第43話 九州の覇王(完)
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第43話 九州の覇王(完)
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永禄8年10月。
儂は東福寺城に入り、論功行賞を行った。
最初は薩摩国で最後まで抵抗した島津貴久・義久親子への沙汰だ。
「修理大夫(島津貴久)には、俸禄2,000石を与える」
領地は残さない。
儂に仕えることで、2,000石の扶持を得るのだ。
「感謝申しあげますする」
奥歯を噛みしめる音が聞こえてきそうだな。
特に義久は納得できていないようだ。
だが、儂は激しく抵抗した者に多くを与えるほど、度量は広くないのだ。
あと、島津四兄弟を野放しにすると、めっちゃ怖い。
だから、目の届くところに置いておく。
島津四兄弟は砲撃で死ぬことなく、しぶとく生き延びた。
せっかく生き延びたのだ、宗像のために身を粉にして働いてもらおう。
さて、今回で九州は統一したことになる。
よって、外様の家臣や従属者たちへの褒美にかこつけ、先祖代々の土地から引きはがす。
一部、阿蘇のような神官は武将ではなく神官として地元に残すが、その程度だ。
宗像がその神官係の家なだけに、やっぱり強くは出られないんだよね。神官には。
外様で最も大きな家は、秋月の100,000石と肝付の105,000石だろう。
秋月はすでに先祖代々の土地から離しているが、今回の九州統一において当主種実が何度も傷を負いながら前線で戦い続けた。
「秋月左兵衛尉(種実)には、豊後国海部郡、大野郡、大分郡、合わせて161,000石に移封とする」
「はっ、感謝申しあげまする!」
芽衣のためによく頑張った。
褒めてやろう。
「次に肝付三郎(兼続)には、肥後国飽田郡、託麻郡、山本郡、宇土郡112,000石に移封とする」
「か、感謝申しあげまする」
不満そうだが、加増なのだから文句は言えない。
これで大きな外様の移封は終わった。
次は重臣らの移封だ。
「東部方面軍を率いた弾正忠(吉田兼致)には、日向国、及び大隅国、合わせて458,000石の差配を任せる」
「はっ! ありがたき幸せ!」
吉田兼致が涙を滲ませ、平伏する。
実質的に2カ国の国主なのだ、我が宗像随一の家臣となったということだ。
吉田兼致には筑紫惟門、龍造寺胤栄、赤星親隆、城親冬らを与力としてつけて、兼致の領地内に所領を与える。
「西部方面軍を率いた右馬助(占部氏時)には、薩摩国、及び肥後国八代郡、葦北郡、球磨郡、合わせて396,000石の差配を任せる」
「ははぁぁぁぁぁっ!」
占部氏時のほうが少ないのは、島津の釣り野伏せにはめられ、大きな被害が出たからだな。
それがなければ、あと50,000石くらいプラスしてもよかった。
占部氏時には、少弐冬尚、宇久純定、名和顕忠らを与力でつける。
2人に外様の管理を任せるように見えるが、大領を管理するには多くの者が必要だ。
その人員を配置したに過ぎない。
「三河守(許斐氏任)には、豊後国の差配を任せる。秋月は三河の与力とする」
「はっ。ありがたき幸せにございまする」
与力に秋月を入れるが、上手くやってくれるだろう。
「越前守(土橋氏康)には、筑後国の差配を任せる。西牟田左衛門大夫(親氏)と高橋左衛門尉(鑑種)を与力につける」
「ははぁぁぁぁぁっ!」
号泣しているよ……。
1国を差配するのだから、嬉しいのだろう。
「貞安には、豊前の差配を任せる。与力として立花兵庫頭(鑑光)をつける」
「感謝申しあげまする!」
これで豊前、豊後、筑後、日向、大隅、薩摩の責任者が決まった。
残りの筑前、肥前、肥後の大部分は儂(宗像)が差配する。
