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第794話「リオネルよ。この私が頼む、戻ってくれと言っても……もう遅いのだな」

リオネル達が案内された部屋には、

ソヴァール王国宰相フェリクス・ソヴァールが、専用の応接室で待っていた。


表向き、平然とし、柔らかな笑みを浮かべていたが、とんでもない。

『たぎる怒り』を抑えているのが、発する心の波動からリオネルには分かった。


何せ、デスタン伯爵家は何代も続く、伝統ある譜代の家柄。


王国の上級貴族として、普段の振る舞いが問われる立場である。


初犯の際は、父たる伯爵、息子ガエルともども、

反省をし、二度としないと誓ったので、

フェリクスは『寛大な心』で、『厳重注意』&『誓約書』で許したのだが、

次は無い!と思っていたから尚更なのだ。


そんな激オコのフェリクス。


人間族には無い、ヒルデガルドの透明感あふれる美しさに息を呑む。


そして、ローランドからの各自の紹介、対するあいさつが終わると、

落ち着き、少し機嫌が直って来たようである。


更にローランドからは、先ほどリオネル達へ伝えた通り、

デスタン伯爵家の処分案を話して行く。


じっと聞いていたフェリクスは、大きく頷く。


「ふむ、私も証拠は全て見たし、侯爵と共に、デスタン伯爵とその子息ガエルの取り調べも行った。ふたりは、最早言い逃れは出来ぬと罪を認めた。で、侯爵、確認だ。デスタン伯爵家への処罰は、三段階落ちたる騎士爵への爵位降格、被害者ナタリー・モニエへの賠償金の支払い、かつ一族全員の王都追放、改易、かつ僻地への転封か」


「は! 殿下! おっしゃる通りです!」


「……うむ、先日、侯爵から聞いた通りの処罰だな。それで問題無い。進めてくれ」


「はい! かしこまりました!」


「ふむ、そしてナタリー・モニエよ」


「は、はい! 宰相殿下!」


「……王都の、愚かな、ふらち者どもが、(なんじ)へ大変な迷惑をかけたな」


「い、いえ! 侯爵閣下と、リオネル・ロートレック様のご尽力により、すみやかに解決して頂きました!」


「ふむ、そうか……」


「はい! もう大丈夫でございます!」


「うむ! あい分かった。ならば、以降、健やかに暮らすが良い! 王国からも、別途賠償金を支払う! 受け取るが良い!」


ここで下手に辞退すれば、角が立つ。


ナタリーは素直に受け取る事にする。


「お気遣い頂き、ありがとうございます!」


「うむ」と頷いたフェリクス。


次に王都支部ギルドマスターへ視線を向ける。


「それとギルドマスター」


「は、はい!」


「冒険者ギルド総マスターたる侯爵には、まず私から詫びたが、王都支部にも多大な迷惑をかけたな」


「いえ、と、とんでもありません!」


「いや! とんでもなくはない! デスタンめ! 王国の上級貴族たる立場にありながら、馬鹿息子ガエルが王都市民へのふらちな振る舞いを行うのを放置。それに伴う、冒険者ギルドへの営業妨害! 全てが、我が国の体面にかかわる! それも一度ならず、二度までも! 誠に許しがたい!」


