるってことを見せた


18: 2026/04/XX(月) 21:28:44 ID:Toshi_k9

これ、誰が考えたんだろうな


19: 2026/04/XX(月) 21:29:55 ID:zW4qRm5S


>>18 お前が一番知ってそうだけどw


20: 2026/04/XX(月) 21:30:33 ID:Toshi_k9

それは教えられないw


21: 2026/04/XX(月) 21:31:22 ID:8vYnKp2A

工場から来ました。職場でもこの話題で持ちきり


22: 2026/04/XX(月) 21:32:11 ID:pL2aKj8F


>>21 また来たw 工場の反応は?


23: 2026/04/XX(月) 21:33:44 ID:8vYnKp2A


>>22 「ようやくやった」って感じ。外国人の同僚も「ルールを守れば問題ない」って言ってた


24: 2026/04/XX(月) 21:34:55 ID:Xk7mNpQ3


>>23 それが正常な反応だよな


25: 2026/04/XX(月) 21:35:33 ID:mR8vwZ09

合法移民は歓迎、不法移民はアウト。シンプルだ


26: 2026/04/XX(月) 21:36:22 ID:Tb3nHsW1

これを十年前にやっておけば——


27: 2026/04/XX(月) 21:37:11 ID:nQ0vXc7R


>>26 誰もやらなかったんだよ。やれる人間がいなかった


28: 2026/04/XX(月) 21:38:44 ID:Toshi_k9

今はいるけどな


29: 2026/04/XX(月) 21:39:55 ID:zW4qRm5S


>>28 見えないとこで動いてる人間がw


30: 2026/04/XX(月) 21:40:33 ID:Toshi_k9

そうだw


31: 2026/04/XX(月) 21:41:22 ID:8vYnKp2A

親父が「日本、まともになってきたな」って言ってた


32: 2026/04/XX(月) 21:42:11 ID:pL2aKj8F


>>31 親父さんの感覚、毎回正しいな


33: 2026/04/XX(月) 21:43:44 ID:Toshi_k9

その親父さんに一票


34: 2026/04/XX(月) 21:44:55 ID:Xk7mNpQ3

見えないとこで動いてた人間が、ちゃんと動いてたんだな


35: 2026/04/XX(月) 21:45:33 ID:Toshi_k9

だから言ってたろw


36: 2026/04/XX(月) 21:46:22 ID:mR8vwZ09


>>35 お前ほんとブレないなw


37: 2026/04/XX(月) 21:47:11 ID:Toshi_k9

それだけだw

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