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第160話「決断」

時事ネタ?社会風刺?いずれにしろ、この作品はフィクションであり、実在の企業・団体・個人とは一切関係ありません。キリッ


2030年11月。東京。首相官邸。閣議室。


 資料が配られた。


 世論調査の結果だった。


【台湾防衛に関する世論調査】

(サンプル数:12,000名)


積極的に参戦すべき      :38%

自衛隊の損耗を抑えながら参戦 :26%

参戦に反対          :18%

わからない・判断できない   :18%


 室内が静かだった。


「64%が何らかの形での参戦を支持しています」と大泉防衛大臣が言った。「総理、決断をお願いします。FEPAの第二艦隊は3日後には南シナ海に進入します」


「予算面は問題ありません」と片貝財務大臣が続けた。「各国の復興支援の主導権を確保できています。ここは筋を通すべきです」


 高道香苗総理は資料を見ていた。しばらく沈黙した。


「そやな」と高道は言った。「ここが決断時かも知れん」


 もう一度、数字を見た。


「自衛官が1000人死んでも……それは私の責任です」


 大泉が頷いた。


「水機団と西部方面隊を投入します。陸上戦力の参戦を許可します」


「了解しました」と大泉は言った。





 馬毛島。


 輸送桟橋に艦が並んでいた。


 おおすみ。しもきた。ようこう型2隻。にほんばれ型2隻。


 水機団3000名が搭乗を完了していた。装備を点検し、待機していた。


 ひゅうがの甲板にV-22オスプレイが並んでいた。10機。いせにも同じく10機。


 ひゅうがといせには第一空挺団1900名と特殊作戦群330名が搭乗していた。V-22の周りを隊員が静かに整備していた。


 最後尾にはくにさきがいた。西部方面隊の第42即応機動連隊を搭載していた。


 作戦指揮官が地図を広げた。


「上陸ルートを確認する」


 台湾の東海岸が映し出された。


「おおすみ、しもきた——花蓮港に入る。水機団の主力はここから上陸する」


「ようこう型、にほんばれ型——和平港へ。宜蘭攻防戦への介入はここからが起点だ」


 花蓮から北上すると宜蘭。宜蘭を抜けると桃園。桃園を抜けると台北だった。


「目標は桃園の奪回だ。台北の防衛には桃園の確保が不可欠になる」


「第一空挺団と特殊作戦群はどこへ」と幕僚が聞いた。


「中央山脈だ」と指揮官は言った。「V-22で分隊単位にヘリボーン降下する。分散して尾根筋に展開する。任務は——」


 指揮官が画面を指した。台湾の中央山脈が西側に向かって急峻に落ちていた。


「誘導レーザーの視界確保だ。監視位置から中国軍の縦深部を照射する。FEPAと自衛隊の航空攻撃の精度を上げる。山の中から中国軍の補給線を狙う」


 室内が静かになった。


「作戦開始は第二艦隊が南シナ海に入ったタイミングに合わせる」





 東京。内閣官房。


 橘慎一郎は高道の決断を報告で受けた。


 10001号が珈琲を置いた。


「1000人という数字を口にできる総理は——」と10001号が言った。


「それが指導者の仕事だからです」と橘は答えた。「言えない人間が総理になったら、誰も何も決められない」


 台湾の状況が更新された。



【台湾侵攻累積損失評価】

台湾側死者 :推定23,100名

喪失領土面積:台湾本島の24.7%


「間に合うか」と橘は独り言のように言った。


 答えは誰も言わなかった。





【国内情勢スレ】


1 名無しさん

世論調査で参戦支持が64%か

思ったより多い


2 名無しさん


>>1

台湾の映像が毎日流れてるからな

貴子さんの動画の効果もあると思う


3 名無しさん

台湾の死者が2万3千人を超えたらしい


4 名無しさん

自衛隊が本格的に動くのか


5 名無しさん

間に合うのか

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