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心喰い  作者: ラム肉
9/12

容疑者

――「まだ出来ねぇのか蓮」


「まぁまぁ、向き不向きがあるし。仕方ないよ」


あれから、日が昇り始めたのが分かる頃まで二人は、色々試行錯誤をしながら教えてくれていた。しかし僕は依然として血の感覚を掴めずにいた。


「しゃあねぇ、今日はもう辞めてまた夜にするぞ」


「え、僕はまだ出来るよ」


「いくらここは人が来にくい、と言ってもそろそろ人間は動き始める時間帯だからね〜仮に成功しても、見られてたり聞かれてたりしたらめんどくさいしね」


たしかにそうか


「何話してんだ帰るぞ」


「はいはい」


――「よっしゃ!花見酒と三光だ!」


なんだって?!


「なぁ、菫これもう勝ちだよな?」


「そうだね〜」


「よっしゃ!三光、花見酒、月見酒であがりだ!」


「青短もあるよ」


「あれ?そうか」


「三光、花見酒、月見酒、青短だね」


「まぁいいや!どっちみち俺の勝ちだ!」


おかしいなさっきまで五光あがれてうっはうはだったのに。


「さっきまで勝ってたのにな〜」


「はっはっは!お主も雑魚よのぉ」


「さっきまで一回もあがれなくて泣きそうになってたのは誰だい」


「それを言うなよ菫〜」


さて、何故僕らが花札をしているかと言うと理由は単純。暇だからだ。

喰らう者は基本睡眠も必要としないので皆色々な事をして時間を潰しているらしい。と、言う訳でひとまず菫さん提案の花札をしていた訳だ。


「暇だな、外でも行くか」


「えっ大丈夫なの?」


「まぁ、人間からは喰らう者と人間の見分けなんてつかないからね。大丈夫大丈夫。あ、私はやる事があるから留守番してるね」


「そしたら行くぞ蓮。あ、そうだ」


と、言うと神無は僕の頭に深く帽子を被せてきた


「お前は一応顔見えないようにしとけ」


「なんで?」


「一応だ一応。蓮の両親が死んで蓮だけが居なけりゃ蓮が犯人の最有力候補になってる可能性もあるからな」


「あ、なるほど」


――「それじゃ菫さんいってきます」


「行ってらっしゃい」


うわっ眩しっ…


「久々に昼間に外出たら太陽が眩しいだろ?」


「うん、めっちゃ眩しい。神無は大丈夫なの?」


「俺はもう慣れてるからな、どうってことは無い」


うぅ、眩しいし暑い。昼間はこんなにも過酷だったのか…


「お、おいあのテレビ見てみろ」


「この事件に対し警察は、現場から遺体が見つからなかった息子の蓮さんを最有力の容疑者として追っています。見かけた方は電話番号…―」


「な?一応隠しといて良かっただろ?」


「あ、あぁ…」


まさかほんとにこんな事になってるなんて


「ははっ、良かったな蓮」


「何が?」


「テレビに出られた上、有名人になったじゃねぇか!」


一発殴っとくか?


「まぁ暫くはあんま目立たねぇようにしねぇとな」


「…そういえば神無とか菫さんは大丈夫なの?」


「ん?どゆことだ?」


「いや、二人は警察に追われたりしてないのかなって」


「そういう事か。俺も菫も今の警察組織が出来る前から喰らう者だからな。菫に至ってはそもそも捕まえたり裁く組織がねぇ頃とかかもしれねぇけど」


「二人とも思ってたより昔から喰らう者なんだね」


「ま、そうだな。でもお前も後数年でも経てばそのうち忘れられるさ。そもそも実際襲ったのはお前じゃなくて堕天使な訳だしな」


たしかにそれはそうか。


「っと、あぶねぇあぶねぇ。通り過ぎるところだった」


ここは…?

いや、ほんとになんだ?…外壁はツタだらけで暗いし、ほんとに建物かここ?


僕が若干不安になるような見た目の建物?の外壁の植物を避けて扉のような場所から神無はスタスタと入っていった


「蓮!そんな所に突っ立ってないで早く来い。んな怖がらなくても別に取って食おうって訳じゃねぇんだ」


うーー…行くしか無い…か…

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