表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『ドラゴンテイマーと魔人』 ~追放された不遇職の僕は、婚約者だった公爵令嬢と共に、何とか生き抜いていこうと思いました~  作者: 星衛門
2章 ヴァンパイアと赤血種

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/50

41地下都市の事情




 ヒタ…ヒタ…ヒタ…。

 廊下の床を素足で歩く。


 暗い廊下を進むレーナ。


 誰にも出会わないように、身を隠しながら進む。

 今は全裸のため、二重の意味で誰にも出会いたくない。


 一直線の廊下。


 ここまで、進んでも誰もいない。

 静けさだけが残る廊下である。


 けれど、


 「出口?」


 廊下にも終わりがあった。

 廊下の先に、扉があったのだ。


 扉はこれだけ。

 つまり、出口の可能性が高い。


 レーナは心構えながら、扉を開ける。


 扉の外は、


 「街…あの時見た光景」


 ここに転移される時、城みたいな場所に転移された。

 その城の窓から外を見ると、目の前のような地下都市の光景があったのだ。


 そこで、レーナは転移した場所が地下であると知る。


 街一つ分が収まるほどの大きさの洞窟に、土や石で出来た、たくさんの家。

 巨大な洞窟の上には、緑色の光を発するヒカリゴケが生えていた。


 レーナが扉の位置を外から見てみると、小さな施設のような場所にあった。


 始めに転移してきた城ではない。

 恐らく、ベネジクト御用達の研究施設なのだろう。


 レーナは施設を睨みながら、施設から離れて、近くの岩陰に隠れる。


 これから、どうしようか考える。

 果たして、ここから外に出られる場所はあるか。

 それとも、リックの助けを待つべきか。


 暫く考えていたが、


 「っ?!」


 人影を視界の端で見て、身体を強張らせる。


 まさか、ベネジクト?

 そう思い、岩陰から顔を出してみると、それはベネジクトでは無かった。


 代わりに、


 「街の人?」


 普通の衣服を着た人が地下都市を歩いていたのだ。

 見た目的に、街の人のようだが。


 こんなところに、街の人。

 しかも、よく見れば、何人もの人が地下都市の家々の間を何食わぬ顔で歩いていた。


 怪しすぎる。


 そう思って、歩いていた町の人を良く観察していると、レーナは気づく。


 「牙がある。ヴァンパイアですか」


 口から伸びた犬歯を遠目で見ることが出来た。


 つまり、ベネジクトと同じヴァンパイア。


 それは、そうか。

 ここは、どう考えても、ヴァンパイアの街。


 ならば、街の人もヴァンパイアだ。


 厄介だ。

 非常に厄介である。


 この地下都市にいる人がみんなヴァンパイアなら、どれ程のものか。


 公爵であるベネジクトは別格としても、例え男爵クラスのヴァンパイアでも脅威だ。

 ここに居るだけでも、危険である。


 レーナは体を岩陰を使って隠れながら、移動する。


 近くに、石で作られた家があった。

 あそこの窓と思われるところから光が漏れている。


 多分、あの家にもヴァンパイアがいる。


 だけど、レーナはあの家に入ることにする。

 誰かいるのなら、物資があるはずだ。


 そこで服や道具など、使える物を得られるかもしれない。


 レーナは物音を立てぬように家の窓から中を見る。


 「いないのですか?」


 家の中には、見渡した限りだれもいない。


 ランプの光があるのを見るに、誰かが住んでいるのは確か。

 もしかして、外出してる?


