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【TS幼女転生王族スローライフ】姫殿下(三女)は今日も幸せ♪ ~ふわふわドレスと優しい家族に囲まれて★~  作者: 霧崎薫


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第三百六十二話「七色の石畳と、シャルロッテの『希望の雨の収穫』」

 それからもずっと、リアンの「静かな呼吸」と「無言のダンス」の儀式は、城下町の日常の一部となっていた。リアンは、毎日、石畳のミニチュア薔薇を見て、シャルロッテの愛を感じ、献身を続けた。しかし人々の無関心と、侮蔑的な視線は変わらないままだった。


 しかし、リアンが、石畳に送り続けた「静かな呼吸」が、大地に吸い込ませた「人々の心の重荷」は、限界に達していた。その魔力的な重圧は、城下町全体に、微細な「心の疲弊」として広がり始めていた。



 リアンは、その危機を察知し、その日の午後三時、交差点の石畳の真ん中に立った。彼の顔は、献身的な疲労で、とても青白く痩せこけていた。


 リアンは、自分の影ではなく、太陽の光に向かって、「人生で最も激しい、そして最後のダンス」を踊り始めた。彼の体から放たれる魔力は、大地に吸い込んだ全ての人々の心の重荷を、一気に引き上げようとしていた。


 彼のダンスの動きは、次第に荒々しくなり、石畳は、リアンの体の負荷に耐えかね、その骨は音を立てて軋み始めた。



 人々は、リアンの狂気に驚愕した。マルタおばさんは、交差点の真ん中で踊り続けるリアンの姿を見て、ついに、彼の行動が「狂気」ではなく、「献身」であることに直感的に気がついた。それは町の人々も同様だった。


「彼はいったい……」

「この行動はもしかして我々のため……なのか……?」

「そんなばかな……だが、この魔力の波動はどうだ……」


 人々から声が洩れたその瞬間、リアンの体から、大地に吸い込まれた全ての人々の心の重荷が、「冷たい、黒い雨雲」となって、交差点の上空に一気に噴き出した。雨雲は、城下町全体を覆い、人々は、その黒い雲から発せられる「自己の心の澱」の重さに、息を飲んだ。



 リアンは、その「黒い雨雲」を、自分の体に受け止めようと、両手を広げた。その瞬間、シャルロッテが、モフモフを抱き、交差点の真ん中に駆け寄った。


 シャルロッテは、リアンの許へ、優しく、しかし確かな声で語りかけた。


「ね、リアン兄様。全部一人で抱え込まなくていいんだよ! 半分は、シャルの愛で包んであげる!」


 シャルロッテは、光属性と変化魔法を融合させた。


 彼女の魔法は、リアンの体に降り注ごうとする「黒い雨雲」に、「愛の光の祝福」を与えた。雨雲は、黒い絶望ではなく、七色の虹色の光の雨へと変貌し、城下町全体に降り注いだ。



 虹色の雨を浴びた人々は、心の重荷が浄化され、深い安堵と、愛という名の幸福感に包まれた。


 リアンは、自分の献身が、シャルロッテの愛によって最高の形で成就したことに、静かに、しかし力強く微笑んだ。彼は、もはや「孤独な芸術家」ではない。


 シャルロッテは、リアンの手を握った。


「ね、リアン兄様。兄様の献身は、もう終わったよ。これからは、自分の人生を、自分の愛で満たす番だよ!」


 マルタおばさんは、その光景に涙ぐみ、交差点の石畳に向かって深々と(こうべ)を垂れた。


「ああ、あの少年は……! 私たちを救ってくれたんだ! そして、姫様が、その少年に、新しい人生を与えてくださった!」


 リアンは、シャルロッテの愛によって救済され、今度は「交差点の画家」として、城下町の子供たちに、虹の色の美しさを教える、新しい穏やかな人生を歩み始めた。彼の描く穏やかな景色は、人々の心の深い慰めになったという。


 シャルロッテは、モフモフを抱き、にっこり微笑んだ。


「えへへ。リアン兄様はね、愛の力で、世界を救う新しいお仕事を見つけたんだよ!」


 城下町の空には美しい虹がかかっていた。

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