きっぱり言い切るフェリクスへ、ローランドが言う。


「同意でございます、殿下。先ほどご決済を頂いた処罰を粛々と進めます」


「ふむ、侯爵、頼むぞ!」


「は! それとガエルの手先となっていた愚連隊どもの処罰ですが、こちらも殿下がおっしゃっていた通り、私に任せて頂けるという事で宜しいでしょうか?」


「うむ!」


「実はこの愚連隊約400人、既に、ここに居るリオネル・ロートレックが制圧し、配下としております」


「な、何!? リオネルがか!? 400人もの愚連隊を配下にと!? 彼はまだ! この王都バルドルに来て、間もないというのにか!」


「殿下が疑問にお思いになるのは、当然です。ただ、論より証拠でございます」


「論より証拠か」


「はい! リオネルが愚連隊どもを従えてから、奴らは更生を誓い、不法な商売、行為を一切やめ、真面目に働いております」


「ふむ、真面目にか」


「はい! 最近、閣下は愚連隊どもの乱暴狼藉の報告を受けておりますかな」


「ああ、そう言えば、確かにここ最近、衛兵隊から、愚連隊による被害の報告が無い」


「はい! そして先ほどリオネルと相談し、奴らの処罰の概要をまとめました。お聞き頂けますか?」


「うむ、聞こうか」


「は! 愚連隊どもには、早朝における王都各所の清掃、及び夜間パトロールを10年間、無償で行わせようと思います!」


「おお、清掃とパトロールを10年間無償でか!」


「はい! 奴らに贖罪として、王都を隅々まで綺麗にさせるのと、慢性的に人手不足たる衛兵隊の補助をさせ、王都の治安向上もはかるのです」


「うむ! 成る程!」


「そして10年勤めあげたら、更に王国で奴らを雇用し、引き続き、従事させるのです」


「ふむ! であれば、王国が管理監督する事にもなり、奴らが再び悪事に走る可能性も低くなる、というわけか」


「御意!」


「良いだろう! 侯爵、それで進めてくれ!」


「ありがとうございます。これは全てリオネル・ロートレックの発案です」


「おお、リオネルのか?」


「はい! ちなみに!」


「おお、侯爵、まだあるのか?」


「はい! 他の愚連隊にもリオネルが声をかけ、今の所はですが、皆、おとなしくしております」


「何! そうか! さすがは冒険者ギルドランクSのドラゴンスレイヤー、リオネル・ロートレックだ! 我がソヴァール王国の誇りである!」


フェリクスはそう言うと、満面の笑みを浮かべたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


……それから、フェリクスとローランドしばし話をし、

デスタン伯爵の話は終わった。


リオネル達の希望はほぼ通り、

ナタリーが、悩まされる事はもう無いだろう。


デスタン伯爵の話が終わると、一転、

フェリクスから発する不機嫌な波動が、ガラリと変わる。


先ほど、リオネルを褒め称えた時もそうであったが、

嬉しさと喜びの波動に変わったのである。


「リオネル・ロートレックよ」


「はい! 宰相殿下!」


「ふむ、単刀直入に聞こう。(なんじ)はこれからどうするのだ?」


フェリクスの質問は『想定内』である。


事前にヒルデガルドとは勿論だが、ローランド、ブレーズとも話をしている。


「はい、王都での用事を済ませたら、こちらにいらっしゃるヒルデガルド様の祖父イェレミアス様とのご契約が継続中ですので、イエーラへ帰還し、政治顧問の任に戻ります」


「ふむ、そうか。政治顧問として、イエーラへ帰還するか。で、その契約が満了となった後は、どうするのか?」


「はい、既に契約を延長しておりまして、多分、契約は無期限に近くなるかと思います」


これは、ある意味本当である。


リオネルの契約期間は、特に記載が無く、

どうするのかは、リオネル本人が決める事となっているから。


「無期限……そうか……我がソヴァール王国に戻るという選択肢は無いのかな?」


「はい、現在進行中、そして計画立案中の施策がイエーラには数多あり、全て遂行し、完遂するとなれば、一生をかける仕事になると考えています。それゆえ、今後ソヴァール王国へ戻る可能性は、限り無く、低いと思います」


「一生をかける、そしてソヴァール王国へ戻る可能性は限り無く、低い……そうか……」


ここで「はい!」と挙手をしたのは、ヒルデガルドだ。


「宰相殿下!」


「ふむ、何であろう、ヒルデガルド様」


「はい! リオネル様が、祖父との契約を延長したのは勿論ですが、既に、イエーラの国籍も取得されております。それゆえ、リオネル様はイエーラの国民でもあるのです!」


「そうか……リオネル・ロートレックは、イエーラの国民でもある、か」


「はい!」


「うむ、リオネル・ロートレック。いや、リオネル・ディドロよ」


フェリクスは、いきなりリオネルの本名を呼んだ。


念の為、これはローランドが告げたのではない。


フェリクスは、自分自身でリオネルの出自を調べ、真実を認識していたのだ。


しかし、これもリオネルの想定内。


なので、リオネルも平然としていた。


但し、最早リオネルはディドロではない。


それゆえ、失礼ながら、返事はしていない。


「以前、私は失脚した汝の父ジスランと話した事がある。ディドロ家の3男はどうなのかと? 変に勘が働いたのだ」


「そうですか」


「うむ、もしも3男が優秀であり、名を上げ、他国の王家へ迎え入れられたり、国外で、仕官などしたらと懸念してな」


「成る程」


「当時、ジスランには笑い飛ばされてしまったが、その勘は、不幸にも当たってしまった。ジスラン! ……あの愚か者の節穴めが! 大いなる国益の損失だ!」


憎々し気に言い放つフェリクスであったが、苦笑。


「リオネルよ。この私が頼む、戻ってくれと言っても……もう遅いのだな」


と更に言い、リオネルを見つめ、悔しそうに歯を噛みしめたのである。

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