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フラワーボーイズ  作者: TTT


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第0話:ネット弁慶とパイナップル男の夜

ネットの大口、リアルじゃコミュ障!?

ここは、サラリーマンで賑わう居酒屋の片隅。

謎のパイナップルをきっかけに、世界一不揃いな4人の物語が幕を開ける――。

『フラワーボーイズ』誕生の瞬間(第0話)、お楽しみください!

「……本当に来るよな?」


金曜日の19時。サラリーマンの喧騒で賑わう居酒屋の、狭い4人掛けの座敷。

俺、しょうた(25)は、生ビールが一杯だけ置かれたテーブルを前に、さっきから何度もスマホの画面を確認していた。


SNSで『YouTubeで天下を取りたい。本気で動画を作りたい奴、集まれ』と大口を叩いた募集をかけたのは、他でもない俺だ。


ネット上では「やりましょう!」「俺のアイデアならバズります!」と熱いレスポンスをくれた面々。だが、リアルで会うとなれば話は別だ。バックレられて、一人でこの席代を払う羽目になるんじゃないかと、心臓がずっとバクバクしていた。


「あの……すみません。もしかして、しょうたさん……ですか?」


おそるおそる声をかけてきたのは、細身で眼鏡をかけた、いかにも真面目そうな男だった。


「あ、はい! しょうたです! もしかして……」

「たける(26)です。よろしくお願いします」


ネットでは『タイムスケジュール管理と進行、機材の選定はお任せください』と冷徹なほどロジカルな文章を打っていた男だ。リアルで会うと、想像以上にインテリな雰囲気を醸し出している。


「あ、座ってください! 初めまして!」

「初めまして。……あ、どうも」


対面で座ったものの、お互いビールジョッキを前にして視線が泳ぐ。ネットではあんなに熱く語り合ったのに、リアルな空間だと、何を話していいか分からない。絶妙にぎこちない空気が流れる。


そこへ、ドタドタと騒がしい足音が近づいてきた。

「うおっ、ここか!? すみませーん! 遅れましたッ!!」


勢いよく襖を開けて入ってきたのは、がっしりした体格の男。最年長のかずとさん(28)だ。ネットでは『オラァ!絶対バズらせるぞ!!』と大文字とビックリマーク連発だった男だが……。

「あ、えっと……かずとです。初めまして、よろしくお願いします……!」


席に座った瞬間、急に小さくなってペコペコと頭を下げた。緊張のあまり、顔がガチガチに強張っている。ネットの弁慶っぷりはどこへ行ったんだ。


「あ、残りの一人……たくみくんがまだですね」たけるがスマホを見ながら言う。最年少のたくみ(24)は、ネットでは『お笑いの天才です。僕の脳内は常にエンタメで満たされています』と豪語していたが、15分の遅刻だ。


そのとき、ガラッと襖が開き、一人の青年が無言で入ってきた。キャップを深く被り、なぜか片手に大きなパイナップルを抱えている。


「……たくみ、です」


ボソッと呟き、俺たちの反応を伺うようにパイナップルをテーブルの真ん中にゴトッと置いた。


「……え?」


俺、たける、かずとさんの3人の動きがピタッと止まる。居酒屋の座敷に、謎のパイナップルと、重苦しい沈黙。ぎこちなさは、ついにピークに達した。


「あ、あの……たくみくん、そのパイナップルは……?」

俺が勇気を出して聞くと、たくみはボソッと答えた。

「……初対面のインパクトとして、何が良いか考えて……。本当はスイカが良かったんですけど、時期じゃなくて……」

「いや、チョイスおかしいだろ!」


俺が思わず突っ込むと、それまでガチガチだったかずとさんが、突然ぶふっと吹き出した。「ギャハハハ! お前、最高だな! 緊張して損したよ! すみませーん、生ビール3つ追加で!」


急にいつもの大声を取り戻したかずとさんに、たけるが呆れたようにため息をつく。

「たくみ、飲食店への果物の持ち込みは本来マナー違反です。……まあ、面白いですけど」


パイナップルという謎のオブジェクトをきっかけに、張り詰めていた空気が一気に緩んだ。


お互いにビールが行き渡り、乾杯する。まだ、お互いの本名も、仕事も、どんな人間かも完璧には知らない。ネットのプロフ以上の情報は何もない。それでも、酒が進むにつれて、動画への熱量がポロポロと溢れ出してきた。


「俺、とにかく大声出して、見ている奴らを元気にしたいんですよ!」とジョッキを干すかずとさん。


「僕は、誰も見たことがないシュールで新しい笑いを作りたい」と目がガチになるたくみ。

「僕はやるからには数字を出したいです。これが僕の考えた、3ヶ月分の投稿スケジュールと企画案です」と、居酒屋のテーブルに早くもノートPCを広げるたける。


みんな、やりたいことも、アプローチの仕方も、性格も、バラバラだった。

真面目にガチガチにやりたいたけると、とにかくふざけて盛り上げたいかずとさん・たくみ。

この時点で、二つの異なる方向性の空気感は、すでに芽生えていた。


だけど、俺はそんな3人を見て、胸の奥が熱くなるのを止められなかった。


「……決めた」

俺はジョッキをテーブルにドン, と置いた。

「チーム名は『フラワーボーイズ』。俺たち4人で、YouTubeのてっぺん、獲りに行こう」


「フラワーボーイズ? なんで花なんですか?」とかずとさんが笑う。

「……ダサくて、逆にいいですね」とたくみがニヤリとする。

「僕はもっとマーケティングを意識した名前が良いと思いますが……まあ、しょうたがそこまで言うなら、これでスケジュールを組みます」

とたけるがキーボードを叩く。


誰も、完璧に相手のことを分かっちゃいない。これからどんな問題が起きるかも、どんな衝突があるかも知らない。

だけど、この居酒屋の狭い一室から、俺たちの物語は確かにスタートしたんだ。

第0話(プロローグ)をお読みいただき、ありがとうございました!

性格もやりたいこともバラバラな4人が、ついに『フラワーボーイズ』として動き出しました。

果たして、この凸凹メンバーで本当にYouTubeのてっぺんを獲ることができるのか……!?

 

「この4人の配信、見てみたい!」「続きが気になる!」と思ってくださった方は、ぜひページ下部の【☆評価】や【ブックマーク】をポチッと押して応援してもらえると、4人が大喜びします!

よろしくお願いします!

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タイトルが「フラワーポーイズ」になっていますが、”ボーイズ”ではない?
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