もちろん多くの家臣・従属臣らの領地もあるが、宗像の直轄領は80万石近い。
そこに貿易などで得られる利益と、ガチャのおかげで得られる利益がプラスされるのだから、経済的にはめっちゃ裕福だ。
銀の輸出だけで膨大な利益を得られているのだから、マイナスになりようがないな。
これでマイナスになったら、どれだけ暗愚なんだって感じだ。
そうそう、鍋寿丸を殺したヤツらは、今回の戦いで討死している。
本当は儂のこの手で殺してやりたかったが、大ぴらに殺すわけにはいかなかったので、死んで当然という場所に配置した。
近親者も同じように死んだので、必然的に家は滅んだことになる。
四肢を切り落とし、烏に腸や目玉を食わせて殺してやちたかったが、これで我慢した。
主導者は力丸真元とその一族だ。
力丸真元は権擬大宮司なんだが、儂が当主の座に就くのが不満なのがよく分かるヤツだったから、窓際に座らせていた。
それでも儂が所領を増やしていき、九州の多くを得ると方針を転換したようだ。
儂に擦り寄るために、自分の身内を儂の側室に入れようと画策するようになった。
できればその側室が生んだ子を当主にしたいが、千寿丸は厳重に守られているから手が出せない。
そこでターゲットを鍋寿丸にしたのだ。
鍋寿丸はジイ様の跡を継ぐことが決まっていたので、その遺領を側室が生んだ子にと考えたようだ。
そもそも力丸真元の一族の者を側室にするなど、まったく考えてもいなかったのに、何を考えているのか。
儂にはこいつらの考えが理解できない。理解できないが、自分たちに都合のよい考え方をするヤツはいくらでもいる。
これからもこういうヤツが出てこないとは限らない。だから、家臣らの動向を探らなければいけない。そして千寿丸を守っていかないといけないと、決意を新たにしている。
さて、多くの家臣たちの加増・移封を行った儂は、皆を見渡した。
「皆のおかげで九州を統一できた。感謝する」
わずかだが頭を下げる。
「お主らの献身があったればこその九州統一だ」
「勿体なきお言葉!」
皆が号泣する。
男泣きだ。
暑苦しいが、不思議と嫌な気分にはならない。
「殿、今後は京に上るのでございますか?」
キラキラした目で見てくる土橋氏康の問に、儂は少し考えて頷く。
「足利将軍が殺され、畿内は混沌としておる。それでは民らも不安であろう。よって儂がこの日ノ本を従え、民に安寧を与える」
「「「おおおおおおおおっ!」」」
「次は毛利だ。儂を裏切った毛利を滅ぼす。意見はあるか?」
「ございませぬ! 毛利のおかげで殿は悲しい思いをしたのです! 必ずや滅ぼしてみせましょう!」
「土佐守(嶺氏兼)よ、嬉しいことを言ってくれる。其方の働きに期待しておるぞ」
「お任せあれ!」
こうして儂は九州を統一し、次の目標を中国(山陽・山陰)に決めた。
毛利は宗像を警戒し、周防と長門の戦力を温存しつつ安芸と備後の戦力で石見を攻めている。
尼子晴久が死んで間もないとはいえ、この程度で落とされるほど尼子は甘くない。
おかげで毛利は石見銀山をまだ取り返すことができずにいる。
そこら辺は史実と誤差が出てきている。
そもそも小早川隆景が亡くなっているため、毛利は史実と大きくかけ離れた歴史を紡いでいる。
しかも、小早川隆景についで当主の毛利隆元も亡くなっている。
こちらは史実通りだが、謀神(毛利元就)はさぞ肩を落としていることだろう。
ざまあ、だ。
吉川元春を殺せば、毛利はガタガタだろう。
宗像を裏切るという大失敗を犯した報いを受けてもらうぞ、謀神。
待っていろよ、謀神。
お前のせいで秋月が裏切り、その結果として鍋寿丸が死んだのだ。
儂は絶対にお前を許さん。
▽▽▽ 完 ▽▽▽
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