 ならば、好都合。

 盗みは良く無いが、今の内に拾える物資を回収せねば。


 レーナは窓から侵入する。

 そして、家の中を見渡し、使えそうなものを探る。


 丁度、使い古された布があった。

 裸であるレーナが一番欲しいもの。


 早速、レーナは布を体に巻き、裸体を隠す。

 胸部や腰回りを隠しただけの簡易的な装うだが、無いよりマシ。


 そうして、身包みを身に着けたレーナは、他に仕える道具が無いか探していると。


 誰かが近づく音が聞こえる。

 不味い、このタイミングで家の主が帰ってきたのかもしれない。


 レーナは言えの中で身を隠す………ことは出来ない。

 家の中は狭く、隠れる場所は無い。


 ならば、仕方が無い。


 「ふっ!」

 「!!な、なんだい?!」


 レーナは近づく足音の主に掴みかかり、そのまま地面に倒す。


 レーナによって倒された人は驚愕の声を出す。

 見た目には、さっき見た街の人のようで、後ろ姿と声から女性。


 でも、自分を引き剥がそうとする腕力は、ここに転移する時に戦ったヴァンパイアほどではないが、普通の人のそれではない。


 彼女もきっとヴァンパイアである。


 「あんた、誰だい!」


 地面に組み伏せられたヴァンパイアの女性が、怒りの声を上げる。


 レーナは冷静に言う。


 「申し訳ございません。出来れば、大きな声を出さないでください。何かしてこなければ、私は貴方に何かすることはありません」


 レーナの言葉を聞いて、女性のヴァンパイアは暴れるのを一旦止める。


 それを見て、レーナは拘束を解く。

 ヴァンパイアの女性は、ゆっくりと立ち上がる。


 女性のヴァンパイアとレーナが対峙する。


 顔は何処にでも良そうな年配の女性。

 しかし、口から鋭い牙から、案の定ヴァンパイアだった。


 大声を出すことは無かった。

 ただ、懐疑的な顔で、レーナを見る。


 「あんたは?」

 「私はレーナと言います。ヴァンパイアではありませんが、貴方と同じ魔人です。漆黒の森の中にあった転移装置で、この地下都市に送られました」

 「漆黒の森?転移装置?…………まさか」


 レーナから聞かされた漆黒の森や転移装置という単語に引っかかる。


 「あんた上から来たんかい」

 「はい。うっかり転移装置に足を踏み入れて、ここに飛ばされました。もう起動していないのかと思いまして」

 「上の漆黒の森にあった転移装置は、大昔に人間があたし等ヴァンパイアを地下に幽閉するために作ったものだよ」

 「幽閉…なるほど、だからこんなにヴァンパイアがいるんですね」


 女性の話を聞くに、どうやら、この地下都市は大昔の人間によって幽閉されたヴァンパイアが作った街のようだ。


 数百年前、人と魔人は戦争をした。

 魔人の圧倒的な力を前に、人は【ジョブ】と魔道装置で対抗していた。


 あの転移装置は、その名残だ。


 「あんた、あの城に転移されたのに、よく無事だったね」

 「……………無事ではありません。ヴァンパイアの公爵の研究対象にされました」


 レーナは研究という名の拷問を受けた記憶を思い出し、顔をしかめる。


 それを聞いて、女性のヴァンパイアは目を見開く。


 「研究対象?!まさか、あんた!ベネジクトのとち狂った研究を受けたんかい!」


 女性の顔には、怒りの顔があった。

 公爵であるベネジクトを呼び捨て。さらに、彼女からはベネジクトに対する憎悪が見えた。


 そこから、女性の話を聞くに、この地下都市は唯一である公爵のベネジクトが治める街であり、ここに住む多くのヴァンパイアはベネジクトの支配に怯えて生きているそうだ。


 「この街のヴァンパイアの多くは、男爵以下の爵位無しヴァンパイアだよ。男爵以上、ましてや公爵であるベネジクトからは、見下される対象さ」


 ヴァンパイアは爵位で強さが変わる。

 公爵であるベネジクトである公爵は別格に強さだった。


 想像するに、男爵以上は貴族で、男爵も持たぬヴァンパイアは平民みたいなものか。


 故郷のセイクリッド王国でも、貴族が平民を見下すことはよくある。


 「数百年前に多くのヴァンパイアが、この近い転送されて、幽閉されたけど、どこにも出口は無かった。そんで、ヴァンパイアだって、食べなきゃ生きていけないから、一定の帰還になると、城に住んでる男爵以上のヴァンパイアが私達のような爵位を持ってないヴァンパイアを食うのさ」

 「ヴァンパイアがヴァンパイアを食べる?初耳です」

 「ヴァンパイアは何も無い状態でも、数年は耐えることは出来る。でも、ずっとじゃない。だから、共食いをする形で、数百年間生きながらえてきた」

 「何と……惨い」

 「でも、あの公爵であるベネジクトは、私たち爵位無しヴァンパイアを食べるだけでなく、研究の対象にしてるのさ」


 そうか、彼女のベネジクトへの憎悪が分かった。


 確か、レーナがベネジクトに初体面した際、部屋にあった研究用の道具には、多くの血が付着していた。

 あれは他のヴァンパイアの血だったのだ。


 恐らく、研究対象のヴァンパイアは死んでいる。


 狂っているのか、研究熱心なのか、ベネジクトは他のヴァンパイアを犠牲にしているのだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