↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
159/166

第159話「回航」

時事ネタ?社会風刺?いずれにしろ、この作品はフィクションであり、実在の企業・団体・個人とは一切関係ありません。キリッ


2030年11月。黒海。オデーサ沖。


 MAGIの展開勧告が出てから12時間が経っていた。


 すさのおの甲板が慌ただしかった。ウクライナ上空のCAPから帰還したT-5FCが次々と着艦した。エレベーターで格納庫へ下ろされた。いざなみにはZ-1FCが収納されていった。無人機が折り畳まれ格納庫に入った。


「全機収納完了」と航空長が報告した。


 かぐつちの艦橋から黒田玲二が命じた。


「出港する。ボスポラスへ向かえ」


 かぐつちが先頭に立った。すさのお、いざなみ、たけはづち、やましろひこが続いた。はやぶさ改50隻が両翼を固めた。


 第二艦隊が黒海を西に向かった。


 オデーサ沖に残った第一艦隊は変わらなかった。


 つくよみの艦橋で、欧州空軍への引き継ぎ作業が続いていた。MAGIが担当していた地上目標のリストが、順次NATOの将校に移管されていった。


「隣がいなくなりましたね」と幕僚が言った。


「そうだな」とつくよみの艦長は言った。「我々の仕事はここだ」




 ボスポラス海峡。


 夜明け前だった。


 かぐつちがイスタンブールの灯を左右に見ながら進んだ。アジア側とヨーロッパ側の建物が黒い影になって並んでいた。


 橋の上に人がいた。


 橋の上からスマートフォンのライトが点滅していた。FEPAの艦隊を撮影していた。艦隊が通過するとSNSに映像が上がった。


「大きい艦が通っていった」


「何隻いるんだ」


「数えきれない」





 地中海。


 すさのおの艦内。


 パイロットたちが休んでいた。黒海からずっと任務に就いていた者もいた。初めてまとまった睡眠を取る者もいた。


 コールサイン「カウボーイ」こと第7飛行中隊長が食堂でコーヒーを飲んでいた。隣に座った若手パイロットが聞いた。


「台湾はどんな戦場ですか」


「行ったことがない」とカウボーイは答えた。「南シナ海は初めてだ」


「ウクライナとは違いますか」


「違う」とカウボーイは言った。「向こうは制空権があった。台湾は——MAGIに聞いてくれ」





 スエズ運河。


 かぐつちが運河に入った。


 両岸が砂漠だった。所々に施設が見えた。運河の管制船が先導した。艦隊の規模に管制官が驚いた様子だった。


 通過に12時間かかった。




 紅海。


 気温が上がった。


 艦内の冷房が全力で動いた。補給艦から燃料が補給された。走りながらの洋上補給だった。




 ジブチ。港湾。


 3日後の夕方、第二艦隊が入港した。


 岸壁に整備員が待っていた。ENEOSの燃料補給車が並んでいた。食料と弾薬の搬入が始まった。


 乗組員の一部が上陸を許可された。ジブチの街に出た者もいた。セブンイレブンでおにぎりを買った者もいた。


「本当においしい」とイタリア人の乗組員が言った。


「何年前から言ってるんだその台詞は」と日本人の同僚が答えた。





 JFEジブチスマートドック。

 2日後の朝。


 ドックのゲートが開いた。


 1隻目が出てきた。新造艦だった。艦名標識に「あめのかがみ」とあった。


 2隻目。「あめのひなどり」。


 3隻目。「かなやまひこ」。


 4隻目。「さむかわひこ」。


 全長155メートル。6500トン。レールガン、レーザー、VLS32——あまつくに型と同じスペックだった。ジブチのスマートドックが5ヶ月で仕上げた4隻だった。


 黒田は岸壁から4隻を眺めた。


「ジブチが艦を造った」と黒田は言った。


「はい」と幕僚が答えた。「タラン、タチコマ、ドールI——ほぼ全自動です。溶接も塗装も」


 黒田はしばらく4隻を見ていた。


「出港は明日の夜明けだ」





 ジブチ。MAGI-1施設。


 橘慎一郎がモニターを見ていた。


 台湾の戦況が更新されていた。


【台湾侵攻累積損失評価】

(MAGI三基共同記録)


台湾側死者 :推定21,400名

喪失領土面積:台湾本島の22.1%


米国不作為期間:継続中

記録継続中


「第二艦隊は明日出港します」とMAGI-1が言った。


「わかりました」と橘は答えた。「台湾まで何日かかりますか」


「南シナ海経由で約6日です」


 橘は画面を見た。


 台湾が、あと6日持つかどうかだった。





 翌朝。夜明け前。


 かぐつちが岸壁を離れた。すさのお、いざなみ、たけはづち、やましろひこが続いた。そして——あめのかがみ、あめのひなどり、かなやまひこ、さむかわひこが続いた。


 はやぶさ改50隻が隊列を整えた。


 第二艦隊が、9隻に増えた。


 ジブチの港から出ていく艦隊を、早起きの港湾労働者が見送った。


 東の空が白み始めていた。





【国際情勢スレ】


1 名無しさん

ボスポラスを大艦隊が通過したって映像がSNSに上がってる


2 名無しさん


>>1

何隻いるんだって話になってる

数えきれないって


3 名無しさん

ジブチの港に何か大きい艦が集まってるって現地の人が言ってる


4 名無しさん


>>3

ジブチに新しい艦が4隻出来たって話が以前から出てたな


5 名無しさん

台湾の死者が2万人を超えたらしい


6 名無しさん

米国はまだ何もしてないのか


7 名無しさん

台湾まだ持ってるのか

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。