第147話「連鎖」
時事ネタ?社会風刺?いずれにしろ、この作品はフィクションであり、実在の企業・団体・個人とは一切関係ありません。キリッ
2030年7月。
キーウ郊外。
NATO軍の核・生物・化学防衛部隊が草原を歩いていた。
手に持つガイガーカウンターが断続的に音を立てた。
「ここです」と隊員が言った。
地面に黒い焦げ跡があった。直径3メートルほど。撃墜されたミサイルが落ちた場所だった。
カウンターの値を読み上げた。
隊長が静かに言った。
「本部に報告しろ。陽性だ」
ブリュッセル。NATO本部。
緊急会議が招集された。
「落下地点8か所で放射能反応を確認しました。微量ですが、核分裂生成物の特徴と一致しています」
「つまりロシアは戦術核弾頭を搭載したミサイルを実際に発射したということですか」
「はい。FEPA及び09式・30式によって全弾撃墜されたため着弾はありませんでしたが、意図は明確です」
室内が静まった。
「FEPAが撃墜しなければ、キーウは核攻撃を受けていた」
誰も何も言わなかった。
ニューヨーク。国連安全保障理事会。
緊急会合が開かれた。
米国代表が決議案を提出した。
「ロシアによる核兵器の使用を強く非難し、即時停戦を求める決議です」
ロシア代表が拒否権を行使した。
それだけだった。
会議室を出るロシア代表の背中に、誰も声をかけなかった。
ワシントン。ホワイトハウス。
ドランプが執務室でニュースを見ていた。
「信じられない」
「どういたしますか」と補佐官が聞いた。
「……何かできることはあるか」
「現状、FEPAが全て対処しています。我々が動く余地は……」
「そうか」
ドランプは画面から目を離した。
「日本に何か言えるか?」
「難しいかと思います。そもそも今回の防衛はFEPAが行いました。日本政府とは直接の関係が……」
「力強いパートナーだな」
今回は苦々しく言った。
ベルリン。G7緊急首脳会議。
声明が発表された。
「核兵器の使用は、たとえ戦術核であっても、国際社会が断じて許容することのできない行為である。G7はウクライナ及びFEPAへの全面的な支持を表明するとともに、ロシアに対して即時停戦を強く求める」
高道総理が声明に署名した後、隣のフランス大統領が静かに言った。
「FEPAが撃墜しなければ、今頃どうなっていたか」
「考えたくないですね」と高道総理は答えた。
モスクワ。
漏れた。
ブーチンが幕僚を射殺したことが、誰かによって西側メディアに流された。映像ではなかった。証言だった。しかし複数の証言が一致していた。
FSBが調査を開始した。しかし調査する側もまた震えていた。
軍の内部で静かな動揺が広がっていた。
言葉にする者はいなかった。ただ、目が合うたびに誰もが視線を逸らした。
ある将軍が執務室で部下に言った。
「今後の命令は文書で受け取る。口頭の命令には従わない」
「……閣下、それは」
「以上だ」
北京。中南海。
情報部の報告が届いた。
「ロシアの戦術核は全弾撃墜されました。30式の実戦投入が確認されました。射程400km超、弾道ミサイルを含む全弾を迎撃可能と推定されます」
「FEPAを抑止できる手段は」
「現状、通常兵器では不可能と判断します。核を使えば撃墜される。しかしFEPAがウクライナに注力している間は——」
「台湾に向ける戦力が手薄になる」
「はい。今がその時です」
総書記は窓の外を見た。
「計画を加速せよ。6ヶ月を5ヶ月に前倒しする」
東京。内閣官房。
橘慎一郎は3つの報告書を並べて読んだ。
NATO放射能調査の結果。ロシア軍内部の動揺。北京からの情報——前倒しの可能性。
10001号が珈琲を置いた。
「3つが同時に動いていますね」と10001号が言った。
「そうです」と橘は答えた。「問題は、どれが先に爆発するかです」
「ロシアですか。それとも中国ですか」
橘はしばらく考えた。
「両方でないことを祈ります」
【国際情勢スレ】
1 名無しさん
キーウ周辺で放射能反応が検出されたって本当か
2 名無しさん
>>1
NATO軍が測定してたのそういうことか
ロシアが核弾頭付きのミサイルを撃ったってこと?
3 名無しさん
全弾撃墜されたから着弾はしてないんだろ
でもFEPAが撃墜しなければ核攻撃受けてたってこと……
4 名無しさん
国連でロシアが拒否権使って終了
もう機能してないな安保理
5 名無しさん
G7の声明出たけど言葉だけだよな
実際に動いてるのはFEPAだし
6 名無しさん
ブーチンが幕僚を射殺したって情報が複数の証言で出てるらしい
7 名無しさん
>>6
ロシア軍の内部がやばいことになってそう
8 名無しさん
「今後の命令は文書で受け取る」って将軍がいるらしい
崩壊が近いのか
9 名無しさん
この状況で中国が何か動くって話も出てるんだけど
10 名無しさん
>>9
知らない方がいいやつだと思う




