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心喰い  作者: ラム肉
最終章
34/35

純白の彼岸花

「僕にとっての正義は、桔梗さんを信じてお前を殺す事だ!」


「そうか。なら、死ね!」


そう言って能力で作った鎌…あれは神無の鎌だ。

その鎌は僕の首目掛けて飛んできた。


「葉桜」


その瞬間僕の視界と鎌は赤い葉で覆われ、死神の腕も僕の首から離れた。


「ハハッ、まじかよてめぇ。さっきまで死にかけだったじゃねぇか」


「信念、だったか?私にとっての信念は私の思う正義を遂行する事だ!例えそれが偽善だとしてもな!」


「そうかそうか。いやぁ〜ご立派なこって。ならなぜ俺を助けなかった」


「馬鹿を言うな。私だって誰彼構わず助ける余裕がある訳じゃない。お前は一人でも耐えて生きていける、一人だからこそ強いと思ったから助けなかった。そんな事も分からないのか」


「黙れ、黙れ黙れだまれだまれ!」


そう言って死神は背中には堕天使から奪ったであろう翼が、両手に構えた大きな鎌を作り出した。

その時丁度桔梗さんの左腕も治った。


「蓮!私ももう血がある訳じゃない!かなり弱っているからな、一気に勝負をつけるぞ!」


「はい!」


桔梗さんは背後に桜の大樹、足元には彼岸花、更に自分の体に絡める様にに蓮の花を生み出した。


「蓮!あいにく私は近接戦が苦手でね!蓮があいつに直接拳をぶつけてくれ!私は援護する!」


「了解しました」


死神に向け駆ける僕に向かって死神は羽根を飛ばしてくる。

そしてその羽根を桔梗さんの桜の花びらが受け止め、僕はただ死神目掛けて駆け抜ける。


「おおぉぉぉぉ」


ダンッ!


僕の拳が死神に当たる寸前に翼を盾にし、僕の拳と死神の翼がぶつかり、辺りに鈍い音が響く。

たしかにこの硬さは堕天使と同じだ。


「けど軽い!」


そのまま僕は全力で拳を振り抜き、死神の体は家の壁をいくつも壊してようやく止まった。


そしてその死神に向けて桔梗さんは薔薇を投げ、僕は更に近付く。


「ハッ、ハッハッハッ。やるじゃねぇかガキ、いいぜ俺も全力で相手をしてやる!」


そう言った途端家の原型が無くなる程家やあたりの地面が吹き飛んだ。


「やっぱ菫の能力はやべぇな」


僕は更に追撃を加えようと近付いたが、その瞬間一瞬香ってきた懐かしい香りに力が緩んだ。

その隙を狙ってか、死神の拳が僕の体にぶつかり、その衝撃は僕の体を突き抜けた。


「ッハァッ!」


まずい、喉を締められていたせいか息がっ。


「じゃあな 」


死神が僕にトドメ刺そうとする。桔梗さんの能力も、先程の衝撃で吹き飛ばされてしまい、死神の鎌が僕の首を切るほうが早いだろう。


一か八か!


僕は死神の鎌が首に当たる瞬間、首の筋肉を一気に堅める。


次の瞬間、僕の首にひんやりとした死神の刃が当たる。


――ミシミシッピキッ


それが功を奏したのか、死神の鎌の方が先に砕けた。


「チッ!」


死神の次の攻撃が届くより先に桔梗さんの花が届くと思ったのか、死神は一度僕から離れ、下がった。


「大丈夫か?!」


「はっ、はい何とか」


「このままじゃ勝てそうにないな…蓮、私がしばらく死神の相手をしているからその間に君の全力を死神にぶつけられるようにしておいてくれ」


「でも桔梗さん近接戦は」


「私を誰だと思っているんだい?苦手という言葉はあれど、不可能という言葉は私の辞書にはない!」


そう言って桔梗さんと死神、二人の間合いがぶつかる。先手を取ったのは能力の差で桔梗さんだった。

しかし死神も善戦している、それどころか桔梗さんが少し押され気味だ。


全力、全力…


「スゥー…フゥー」


そうだ。


「今だ!蓮!」


名も知らぬ誰かさん、ごめんなさい。

そんなことを考えながら僕はゆっくりと自分の足元を見る。


「ギャー」


足元にはまだ猟師の死体が残っていた。見開いたままの目が僕の目と合う。


一瞬目が動いた?!


そう思ったと同時に、僕の足は全力で逃げようと、死神の居る方向へ地面を蹴る。

僕昔から心霊系だけは無理なんだよな。


「行け!蓮!」


その僕のあまりの速さ故か、死神の反応が遅れ、僕の拳は死神の上半身を大きく吹き飛ばす。


「残念だったな!喰らう者はこの程度じゃ死なねぇ…ゴフッ」


そのまま死神は地面に倒れ込んだ。


「桔梗…お前…何かしやがった、な…」


「ちょっと君の血を抜いていただけさ。蓮!ありがとう助かったよ!」


そう桔梗さんの声が聞こえ、死神が死んだのを見て僕の体もゆっくりと地面に倒れる。

それを桔梗さんが慌てて止めたが、僕はもう助からないと思ったのか膝枕の体勢になった。


「桔梗さん…死神は…」


「あぁ、間違いなく死んだよ」


「そう、ですか…良かった」


「…残念ながら蓮、君も死ぬだろう」


「でしょうね…まさか僕の拳が当たったと同時に…あんな攻撃が来るとは…」


「蓮、まだ目は見えるかい?」


「はい」


「実は私はまだ君に見せていなかった技があってね」


そう言うと、辺り一面には白い…おそらく透明な彼岸花が咲き誇った。


「どうだい。綺麗だろう?最も戦闘には使えないがね」


「…」


「そうか、」


…「なんの因果かねぇ。この土地から全てが始まり、全てが無くなり、この土地で終わりを迎えるなんて」

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