第141話「制空」
時事ネタ?社会風刺?いずれにしろ、この作品はフィクションであり、実在の企業・団体・個人とは一切関係ありません。キリッ
2030年5月末。
黒海。オデーサ沖。
第二艦隊が到着した。
かぐつちが先頭だった。すさのお、いざなみ、たけはづち、やましろひこが続き、はやぶさ改50隻が外縁を固めた。
つくよみの艦橋で矢島艦長は双眼鏡を下ろした。
「揃いましたね」
横に立つ黒田が頷いた。
「始めましょう」
作戦会議。
画面に作戦図が映し出された。
「第一艦隊の任務は制空権の維持です」と黒田は言った。「有人機75機と無人機150機を3交代で運用する。ウクライナ全域、ベラルーシ南部、ルーマニア上空を24時間カバーします。MAGIが全機の管制を担当します」
幕僚たちが地図を眺めた。
「第二艦隊の任務は」
「クリミアです」
室内が静かになった。
「有人機75機と無人機150機でクリミア半島の軍事拠点、軍事車両、補給施設を執拗に爆撃します。残るものがなくなるまでやります」
「期間は」
「廃墟になるまで」と黒田は言った。「撤退しないものは全部潰す」
第一飛行群第一飛行中隊。
コールサイン「カウボーイ」がたけみかずちの甲板から発艦した。
電磁カタパルトが機体を弾き出した。後続の無人機が次々と続いた。
ウクライナの空は晴れていた。
MAGIが全450機の位置を同時に把握していた。ロシアの防空レーダーが反応した瞬間、その発信源に無人機が向かった。レーダーが消えた。
カウボーイが言った。
「空が静かですね」
「当然です」とMAGIが答えた。
クリミア。セヴァストポリ。
港の向こうで爆発が連続していた。
燃料タンク。弾薬庫。修理施設。レーダー基地——順番に燃えていった。
ロシア兵が塹壕から空を見上げた。何も見えなかった。音もなかった。しかし100メートル先の対空砲陣地が突然爆発した。
「どこから撃ってるんだ」
誰も答えられなかった。
対空ミサイルを発射しようとした兵士が、発射ボタンを押す前に吹き飛んだ。MAGIがミサイルの発射準備動作を検知してから0.3秒だった。
迎撃機が滑走路を走り始めた。離陸する前に爆発した。
何も有効な手段がなかった。
ケルチ海峡。
北朝鮮兵の部隊が崖の上に辿り着いた。
後ろでクリミアが燃えていた。前にケルチ海峡が広がっていた。幅4キロ。春の黒海は冷たかった。
部隊長が叫んだ。
「泳げ!」
銃を持ったまま飛び込んだ兵士がいた。重くて沈んだ。別の兵士が銃を捨てて飛び込んだ。装備を捨てた。靴を脱いだ。軍服を脱いだ。
白波が立った。
4キロ先のロシア本土を目指して、数十人が泳ぎ始めた。
はやぶさ改のセンサーがその様子を捉えた。民間人ではないと判定した。しかし武器を持っていなかった。
MAGIは攻撃命令を出さなかった。
彼らは泳ぎ続けた。
東京。内閣官房。
橘慎一郎は暗号通信を読んだ。
クリミア爆撃72時間。軍事施設の38%が機能停止。迎撃機は離陸した瞬間に落とされている。対空ミサイルは発射と同時に無力化されている。クレムリンから「クリミアを捨てるか」という言葉が出たとの情報が入っていた。
橘は書類を閉じた。
10001号が珈琲を置いた。
「どうなりますか」と10001号が聞いた。
「さあ」と橘は答えた。「ブーチン次第です」
アンコーナ。マリーニの執務室。
雪女が報告した。
「クリミアの爆撃、72時間で軍事施設の38%が機能停止しています」
「いいペースね」とマリーニは言った。タブレットで収益試算を開いていた。「武器弾薬の消費コストは」
「レールガン弾が主体ですので、通常爆撃と比較して著しく低コストです」
「それもまた良し」
マリーニは珈琲を一口飲んだ。
【国際情勢スレ】
1 名無しさん
クリミアの映像やばい
セヴァストポリが燃えてる
2 名無しさん
>>1
軍事施設っぽいところが次々爆発してる
民間被害は出てないらしい
3 名無しさん
ロシア国防省「ウクライナ軍の攻撃を撃退した」
衛星画像「港の軍艦が全部消えてる」
4 名無しさん
>>3
草
5 名無しさん
ケルチ海峡で人が泳いでる衛星画像が出回ってる
服を脱いで武器を捨てて泳いでる集団がいるらしい
6 名無しさん
>>5
北朝鮮兵じゃないのか
クリミアから逃げてるんだろ
7 名無しさん
ウクライナの空でロシア機が一機も飛んでないんだが
8 名無しさん
FEPAが動いたとしか思えない
9 名無しさん
>>8
知らない方がいいやつだと思う




